癌と中国医学による免疫療法

 以前から私は、癌は病気ではないと言い続けています。癌はなぜ病気ではないのかというと、癌は人体の外側から侵入する異物ではないからです。癌は遺伝子病なのです。つまり生きるために必要な遺伝子が突然変異を繰り返し、突然変異した遺伝子を持った細胞が他の正常な細胞を殺し始めるのが癌なのです。従って、癌は100年以上前から治療法を研究され続けていますが、未だかつて癌を殺しきる答えは誰も見出していません。今後も絶対に癌を治す治療法や薬が見つけ出されることはないのです。なぜならば生命を支える細胞の遺伝子が、生命を断ち切る遺伝子に変わってしまったからです。

 それでは癌に対してはどのように対処すればいいのでしょうか?現代の治療法は、まず癌を切除すること。次に癌を放射線で殺すこと。最後は抗癌剤で癌を殺そうとすることです。しかしこの3つの全ての治療法は大きな問題を抱えているのです。確かに癌の部分だけを切り取れば、人体から癌細胞を除去することで治ったように思えますが、転移しているかや、小さい癌病巣があるかどうかは分かりません。しかもいつ再び新たなる癌が出るかも分かりません。ふたつめの放射線で癌を殺す治療法は、同時に正常な細胞も殺すことになり、かつ見えない癌を殺すことはできません。みっつめの抗癌剤は確実に正常な細胞も殺してしまうので、結局はしないほうがマシだということになります。

 いずれにしろ、長い時間をかけて遺伝子が突然変異し続けた結果が癌ですから、神なる時間が作り出した老化の所産といえます。子供を産み育てた責任を果たせば、人間は用のない存在ですから、癌で死ぬのが一番自然だという意見を持つ癌専門医もどんどん増えています。私も同意見です。「癌で死ななければ、他にどんな死に方があるでしょうか?」と問いたいぐらいです。癌で死なずに年をとって頭がぼけ、体も不自由になって他人に迷惑をかけてしまうことは私自身のみならず、他のまともな老人であれば誰でも考えていることです。年をとって癌で死ぬことは当たり前であり、死への切符を神からとうとう頂いた当然な死に方だと受け入れるべきなのです。ほとんどの老人に以上の話をすると、死ぬことは何も怖くないと口を揃えて言いますが、死ぬときに苦しみたくないと付け加えます。だって祖先は全て死んできたものですから、永遠に生きるなどとは誰も望んでいません。それでも死ぬときの苦しみ、痛みが嫌だと口をそろえて言います。

 そこで最後に登場となるのが、免疫療法という4番目の癌に対する治療法なのです。この治療法のエースが中国医学なのです。まさに中国医学の中心である漢方煎剤と鍼灸は、この死の苦しみを減らす最高の治療法と考えられます。この治療法を東京で実践しておられる記事が私の愛読紙である“The Japan Times”に報じられていました。この翻訳のダイジェストと、私の解説と共に下に掲げましょう。

 まず見出しは「癌に対する新しい治療法」です。癌というのは、あらゆる臓器の病気を含んでいます。癌というのは、昔は臓器によってそれぞれ別々の病気と考えられていたのですが、今は全て遺伝子の変異という同じ原因で起こる病であるということが分かりました。現代の医学は完全には癌細胞の増殖を完全には抑え切れません。東京の真柄先生は、一般に用いられる抗癌剤をつかわずに、癌治療をしておられる先生です。真柄先生の医院は免疫療法によって癌治療を専門的にしておられ、2003年以来、2700人の癌患者を治療してきたのです。現在も300人の癌患者さんを診ておられるようです。真柄先生は74歳でありますが、鍼灸治療と漢方治療を使って治療しておられるのですが、もともと産婦人科の医者だったようです。50歳代に彼は蕁麻疹で苦しまれ、しばらくの間は抗ヒスタミン剤を使っていたのですが、抗ヒスタミン剤が効かなくなると、繰り返し蕁麻疹が出て治りきらなかったのです。ところがある日、健康雑誌で喘息の患者がショウガスープでよくなったという記事を見つけられ、ひょっとすれば喘息も蕁麻疹も同じアレルギーなので、ショウガスープで治るのではないかと思い、試されたのです。そうすると完全に蕁麻疹が消えてしまったのです。

 もちろん彼は、どうしてショウガスープが蕁麻疹を治りきらせたかや、喘息と蕁麻疹が同じ病気であるかについては知る由もありません。もちろん私は知っていますが。とにかく彼はショウガスープが現代医学よりも優れ、いわゆる人間が生まれつき持っている自然治癒力に驚かれたわけです。私は自然治癒力という素人っぽい表現は大嫌いですが。それ以来、彼はショウガについて勉強され、人間の病気を治す能力も勉強され、さらに食事の習慣が病気を治すのにどんなに大事かも気づかれたようです。彼は自分の患者さんにも動物性の食品を食べないように勧めているようです。私はどんな食べ物を食べようが、構わないと思うのですが。そうこうしているうちに、彼はリンパ球の働きをよくすることが重要であることにも気づきました。言うまでもなく、現代の病気の治療薬は、全てリンパ球の働きをなくし、かつ殺すことは皆さん既にご存知ですね。そして鍼灸によって人間の免疫力を改善し、さらに人間の自律神経に働く治療法を開始し始めたのです。そうこうするうちに、人間の意識のあり方が病気を治すのに非常に大きな意味を持っていることにも気づいたのです。心のあり方が癌を促進する遺伝子と癌を抑制する遺伝子に良い影響を与えると書いています。もちろん彼は残念ながら癌を治したとは一行も書いていません。いずれにしろ彼は人間の持っている自然治癒力を、抗癌剤を使わずに治していこうという考え方に基づいて、癌患者がより質の良い生活をする手助けをすることができる、と書かれています。

 以上、真柄先生の大まかな癌に対する考え方をまとめましたが、これからの日本はますます少子高齢化が進み、老化による遺伝子変異が生じ、癌患者がますます増えていきます。去年の統計では、110万人の死亡者の中で癌死は35万人以上となっておりますが、私は今まで癌の漢方治療・鍼灸治療を避けてきたのですが、このような真柄先生の治療を英字新聞の記事で知るようになって、真柄先生に続けと言わんばかりに、今後本格的に癌の中国医学による免疫治療を行う決意を持ち始めました。

 癌の治療に対する考え方は、真柄先生と全く同じでありまして、いかに免疫を抑えない心の持ち方が大切であるかは同じであります。心の持ち方は癌の治療のみならず、化学物質が原因である膠原病やアレルギーのみならず、ヘルペスの治療においても極めて大切であることは言うまでもありません。なぜならば、免疫を上げる方法はストレスホルモンであるステロイドホルモンをできる限り減らすことによって、免疫寛容を起こしやすくさせ、またヘルペスウイルスをいつまでも神経節に封じ込めることが可能であるからです。

 癌は老化と同義語であり、もっと言わせてもらえば、年をとって癌で死ぬことはまさに老化の極限であります。ちょうど人は老化を恐れることをしたことがないように。癌を恐れることもなく、さらに癌死を恐れることなく、諦め受け入れ、既に過去の人となった数え切れない私たちの祖先の人たちと同じように、自分の命を心で捨て去ることです。つまり死んで当たり前だという心構えが一番大切なのです。もちろん癌になったからといって、必ず死ぬわけでもありませんから、癌になったからといって葛藤することさえやめ、老化を心から受け入れることが一番大切なのです。さらに真柄先生と同じように、免疫を上げるために鍼やお灸をやり、さらに漢方生薬を飲み続けることであります。

 漢方は全ての生薬が人間の免疫を上げる手助けをすることができ、しかも栄養満点ですから、いわば漢方は植物が作り出した最高の免疫上昇健康保持薬と言っても過言はないのです。私たち動物は植物がいなければ生きることもできないことはご存知でしょう。もちろんショウガも漢方処方の中で最も頻繁に用いられている生薬のひとつであることも言うまでもありません。鍼は自分では無理ですが、お灸は自分で簡単にできます。免疫を上げるツボを教えてあげますから、せっせと毎日毎日自分でお灸をやればいいのです。

 さらに私は漢方浴剤を用いています。これを用い始めたのは、もちろんはじめはアトピーの治療のためでした。とりわけ2ヶ月~1歳までの赤ちゃんは苦い漢方薬を飲むことが出来ないので、赤ちゃんのアトピーについて手も足も出ないときがありました。あらゆる病気を治すのは、とどのつまりは赤ちゃんにしろ、大人にしろ、自分の免疫で化学物質と共存するまでアトピーの症状を出し続けざるをえないのです。このアトピーの皮膚の症状、つまりアトピーは、免疫学的に異物を皮膚から排除する正しい反応であるので、医者が止めてはならないのです。化学物質を赤ちゃんが痛々しくも皮膚から痒みを掻いて傷をつけて化学物質を出すことを邪魔することは許されないのです。化学物質を出した後の処置、つまり後始末だけを医者が手助けをすることだけが許されるのです。言い換えると、傷に感染が起こらないこと、早く傷を治して水分が体内から出ないようにすること、皮膚をできる限り早く元の綺麗な皮膚に戻してあげること、の三点が後始末となります。

 このときに必要なのは直接皮膚の免疫を上げて、皮膚の傷を修復する免疫の力を外から高めてあげ、かつできる限り早く傷を閉じてあげるためには、漢方浴剤に入らせてあげることが最高だと分かったのです。その漢方浴剤の中に皮膚の肉芽組織を作らせる漢方生薬を入れてあげることに気がついたのです。漢方薬の生薬の成分を研究し、肉芽組織を集中的に作らせやすい漢方浴剤を作り上げたのです。この漢方浴剤に入れば入るほど免疫が上がり、一時的に痒みを高め、かつ同時に肉芽組織をできるだけ早く作り、傷も治りやすいことが分かりました。あらゆる膠原病とアレルギーは、結局は同じ化学物質と戦っているだけですから、アトピーを持っている膠原病の患者さんが入ると、どんどん膠原病がアトピーに変わることも気がついたのです。温かい漢方浴剤に入ると、まず全身の皮膚の免疫が上がるので、当然といえば当然のことだったのです。

 しかも膠原病の人はストレスに耐えるために自分のステロイドホルモンを出しすぎてきた人ですから、気がつかないストレスがどんなものであったかを気がつき、かつどのようにしてそのストレスから逃れるかを深く自分の心を見直してもらうためには、心を癒す療法も大切なのです。皆さんご存知でしょう。アロマテラピーによるストレスの解消の話を聞いたことがあるでしょう。アロマテラピーというのは芳香療法といい、薬用植物から抽出した精油を用いて、その香り(アロマといいますが)で美容や健康やストレス解消のために心を癒す自然療法として、大昔から世界各地で様々な病気の治療に役立ってきたことをもご存知でしょう。まさに漢方浴剤は芳香族化合物である、芳香族アルカロイドや芳香族炭化水素がたくさん含まれ、漢方の香りが心を癒すことが分かっているのです。これらの香りが自律神経にも作用し、気分をリラックスさせたり、また内分泌機能にも直接効果を及ぼすことも知られています。このアロマテラピーは、まさに漢方浴剤に入っている間に、嗅がれた芳香によりその香りが心を癒す働きのみならず、ストレスも軽減し鎮静効果もあり、かつ脳内での神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促し、心をリラックスさせる作用があるのです。さらに内分泌系に直接働いてステロイドの分泌を抑制することも知られています。

 癌もストレスにより促進することが知られています。ステロイドホルモンを出しすぎた人は、免疫の遺伝子の働きをOFFにするのみならず、ストレスがあればあるほど、ステロイドホルモンが出続け、あらゆる種類の細胞の遺伝子の働きを止めてしまうこともあるのです。従って正常な遺伝子の働きが阻害され、癌原遺伝子が傷つくのみならず、その傷を修復する抑制癌遺伝子も異常になり、癌原遺伝子が修復されずに最後は癌遺伝子になり、癌ができやすくなってしまうのです。このときにアロマテラピーのひとつである漢方浴剤療法が登場することになるのです。いずれ人間は遅かれ早かれほとんどの人が癌で死んでしまうのですが、それでも少しでも癌になりにくい生活をする手助けをしてあげることが医者の務めであり、その目的にも漢方浴剤が役に立つことが分かったのです。

 第4番目の癌の免疫療法は、免疫を上げる漢方煎じ薬、鍼灸に加えて、漢方浴剤があることを知ってください。

 これまでは一切癌の治療は意図的に避けていたのですが、The Japan Timesに報道された真柄先生の記事を読んで、今後は積極的に中国医学の免疫を上げる力を借りて、癌患者さんの、いわゆる癌治療に参画したいと考えています。