なぜ炎症性腸疾患であるクローン病と潰瘍性大腸炎は膠原病の中で最も治りやすいのか?part.2

 ちょうど「なぜ自己免疫疾患はないのか」というシリーズをpart.1〜part.3に分けて書いたように、「なぜ炎症性腸疾患であるクローン病と潰瘍性大腸炎は膠原病の中で最も治りやすいのか?」のpart.2を詳しく書きましょう。

 クローン病も潰瘍性大腸炎も自己免疫疾患(膠原病)の一つでありますが、なぜこだわるのでしょうか?それは、10歳未満から10代、20代のはじめにかけて、一番この病気が多いからです。全世界に2000〜3000万人の若い患者さんがいます。私は、彼らが一生免疫を抑えるという間違った医療の犠牲者にされ、人生を医薬業界に潰されてしまうという悲劇に耐えきれないのです。

 この病気に治療薬と称されて一番使われている薬はなんだと思いますか?ヒュミラとレミケードであります。ヒュミラは世界で一番使われているランキングでトップであり、なんと売上は2兆円を超えているのです。レミケードは1兆円を超えています。なぜこの薬が一番売れているのでしょうか?免疫は異物が入ってくると最初に人体の免疫にdanger signal(危険信号)として、その異物を大食細胞や樹状細胞(樹枝状細胞)が貪食することによってTNFαというサイトカインを作り出すのですが、この働きを完全に亡き者にできるからであります。しかもこれらの異物に対して、免疫を抑えない限りは最後にTGFβを自然に作りだし、無駄な戦いを止めるために自然後天的免疫寛容を起こして治る病気にもかかわらず、私以外の世界中の医者たちは声を合わせて「絶対に治らない」と宣告します。しかも束の間は症状は和らぐものですから、不審を抱きながらも医者のいいカモになってしまうのです。

 まさにpart.2は、「自然後天的免疫寛容を起こすTGFβが、どのようにして化学物質とIgGの戦いに関わっているあらゆる免疫細胞の働きをストップすることができるか」ということを詳しく詳しく書きたいために新たに作成しようとしているのです。

 

 まずpart.1で書いたように、炎症性腸疾患は、腸の免疫が化学物質をIgGで戦い、その戦いをIgEに自然にクラススイッチし、TgFβをまたもや自然に免疫に作らせて、最後はその化学物質に対して自然後天的免疫寛容を起こすことで治ってしまうことはみなさんご存知でしょう。またpart.1では、人体に入った化学物質の戦いでは、あらゆる組織の中で一番腸管においてクラススイッチも自然後天的免疫寛容も起こしやすいということを証明したのであります。

 それではもっと詳しく、なぜ腸管において化学物質と人体の免疫とは共存しやすいのかを説明するには、腸の独自の免疫の働きを説明する必要があります。以前にも書いたように、MALTという言葉を覚えておられますか?MALTは、英語の“Mucosa-associated lymphoid tissue”の略称であり、発音は「モールト」と発音します。(英語の発音に興味のない医者たちはローマ字読みで「マルト」と読んでいますが、間違いです。だから英語を話せる外国人にバカにされてしまうのです。アッハッハ!)日本語では「粘膜関連リンパ組織」とも呼ばれ、孤立リンパ組織(孤立リンパ小節)からなる粘膜に分布した免疫機構です。孤立リンパ小節とはなんでしょうか?もう一度リンパ節について復習しておきましょう。

 孤立リンパ小節は孤立性リンパ濾胞とも呼ばれます。英語で“isolated lymphoid follicle”と書きます。B細胞とリンパ小節に住み続けている濾胞樹状細胞(FDC)からなる濾胞構造を有する腸管リンパ組織のうち、濾胞構造が複数存在しています。大きなリンパ組織であるパイエル板とは異なり、濾胞構造が単独で存在している小さなリンパ組織.孤立性リンパ濾胞内にはリンパ節にある胚中心が認められます。小腸粘膜上に数多く存在し、パイエル板とは少し異なる分化や機能を持っていますが、基本的にはリンパ節と同じく、リンパ液に含まれる異物を掃除する中心的な役割を持っています。胃腸管、甲状腺、肺、性腺、目、肌などの体の様々な粘膜を持っている組織に分布します。T細胞、B細胞、形質細胞、マクロファージなどが集まっています。それぞれ粘膜上皮を突破して粘膜固有層にまでやってきた抗原やアレルゲンと戦います。この時に病気が出るのです。腸のMALTにはパイエル板にあるM細胞は、腸管内から抗原を採取してリンパ組織に運ぶ役割をも担うことは、私のサイトで勉強した人は覚えておられるでしょう。ここでMALTの働きを具体的に図示して、さらに詳しくパイエル板と腸管粘膜の免疫の働きを復習しておきましょう。

 パイエル板(パイエルばん、Peyer's patch)とは、小腸の空腸や回腸と言われる腸の上皮細胞のすぐ下の粘膜固有層のあちこちに存在しています。絨毛がない領域であります。絨毛は栄養を吸収する仕事をしていますね。哺乳類の免疫器官の1つです。小腸は十二指腸と空腸と回腸の3つの部分でできていて、パイエル板以外の部分には栄養を吸収するための絨毛がたくさん存在し、小腸の表面積が大きくなっているのはご存知ですね。栄養を吸収する仕事をしていないパイエル板には絨毛はありません。パイエル板は小腸の粘膜固有層にあり、1個のパイエル板の中に数十個から数百個のリンパ小節が集合しています。しかし、扁桃やリンパ節ほど器官としては分化しきってはいません。パイエル板にはリンパ球が多数集合しており、その中のB細胞の一部は抗体を産生するプラズマ細胞(形質細胞)に分化して、免疫グロブリンの中でも主としてIgAを産生しています。IgAは粘膜で産生され、体の中でIgGよりもはるかに多く産生されているのです。IgAはまさに粘膜を守るために産生される粘膜抗体ともいえます。ついでに言えば、扁桃はいわばパイエル板の咽喉頭バージョンといえます。

 それではなぜIgGではなくてIgAが粘膜を守ることができるのでしょうか?それはIgGのしっぽであるFc部分には殺しの仕事をする大食細胞やNK細胞や好中球がつきますが、IgAのしっぽであるFc部分には大食細胞やNK細胞や好中球がつかないからです。つまりIgA抗体のYの形をした上部の両手には、IgGと同じように細菌やウイルスをひっつけているのですが、IgAはひっつけた後、このような敵を大便として排泄するだけであるからです。したがって、IgAは平和抗体という名前をつけるべきなのです。ちょうどそれはIgE が殺しの抗体になれないので排泄抗体と名付けたのと似ていますね。

 なぜ腸管粘膜抗体であるIgAはFc部分に殺しをする仕事をしてくれる好中球や大食細胞やNK細胞がひっつかないように進化したのでしょうか?さらになぜ抗体のクラススイッチがあるのでしょうか?この2つの問いに対して答えを出しましょう。

 まず腸管には1000種類の200兆という細菌がいます。人間の免疫が進化したのは、まさに細菌を殺すために免疫の働きを磨きに磨きをかけて作り上げたのが、人間が持つ生得の自然免疫と適応免疫と呼ばれる高等免疫であります。なぜ腸管の素晴らしい免疫が200兆の細菌と毎日戦いをしないのでしょうか?腸管にいる200兆の敵を毎日殺す戦いをし続けると炎症のために火事場となり、最後は腸管が死んでしまい、飲食物は吸収できなくなり、人類は死に果ててしまっているはずであるからですね。

 腸管の免疫は腸管の病原体と戦うことをどのようにして避けたのでしょうか?と同時に、なぜ化学物質とIgGの戦いが最後はTGFβを作ることによって免疫寛容が起こるのかを、全体の流れと問いに対する答えだけを先に書いてしまいましょう。この流れを理解するだけでも一仕事になりますがついてきてください。全体の流れを説明した後、どのようにして2つの問いに対して私の答えが出てくるのかについては、後でもう一度腸管免疫の特殊性を詳しく述べる際に詳しく説明しましょう。

 一つめの問いは「200兆の敵と戦わないのはなぜか」であります。答えは2つあります。一つ目の答えは、腸管の免疫は戦うIgGを戦わないIgAにクラススイッチしやすいことです。2つ目の答えは、腸管の免疫は日常的に免疫寛容を起こすTGFβを作っているので200兆の最近と共存しやすいからです。

 次に本論の二つ目の問いに対する答えは、ちょっと詳しく述べます。クローン病や潰瘍性大腸炎は、本来は化学物質をIgGで戦うのをIgEにクラススイッチして最後はTGFβで免疫寛容を起こすというのが私の理論ですよね。私の今まで唱えてきた理論は、この理論を患者さんに実行させて、IBDを治す手伝いをしてきました。この理論の出発点は、殺しきれない化学物質を殺すためにIgGをいくら使っても処理できないので、IgGがどんどん増え続けるので、この大量に増えたIgGが腸管の粘膜下層に住んでいる肥満細胞が持っている数少ないIgGのレセプターとまず結びつきます。すると肥満細胞はこのレセプターからのシグナルを得てIL-4を作り始めます。この作られたIL-4が腸管の粘膜固有層のリンパ節にいるナイーブT細胞にひっつくとアレルギーを起こす手伝いをするTh2に変わり、さらにTh2自身がIL-4、IL-5、IL-10、IL-13を産生します。IL-4、IL-5、IL-10、IL-13などのインターロイキンは、殺しの戦いをヘルプするTh1を作らせないようにします。かつこのIL-4は今までIgGを作っていたB細胞にもひっついて、IgEにクラススイッチさせる遺伝子を発現させるAICD遺伝子(Activation-induced cytidine deaminase)をB細胞に発現させ、AICDタンパクを作らせます。さらにTh2が作るIL-5は、腸管の固有粘膜層になるリンパ節のT細胞やB細胞にIgAを作れと命令します。抗体がIgG(IgM)からIgEにクラススイッチしてしまうと、アレルギー性の腸炎にしたり、時にはアトピーに現れることがあります。アレルギー性の腸炎になったからといって、IgEとひっついた化学物質は便に出てしまうので症状はほとんど気づかれません。

 最後は、IL-4とIL-10が腸管の粘膜固有層や腸間膜にあるリンパ節に存在しているナイーブT細胞をレギュラトリーT細胞(Treg)にさせて、FOXp3の遺伝子を発現させます。すると初めて免疫寛容を起こすTGFβが作られます。大量に作られたこのTGFβが、腸管全域に血管を通じて伝えられ、戦い始めた敵である化学物質(ハプテン)と結びついたキャリアタンパクの複合アレルゲンに対して生じたアレルギー反応を、全面的に活動停止にさせます。つまり、最初は炎症を起こす殺しのIgGの戦いを、炎症のない排泄のIgEの戦いに変え、最後はTGFβを作りカスケード的に活動していた全ての細胞にひっつくことによって、全ての活動停止を引き起こし、最後は自然後天的免疫寛容になって、自己免疫疾患もアレルギーと言われる病気の全ては自分の免疫で治すという理論ですね。

 後でTGFβというシグナル因子がどのようにして全ての細胞にひっついて、全ての核にストップの号令がかかるかについて詳しく説明します。乞うご期待!

 ところが腸管の粘膜の上皮細胞は、腸管にいる200兆の常在細菌と戦わないように、アプリオリに生まれつきTGFβを作っているものですから、もともと免疫寛容を起こしやすいという話がpart.1の結論でしたね。ところが、このTGFβは上に述べたようなカスケード的な免疫の働きの結果生まれたわけではないTGFβであり、あくまでも化学物質と共存するために作られたわけではないことを知っておいてください。つまり、たまたま現代文明が作った化学物質が何億という莫大な量になったために、世界中に若者たちが何千万人もIBDになったので、これらの化学物質と戦った結果、自然後天的免疫寛容を起こすために生まれたTGFβではないことを知ってください。腸管の粘膜表面だけで終わってしまう腸管の粘膜細胞だけが持っている本来的免疫寛容であって、敵と戦った後に生まれた自然後天的免疫寛容ではないのです。ところが、いずれにしろ化学物質との共存にはTGFβが必要ですから、私の上に述べた理論の結果生まれるTGFβと、腸管の上皮細胞が毎日作っている腸管の粘膜だけに行き渡るTGFβの2つのTGFβを利用できるので、IBDは治りやすいと言えるのです。しかも腸管での戦いであるIBDという病気の結果生まれる様々な炎症産物は便として体外に流れ去っていくので、IBDという病気はさらに治りやすいと言えるのです。
 次回は腸管免疫の特殊性について詳しく詳しく述べていきます。


 何回も書きますが、世界で唯一の医療が自信を持ってできるのは、理論がどうのこうのというわけではなくて、漢方免疫治療を行う為に開院して以来33年間、まずは免疫を抑える薬は治療では一切使わずに、患者の免疫だけであらゆる病気を漢方の最高の特質である免疫を手伝いすることだけで病気を全て治すことをしてきたからです。言うまでもなく手伝いの道具は、免疫をヘルプしてくれる濃度の濃い濃い漢方煎じ薬であります。薄い漢方薬は意味がありません。

 生命発祥以来、全ての生命は病気を治してきたのは生命自身だけに与えられている免疫の遺伝子に基づいた生命自身の免疫の働きであり、その武器は免疫の遺伝子が作るタンパク質(薬)だけであるのは、皆さんご存知でしょう。もっと具体的にいえば、自分の免疫の遺伝子が最高の医者であり、免疫の遺伝子が作らせるタンパクが最高の病気を治せる製薬メーカーであるのです。残念ながら、現代の製薬メーカーが作る薬は2つを除いて全て免疫を抑える毒薬と言うべきものです。症状は取れても免疫を抑える限り、現代の製薬メーカーの薬は絶対に病気を治すことはできないのです。2つの例外は言わずと知れた、抗生物質とワクチンだけであることもご存知でしょう。

 今年のノーベル生理医学賞は、小野薬品と協力してオプジーボを作った本庶佑先生でありましたが、免疫の働きを利用して作ったという触れ込みでありましたが、実はガンを殺してくれるキラーT細胞が作ったPD-1という細胞表面タンパク(レセプター)の働きをオプジーボで阻止すれば、何かわからないけれどもガン細胞が死んでいったという話です。何もガンの全てを治す薬ではないのです。

 私はキラーT細胞がPD-1というレセプターを作ったのは、当然免疫の働きとして必要であったからだと考えています。残念ながら今の所、PD-1の働きについては何もわかっていませんが、いずれPD-1の作用のメカニズムはわかるようになると思いますが、私はガンはどんなに研究しても絶対に治せない病気だと考えています。本庶佑先生はオプジーボは抗生物質の先駆けであったペニシリンになると断言しておられましたが、そんなことは絶対にありません。なぜならば、ペニシリンは人体の外から入ってくる細菌を殺すことができる抗生物質でありますが、残念ながらガンは外部から入ってくる異物ではないからです。生命が死ぬまで生き続ける為に絶対に必要な遺伝子に老化による異常が生じたものですから、ガンにならない為には、つまりガンを治したければ生まれないのが最高の治療となると考えています。あっはっは!

 しかも一人のガン患者にオプジーボを1年間使えば、1750万円かかるようですが、現代日本には100万人強の患者さんがいます。PD-1を阻止する薬の原理を考えれば、全てのガン患者に治らないとしても使える可能性があります。仮に全てのガン患者さんにオプジーボを使えば1750万×100万円=17兆5000億円かかります。現在は資本第一主義であり、生命第一主義ではないのですから(???)、老人の病気であるガン患者にこの巨額のお金を使えば誰が払うのでしょうか?もちろん若い人たちです。人口が減っているにもかかわらず、医療産業は毎年1兆円近く伸び続ける成長産業です。しかも国家の財政はヨーロッパの経済のガンであるイタリアよりもはるかに借金だらけです。あらゆる種類の社会保障がうなぎ登りに増えていきますが、老人を大事にして未来の子供達を犠牲にするのは果たして許されるのでしょうか?私も73歳のクソよぼガキジジイですが、いつ死んでもいいように腹をくくって死ぬことが最後の最後に残る仕事だと考えながら生きています。生きている限り生き甲斐のある仕事、つまり病気を治すという仕事は一生続けていくつもりです。今このような勉強をしているのも、非力ながらこの世から直せる病気を全て治してしまうまで真実の医学を語り、実践し終わって死にたいと思っているからです。

 今日もまさに若者に一番多い炎症性大腸炎のクローン病と潰瘍性大腸炎(IBD)がいかに治りやすい病気であるかを理論的に証明するために、努力しているところです。今日のテーマは、1000種類の細菌が100兆個〜200兆個も住み着いている大腸と小腸で起こるはずの炎症が普通の人では起こらないのはなぜか、という根拠をまず示すことです。大腸や小腸が他の組織と違った解剖学的特殊性と、免疫学的特殊性を持っている意味を十分に詳しく述べます。それを述べた後、日本に30万人いると言われるIBDの若い患者さんのみならず、世界に2000万人以上と言われる若い患者さん自身が、自分の免疫でIBDを治すことができるプロセスを十分以上に書き切って、世界中の医者たちが治らないという病気を治すことができるという希望を与えたいと考えております。それ以上に、治る病気を根拠もなしに治らないと言い続けている医者にも、私のIBDを直せる方法を知ってもらいたいと思って書きます。私はどんな医者も病気を作ってお金を儲けようとする人はいないと信じています。ただ、私の理論と実践が日本のみならず世界中に広まっていないことがネックになっていると考えています。ただ、権威と権力で作られた標準医療というガイドラインが真面目で立派な医者たちを惑わせているだけだと考えています。

 6月から施行された悪法で、免疫で治すヘルプをして病気を治してくれた患者さんの手記が一切出せなくなったことは、血の涙が出るぐらいに残念です。残念ながら、私の理論はそう簡単には理解できるわけではありません。ただIBDが治る証拠として書いてもらった患者さんの手記が、医院としての私のサイトに出せなくなったことは涙が出るほど残念です。何も私は金儲けのために患者さんに手記を書いてもらったわけではなく、免疫でしか病気は治せないという真実を伝え、かつ自分の免疫で難病と言われているIBDも治るという証拠を患者さんに見せたかっただけにもかかわらず、悪法ができて患者さんの手記が一切出せなくなったことが残念で残念でたまりません。

 私が今まで見た最も若いIBDの患者は10歳でした。一生治らないと宣告された10歳の子供自身、親はどんなに苦しんだことでしょうか?しかも治らない根拠は一切言わないのです。その子供のIBDが治ってしまうのです。誰が治したのでしょうか?患者自身であるのです。なぜ根拠もなくIBDという病名をつけてしまうと一生治らないと医者は言うのでしょうか?残念です。実はその答えは自分たちが免疫を抑える薬を使うからです。

 ちなみに今年のノーベル化学賞はどのような業績に対して与えられたかご存知ですか?3人の学者に与えられたのですが、3人とも進化の仕組みを創薬に応用して素晴らしい薬を作るきっかけを作ったという業績に対して与えられました。皆さん、あらゆる創薬とは何かを知っていますか?免疫を抑えるための薬なのです。免疫を抑えて一時的に症状は良くするのですが、お金がかかるだけで一生病気は治らないどころか新たなる病気が生まれるだけなのです。今年のノーベル化学賞は、タンパク質を人工的に改変する技術などを開発した米カリフォルニア工科大のフランシス・アーノルド博士、米ミズーリ大学のジョージ・スミス博士、英MRC(医学研究会議)分子生物学研究所のグレゴリー・ウィンター博士の3人が受賞されました。この先生がたはどんな業績を残したのでしょうか?

 1人目のアーノルド博士は進化の仕組みを真似て、たんぱく質の一種である酵素の機能を目的に応じて高めることに成功したと言うわけです。それではなぜ人間が病気を治すために作っているあらゆる免疫に関する酵素を作り、最後は私の言う免疫寛容を起こすTGFβを人工的に作ってしまえば、すぐに全ての自己免疫疾患と言われる膠原病やアレルギーも治すことができるのに、なぜTGFβのタンパク質を作ろうとしないのでしょうか?

 2人目のスミス博士は、たんぱく質が病気の原因となる物質、例えばアレルギーや自己免疫疾患を起こす化学物質などにくっつくときのメカニズムを網羅的に調べられる「ファージ・ディスプレイ」という手法を開発したのです。3人目のウィンター博士は、このファージ・ディスプレイを利用して免疫が作る様々なサイトカインやタンパクに対して人工的な抗体を作成する道を開き、その結果世界中で使われている病気を治せない(?)生物学的製剤という免疫を抑える治療薬の開発に繋いだという業績が認められたのです。その結果、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)や関節リウマチなどの全ての自己免疫疾患といわれる病気に使われるようになり、永遠に治らない病気にしてしまったのにもかかわらず、その先生方がノーベル化学賞をもらったのです。

 それでは実際にどんな免疫を抑える毒薬(?)を作られたのかいくつか羅列しましょう。まず免疫の働きで一番大事なTNFαの働きを抑えてしまうTNF阻害薬であるレミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、シムジアがあります。いずれにしろこれらの生物製剤は異物が人体に侵入した時に、その異物を大食細胞が貪食している間に、その敵を殺すために作り出した一番最初で、かつ一番大事な敵が侵入したという警告となるサイトカインの働きを完全に抑制してしまったのです。つまり38億年かかって進化した免疫の働きを一切なくしてしまうのです。命を守る免疫を殺すという何と残酷な薬であるのでしょうか!!その薬を作ることに貢献した人にノーベル賞が与えられたとは!!空いた口が塞がりません。残念です。

 さらにこのような薬を使っている間、免疫が一切なくなってしまうので、その間に最後に人類の敵として残る殺しきれないヘルペスがどれだけ増え続けることになるかご存知ですか???このような薬は一度使うと絶対にやめられないのはなぜかもご存知ですか?やめた途端、無限に増え続けたヘルペスとの戦いが免疫ゼロから始まってしまうのです。免疫が徐々に上がるにつれてどれほど全身に痛みのみならず様々な説明不能な症状が出るかご存知ですか?このような薬を作ってノーベル化学賞やノーベル生理医学賞を授与される悲しみは誰が背負うのでしょうか?患者さんです。悲しいですね、悲しいですね。何の為にノーベル賞があるのでしょうか?わかりません。いや、病気を治す為でしょう。

 過去のノーベル賞に関する悲しいエピソードをひとつ書いておきましょう。精神分裂症の薬が作られていなかった1930年代の話です。ポルトガルの神経科医アントニオ・エガス・モニスは、脳内白質を切断する専用の器具を開発し、前頭前野と視床をつなぐ神経線維の束を物理的に切り離すロボロミーという手術をしました。ロボトミーを受けた患者の大部分は、緊張、興奮などの症状が軽減しましたが、無気力、受動的、意欲の欠如、集中力低下、全般的な感情反応の低下などの症状も多く現れました。しかし、長期的なロボとミーによる手術の悪影響は必ず出たにもかかわらず、こうした副作用は 1940年代には広く報じられませんでした。世間にはロボトミーが幅広い成功を収めたとして報じられ、モニスは 1949年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。ところが1950年代半ばに入り、精神病患者の治療や症状緩和に効果的な薬が普及すると、ロボトミーはほとんど行なわれなくなったのです。皆さん、この事件はどんな意味を持っているかわかりますね?元の精神疾患よりも、さらに悪くなる病気をロボトミーがもたらしたのですが、その反省は現代にも全く生かされていないのです。残念ですね、残念ですね!

 最後に阪大の総長であった岸本忠三先生と中外製薬が作った抗IL-6受容体抗体であるアクテムラもとんでもないお薬です。この薬は訳のわからない病名であるキャッスルマン病という自己免疫疾患で使われています。もちろんこんな薬を使っても誰もキャッスルマン病を持った患者の病気は治りません。

 ちょっと寄り道しますが、日本人が作った抗IL-6受容体抗体ですから、IL-6について勉強しておきましょう。IL-6はT細胞やB細胞、線維芽細胞、単球、大食細胞、血管内皮細胞、腎臓の細胞であるメサンギウム細胞などの様々な細胞により産生されます。マクロファージはTLR細胞表面のToll様受容体を介して、グラム陰性細菌が細胞膜に持っているリポポリサッカライド(LPS)の刺激を受けることによりIL-6をはじめとした様々なサイトカインを分泌することが知られています。

 寄り道は終わりにして、本論に戻りましょう。もう時間がなくなりました。腸管の免疫がいかに免疫寛容を起こしやすいかの話は次回に回しましょう。乞うご期待!

 ただ残念なのは、私のホームページに数千人の患者さんの手記が載せられなくなったことが残念でたまりません。真実を語る言論の封殺ではないかと思いませんか??真実を語る情熱が減ったことは確かです。にもかかわらず死ぬまで医学の真実を語り続ける覚悟です。

 さぁ、今日は本当に腸管疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎が非常に治りやすい病気であるということを根本から説明していきましょう。

 50年前、私が京都府立医科大学の学生だった時も、教科書にクローン病や潰瘍性大腸炎という病名は載せられていましたが、日本は言うまでもなく、世界中にもほとんど患者はいませんでした。しかし現在日本に30万人、世界中に何千万人もの若者の患者がいます。なぜこれほど若い人に患者が増えてしまったのでしょうか?理由は2つあります。1つは50年前に比べて化学物質が無限大と言ってもいいほど世界中に蔓延してしまったためです。2つめは、数十年で世界中が金儲けのグローバルな競争社会となり、とりわけ若い人たちはストレスに耐えながら学歴競争を幼少期から始め出したために、本来、腸管に入ってきた化学物質を腸管から便へとアレルギーのIgEで排除すべきものが、炎症を起こす殺しのIgGで戦わざるを得なくなったからです。

 私が子供のころは、学校での勉強以外に、勉強なんかする必要はありませんでした。遊ぶことが仕事でした。遊ぶことが学ぶことと同義語でした。近頃の子供は、グローバルな競争に勝つためには幼児期からあらゆる学習に取り組まざるを得なくなりました。朝から晩までしたくない勉強をさせられ、それに耐えるために思い切りストレスホルモンであるコルチゾールを出しっぱなしであります。このコルチゾールによって化学物質をIgMやIgGからIgEにクラススイッチができなくなり、したがって最後はTGFβを産生して炎症性腸疾患の原因である化学物質との戦いをやめることもできなくなってしまったからです。

 さぁここから、このTGFβを腸管の免疫は簡単に作ることができ、簡単に炎症性腸疾患は治るということを根本から説明し始めましょう。

 直感的に皆さんお分かりになると思いますが、腸管に1000種類以上の100兆個以上の細菌と毎日戦わずに生きているということは、免疫は無限大の細菌と共存しているということですね。ということは細菌と免疫は免疫寛容を起こしているということですね。つまり私が証明しようとしているのは、どのようにして簡単に腸管免疫が化学物質と共存できるかという説明をするわけですね。あくまでも腸管免疫だけが免疫寛容を起こしやすいということを証明するだけですよ。

 私たちの腸管に住んでいる莫大な微生物の集合体を腸管微生物叢といいます。英語で“intestinal microbiota”といいます。この腸管の微生物で一番多いのはもちろん細菌であります。これらの細菌の大部分は、共生細菌といい、英語で“commensal bacteria”といいます。“commensal”はラテン語からきた英語であり、元来「同じテーブルで食べる」という意味であり、共に仲良く食べて生きている細菌ということを示しています。

 ここで腸内細菌について述べていきましょう。腸管内に住んでいる細菌は、いわゆる善玉菌と日和見菌と悪玉菌の3種類に分類されます。日和見菌というのは腸管の免疫が落ちた時に、腸管上皮の防衛線を破って粘膜固有層に入り込んで、腸の病気を起こす細菌のことです。また日和見菌は健康なときはおとなしくしているのですが、免疫が落ちると腸内で増え続け、免疫が戻ると日和見感染といわれる腸の病気が起こるのです。代表的なものにバクテロイデス、大腸菌(無毒株)、連鎖球菌などがあります。善玉菌は消化吸収の補助や免疫刺激など、健康維持や老化防止もやってくれるといわれる菌で、代表的な菌にはビフィズス菌や乳酸菌があります。一方、悪玉菌は粘膜固有層に入ると免疫との戦いが始まり、様々な症状を起こします。代表的な悪玉菌にはウェルシュ菌、ブドウ球菌、大腸菌(有毒株)などによって産生する毒素によって下痢や腹痛や腹部膨満感などの症状が出るのです。ウェルシュ菌に関しては、クローン病や潰瘍性大腸炎の時に臭いガスの原因になっていることは既にご存知でしょう。ここで注意しておきたいのは、腸と免疫との戦いが起こっているのは、決して腸の内腔ではないということです。腸管の管の中で戦っているわけではないということです。あくまでも腸管を取り巻いている粘膜の下で戦いが起こっているということを忘れないでください。腸管の下は粘膜固有層といわれる結合組織であるということもしっかり知っておいてください。

 なぜ普通は細菌は人間の敵であるにもかかわらず、腸管細菌は人間と共生できるのでしょうか?それは腸管細菌は人間にとって有益な仕事してくれるからです。例えば、人間の腸管の細胞で作られた酵素は、我々が毎日食べている食べ物に含まれる消化できない複雑な炭水化物を共生細菌は消化してくれたり、悪玉菌が人間が食べたものを横取りしたり、すみかを占拠するのを防いでもしてくれるので、共生できる細菌というわけです。

 ところが善玉菌(共生細菌)や正常な状態では日和見菌や悪玉菌も腸管腔内だけにいつまでも居続け、粘膜固有層に入らなければいつまでも共存できるです。なぜならば腸管腔内は人間にとっては外部であるからです。ところが外部である腸管腔から内部である粘膜固有層に入り込むと問題が起こるのです。なぜでしょうか?外部と内部とを仕切る腸管の膜を形成する上皮細胞は一層だけであり、しかも非常に薄いのです。そのうえ小腸が大腸の長さは8mもあり、広さはテニスコートの広さと同じ200㎡にもなります。しかも100兆個の1000種類の様々な細菌が腸管に住んでいるので、この脆弱な上皮細胞のバリアを破って腸管腔に住んでいる細菌が腸管の下にある粘膜固有層という結合組織に入ってしまうことがあるのです。もちろん腸管の表面は粘膜固有層に細菌が入らないような装置があります。

 左図を見ながら説明しましょう。“intestinal lumen”は「腸管腔」であり、“bacterium”は「バクテリア」であり、“mucosal layer”は「粘膜層」であり、“villi”は「絨毛」であり、“epithelial cell”は「上皮細胞」であり、“anti-bacterial peptide”は「抗菌タンパク」であり、“mucus”は「粘液」であり、“tight-junction proteins”は「密着結合タンパク」であり、“lamina propria”は「粘膜固有層」と訳します。(“lamina”は層と訳し、“propria”は固有と訳すのです。)上の図のように、上にいる細菌(bacterium)が、一番下の“lamina propria”に入り込むまでにいくつかのバリアがあるのがお分かりでしょう。このバリアが正常である限り、細菌は粘膜固有層まで入り込むことはできないのです。つまり、細菌が外部である腸管腔内にある限りはどんな強い細菌が腸管に入ったところで、内部である粘膜固有層で免疫との戦いによって起こる細菌感染という腸管の病気が起こることはないのです。ちょうど皮膚の上に細菌がいても、皮膚の下の表皮や真皮に入らない限りは細菌感染が起こらないのと同じです。

 それでは細菌が粘膜固有層まで入り込んだ時にどんな問題が起こるでしょうか?この時に共生を続けるか敵を殺すかのジレンマが起こります。というのは、腸管の免疫系がこのような共生細菌に対して激しい戦いを起こすと、常に炎症が起こり続けることになります。その炎症の代表が下痢や発熱であります。皆さんは下痢や発熱が出るとすぐに止めてもらいたいと思いますね。それは間違いなのです。免疫が敵を処理している正しい反応であるのです。下痢とともに悪玉菌や日和見菌を排除しているからであります。しかも下痢が出なければ細菌と免疫との戦いがなくなるので、どんどん細菌は血中に入り込んで増え続け、局所的な感染症が全身性の感染症となり、さらに細菌性敗血症で命が危なくなることがあるのです。従って、やはり強い敵は激しい戦いをせざるをえなくなるのです。これがジレンマです。

 例えば病原性の強い新たなる細菌、例えばサルモネラ菌やコレラ菌などが侵入した時に、敢然と戦って腸の粘膜固有層で激しい炎症を起こして殺し切らなければ、死を招く ことがあります。先ほどジレンマと言いましたが、腸の免疫系というのは、元来危険でない共生細菌(commensal bacteria)とはできる限り戦いをやめて仲良く共存し、一方、重篤な感染症を起こす病原性の細菌に対しては激しい戦いをせざるを得ないというやり方を身につけなければならないのです。

 それでは、いわば同じ腸管の免疫の働きでこのジレンマをどのようにして乗り越えて行くのでしょうか?この答えを少しずつ出していきたいと思います。この答えが、実はクローン病の原因である化学物質と結びついたキャリアタンパク複合体(複合抗原)に対して、どのように簡単に共存できるのかのヒントが隠されているのです。言い換えると、元来化学物質は人間にとっては無害な共存できる敵(異物)であるにもかかわらず、炎症性腸疾患といわれるクローン病や潰瘍性大腸炎は、免疫を抑えなければIgMやIgGからIgEとかIgAにクラススイッチが自然に生じるべきものを、自分のステロイドホルモンや、医者の出すステロイドホルモンによって免疫を抑えるからクラススイッチができなくなって生じるのは、皆さん既にご存知でしょう。したがって闇雲に免疫を上げることによってしかクローン病や潰瘍性大腸炎は治すことができないのです。最後は腸管の免疫というのは、あらゆる敵に対して症状(炎症)を起こさずに共存するように進化したことをこれから詳しく証明していきます。とても難しい問題を解こうとしているので説明があちこち飛びますが、ついてくるのは難しいでしょうが頑張ってください。

 それでは小腸と大腸の役割はなんでしょうか?小腸の役割は、食物を消化し吸収することです。大腸の主要な役割は、腸の内容物から水分を吸収することです。皆さん、腸管も含めて消化器官に住んでいる大部分の共生細菌はどこに住んでいるかご存知ですか?まさに大腸なのです。小腸では決してないのです。ところがクローン病は、大腸よりも小腸の方がはるかに多く炎症が起こるのです。クローン病を自己免疫疾患と決めつける愚かな医者たちは、腸管に住んでいる共生細菌から由来する抗原に対して過剰な免疫反応が起こるからだと言い張っています。小腸に共生細菌がいないのに過剰な免疫反応が起こるでしょうか?こんな簡単な事実さえもクローン病は自己免疫疾患と言って見たり、共生細菌に対する過剰な反応と言い続けているのです。なるほど、潰瘍性大腸炎は、大多数の共生細菌が大腸にいるものですから、あり得るでしょうが、潰瘍性大腸炎と言われた人があとでクローン病と診断し直された人も数多く見てきました。私は以前から、クローン病と潰瘍性大腸炎は同じ病気だと言ってきました。もちろん2つの病気は、まるで共生細菌とは関係ないからです。やはり炎症性腸疾患の原因は、化学物質であるからです。世界一流の炎症性腸疾患の研究者さえもが、次のようなつまらないことを言っています。「炎症性腸疾患(IBD)は、過剰な免疫反応が自己の抗原に対して向けられているのではなくて、自己に住んでいる微生物叢に対して向けられている自己免疫疾患である」などという論理矛盾を堂々とほざいているのです。残念です。

 上の図を見てください。“mucus”は「粘液」でしたね。この“mucus”はどんな仕事するのか補足しておきましょう。“mucus”は粘液が集まった分厚い一層ですね。この粘液は、ライソザイム(lysozyme)という酵素で、日本語ではリゾチームといわれ、ムラビダーゼともいいます。卵白や鼻の粘膜や涙液や唾液にも存在する酵素であり、細菌の細胞壁に作用して菌を溶かすことができるのです。リゾチームの他の働きは、むくみをとったり、膿を分解したり、血を凝結したり、傷ついた組織を修復する採用などがあります。このリゾチームは、小腸の上皮にある陰窩(腺窩、crypt)に存在するパネート細胞から産生されます。パネート細胞が分泌する抗菌物質には、リゾチームに加えてαデフェンシンやホスホリパーゼA2などがあります。
 大腸の上皮については次回詳しく述べます。

今日はここまでです。2018/10/11

 皆さんは、腸に住んでいる常在細菌が1000種類以上、トータルで100兆個〜200兆個であることはご存知でしょうが、そのほとんどが大腸に住んでいます。それでは大腸はどのようにして莫大な常在細菌から身を守っているのでしょうか?

 一度掲載した腸管の模式図を左において説明しましょう。Mucosal layer(粘膜層)にmucus(粘液)がありますね。小腸はこのMucosal layerが1層であるのですが、大腸はOuter mucosal layer(外粘膜層)と、Inner Mucosal layer(内粘膜層)の2層があるのです。(上の図は小腸の模式図です。)外粘膜層は、小腸の1層の粘膜層と同じで、密ではなく粘度が強くありません。ところが内粘膜層は、下の上皮細胞と密着した粘膜があり、濃い粘膜であるので細菌は移動しにくく、粘膜上皮に近づきにくいので上皮細胞に入り込める細菌が少なくなります。さらにαデフェンシンのような抗菌ペプチドが非常に多いのです。

 なぜ大腸の内粘膜層がこのように守りが固いのでしょうか?それは腸管腔内にある常在細菌のみならず、様々な飲食物から侵入する怖い細菌が粘膜上皮を破ってその下のLamina propria(粘膜固有層)に入り込んだ後、炎症が起こらないように防御しているからです。腸管に感染が起こるのは、細菌が腸管を覆っている上皮細胞にまずひっつく必要があるからです。

 それではmucus(粘液)は、腸管のどのような細胞が作るのでしょうか?小腸の腸絨毛にある栄養を吸収する小腸上皮細胞間にある杯細胞(goblet cell)であります。他の粘膜でも、例えば気道粘膜においては多列繊毛上皮間に杯細胞(goblet cell)が散在し、粘液を作って侵入した異物を痰として排泄しています。目の結膜上皮にいる杯細胞は小腸と同じくムチンを分泌します。分泌されたムチンは角結膜に侵入する異物を涙とともに流し去るのです。ちなみに腸管上皮細胞には吸収上皮細胞、杯細胞、腸管上皮内分泌細胞、パネート細胞(Paneth cell)の4種類の細胞があります。杯細胞と同じくパネート細胞(Paneth cell)は陰窩の底部に存在し、抗菌物質の産生により腸管内腔を細菌から守っています。

 腸管の杯細胞(goblet cell)は、粘液を数時間で入れ替えることができます。そのたびごとに、粘液の中に潜んでいた細菌は、すぐに粘液とともに便に排泄されてしまいます。さらに、粘液にはムチンといわれるムコ蛋白が含まれています。「ムコ」とは「粘液」のことですから、ムコ蛋白は粘液の多いタンパク質という意味です。このムコ蛋白には糖の長い鎖(糖鎖)がひっついています。この糖鎖は共生細菌(commensal bacteria)の大好物であり、この糖鎖のついたムコ蛋白(ムチン)を共生細菌は食べた後、butyrate(酪酸)やacetate(酢酸)などの短鎖の脂肪酸に変えてしまいます。するとこのような短い脂肪酸は簡単に粘液に拡散し、粘膜の上皮細胞に取り込まれます。そしてこのような脂肪酸分子は上皮細胞の重要なエネルギーになります。言い換えると、共生細菌はムチンを上皮細胞に食べ物として加工していると言ってもいいのです。だからこそ腸管に住んでいる常在細菌が共生細菌と呼ばれる理由の一つなのです。

 さてそれでは、常在細菌の中の悪玉菌である大腸菌(有毒株)やウェルシュ菌(Clostridium perfringens)やクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)以外に、本当に怖いサルモネラ菌などが粘液のバリアを突破して、上皮細胞にひっついて、さらに上皮細胞のバリアを超えて、なんとかLamina propria(粘膜固有層)に入り込もうとします。入り込んでしまった時にどのようにしてこのような敵を殺すのでしょうか?

 この答えを書く前に、どうしても敵を食べて殺す専門的な殺し屋であるマクロファージについて語らざるをえません、何故ならば腸管に住んでいるマクロファージは炎症を起こさないマクロファージだということが分かっているからです。本来、マクロファージは細菌などの敵を殺す時に、必ず炎症を起こします。したがってマクロファージは炎症性細胞の代表であります。英語で“inflammatory macrophage”といいます。ところが腸管のマクロファージは炎症を起こさないので非炎症性細胞で、“non-inflammatory macrophage”と呼びます。炎症が起こらないということは病気が起こらないということです。そうです。マクロファージには2種あるのです。なぜ2種類あるのでしょうか?この問いは、なぜ血管には「マクロファージの元の細胞である単球しかないのか」という答えにもなります。この答えも世界で初めての私の発見であります。

 まず最初に、マクロファージについての最先端の知見について述べます。『マクロファージはその役割によってM1型とM2型に大別されています。(このマクロファージの2つの区別は役割によって分けられているだけで、なぜどのようにして分けられるかについては一切どこの本にも書かれていません。その答えは後で書きます。)M1型マクロファージは炎症性マクロファージがTNF-αやIFN-γなどを受けて組織で分化し、病原体や寄生虫感染防御に働きます。一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージがIL-4やIL-13などTh2型サイトカインを受けて分化し、組織修復などにかかわるといわれています。』さぁ、この知見の真実の意味を詳しく批判的に解明していく中で、大発見を提示しましょう。この大発見は、ナイーブT細胞をヘルパー2T細胞(Th2)に変えるインターロイキン4(IL-4)を最初に作る細胞は肥満細胞(mast cell)であるという私自身の発見に比肩するものです。肥満細胞についてはこちらを読んでください。

 自然免疫に関わる細胞は大きく分けて4つあります。この4つは骨髄でmyeloid progenitor(骨髄系細胞の先祖)から前駆細胞となり、最後は4つの自然免疫の細胞になります。その4つとはなんでしょうか?1つめがマクロファージであり、2つめが顆粒細胞であり、3つめが肥満細胞(mast cell)であり、4つめが樹枝状細胞(dendritic cell)であります。顆粒細胞には3種類あります。好中球、好酸球、好塩基球の3つであります。みなさん、この4つの中で、採血をしてデータでわかるのは、つまり血管に流れているのは、顆粒細胞の3つだけだということがお分かりですか?あとの3つであるマクロファージ、肥満細胞、樹枝状細胞はなぜ血管で見つからないのでしょうか?このような疑問に対する答えの一つを今出そうとしているのです。ちなみに白血球というのは、正しくは3種類の顆粒細胞である好中球、好酸球、好塩基球だけであるということを知っておいてください。白血球という言葉が乱用されるので、免疫学がややこしくなっている原因の一つです。ついでに言えば、血液検査のデータでは白血球の中にリンパ球と単球が含まれていますが、この言い方も間違っているということをも知っておいてください。ついでに説明しておきましょう。免疫系の細胞である食菌作用を行う細胞を食細胞といいますが、英語で“phagocyte”といいます。このphagocyteは3種類しかないのです。マクロファージと顆粒細胞と樹状細胞だけであります。

 さて、マクロファージはほとんど全ての細胞において生まれつきの住人がいます。このような生まれつきの住人を“resident macrophage”と言います。“resident macrophage”はどういう意味でしょうか?実は多くの組織に住んでいるマクロファージは、上に述べたように骨髄で作られた後に血中に出たマクロファージではなくて、胚発生(embrionic development)の時に胎児と一緒に既に生まれ始めていたマクロファージなのです。embrio(胚)とは、妊娠8週末までの胎児のことを言います。さらにこの胎児が生まれた後に初めて骨髄から作られ、血中に存在する単球があるのです。この単球が組織に出て初めて様々なサイトカインに刺激されて成熟するとマクロファージになるのです。それではこのサイトカインは誰が出すのでしょうか?まさに“resident macrophage”が出すのです。これが一つの発見です。

 血中に流れている単球は、組織に炎症が起こらない限りは血中を循環するだけです。ところが組織で炎症が起こると“resident macrophage”が最初に炎症細胞となり、様々なサイトカインを組織から血中に伝えます。するとそのようなサイトカインによって、初めて単球が組織に移動し、そこでそれぞれの組織で様々なマクロファージに分化していくのです。分化した単球はどんなマクロファージになっていくのでしょうか?組織球 、クッパー細胞、肺胞マクロファージ、小膠細胞、破骨細胞、類上皮細胞、巨細胞(ラングハンス巨細胞、異物巨細胞、トートン型巨細胞)に分化していくのです。

 それでは最初に述べたM1型マクロファージとM2型マクロファージはどのようなものなのでしょうか?ここで注意したいのは、M1、M2はマクロファージの役割についての分類であることを知っておいてください。もう一度、現代の最先端のマクロファージについての知見を見てください。『マクロファージはその役割によってM1型とM2型に大別されています。M1型マクロファージは炎症性マクロファージがTNF-αやIFN-γなどのTh1型のサイトカインを受けて組織で分化し、病原体や寄生虫感染防御に働く殺しのサイトカインなのであります。一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージがIL-4やIL-13などTh2型サイトカインを受けて分化し、組織修復などにかかわるといわれています。』

 この文章を敷衍修正しながらさらに詳しく説明すると次のようになります。M1型マクロファージは炎症性マクロファージと呼ばれ“pro-inflammatory maclophage”と英語で訳します。M1型マクロファージは、TNF-αやIL-1、IL-2、IL-6、IL-12、IL-19、IL-23、IL-36、IL-37などの殺しのサイトカインを出します。このような以上のサイトカインをTh1型サイトカインと言います。ヘルパー1T細胞(Th1)と協力して病原体や寄生虫感染防御と殺菌に働きます。さらにNK細胞やTh1が作る炎症性サイトカインであるIFN-γなどとも協力して細菌を殺す炎症を起こします。

 一方、M2型マクロファージは組織常在性マクロファージのみならず、血管から組織に出たM2型マクロファージがIL-4やIL-5、IL-10、IL-13、IL-24、IL-27などの敵と共存できるサイトカインを出します。このようなサイトカインをTh2型サイトカインと言います。ヘルパー2T細胞(Th2)と協力して腸管で炎症が起こらないようにして敵と共存する働きを持っています。だからこそこのようなマクロファージを“non-inflammatory maclophage”と呼ぶのです。ちなみにIL-13は、B細胞の増殖と分化を刺激し、Th1細胞を阻害し、殺しの戦いをやめさせ、上に述べたマクロファージの非炎症性サイトカイン産生を促進します。

 それでは最初の最初に上に述べた様々な数多くのサイトカインは、どのマクロファージが出すのでしょうか?この答えはまさに胚発生(embrionic development)の時に胎児と一緒に既に生まれ始めていたマクロファージ、つまり“resident macrophage”が最初に作ったサイトカインであることは既に述べました。人体に入っている細菌のほとんどは殺す以外にないのですが、そのために最初にM1型(Th1型)のサイトカインをだすマクロファージは、やはり“inflammatory resident macrophage”であるのです。さらに生まれてから死ぬまで共存せざるをえない細菌に対しては、最初にM2型(Th2型)のサイトカインを出すマクロファージも、やはり“non-inflammatory resident macrophage”であるのです。

 以上の説明で、マクロファージについて2つの発見があることに気づきませんか?1つは、共存することのできる細菌や化学物質に対しては、M2型マクロファージである“non-inflammatory macrophage”で対応し、殺すべきコレラ菌やサルモネラ菌や赤痢菌が入ってきた時には、“inflammatory macrophage ”であるM1型マクロファージで炎症を起こして人体を怖い細菌から守るようなシステムが作られたのです。アレルギーや自己免疫疾患というのは全て化学物質が原因であるのですが、世界中の医者は誰も認めません。アレルギーは過敏反応だと言ったり、自己免疫疾患はないのにもかかわらず免疫の過剰な働きが自己を攻撃しているとか、訳の分からない話をしていますが、全て間違いだということがお分かりになりますね。アッハッハ!つまりM2型マクロファージは腸内細菌のみならず化学物質と共存するために生まれたのです!!

 2つ目の発見が、胚発生(胎児)の時からあらゆる組織に住み始めて、生まれてから死ぬまで組織に住み続けている“resident macrophage”が最初の最初にサイトカインを作ることができる張本人であるということです。

今日はここまでです。2018/10/18



 前回はオプジーボについての1回目のコラムを書きましたが、今回はオプジーボの副作用について2回目のコラムを書きましょう。

 ノーベル賞にはノーベル物理学ノーベル化学ノーベル生理学・医学ノーベル文学ノーベル平和ノーベル経済学の6つがありますが、もともとアルフレッド・ノーベルの遺言によって1901年に始まった世界的な、というよりも巨額の賞金のついた賞でありますが、ノーベルが発明したダイナマイトが人殺しの戦争に使われて巨額のお金を稼いだ償いとして(?)作ったわけですが、近頃は問題がありすぎる賞だと考えています。基本的には長年に渡って賞金が巨額であったので、常に注目を浴びる賞であり、長期間続いたので史上最高の権威を持った賞となり、毎年誰がノーベル賞を取るのか全世界が大騒ぎとなってしまっています。

 経済学賞などというのは、資本主義を維持するためにアメリカがスウェーデンに無理やり作らせた賞ではないかと以前から思っているのですが、現在、経済学賞としては中国の一国社会主義に与えられるべきではないかと考えています。というのは、現在の社会の矛盾は資本主義、つまりお金第一主義であることから生まれていると考えているからです。つまり金が全てを動かしているわけですから、資本主義においては金を持った人間が真実や正義不正義にかかわらず最高の支配者になれるのであります。

 ところがその資本主義の金の取り合いの建前は公平・平等の競争をさせて成功した人が、例えば現代ではアマゾンの創始者であるジェフ・ベゾスが18兆円の世界一の金持ちでありますが、その人たちが建前としては金儲けの競争で1位になったということです。ところがなぜ彼は地球の一番の大金持ちになったと思いますか?それは一言でいえば、頭が良すぎて競争で一人勝ちをしてしまったからだと断言できます。日本では一番の金持ち(世界40位)は、生まれは韓国でありますが、現在は日本人に帰化している孫正義であります。彼はインタビューで「金を儲けるチャンスを掴んだからだ」と言っていますが、こんな謙虚なコメントはありません。彼は全てにおいて天才であるからであります。もちろんその才能を発揮する努力においても天才であったからです。

 この世で一番不公平な出来事はなんだと思いますか?私が医者になって初めて知った真実は数え切れませんし、さらにもちろん私が初めて発見した医学の真実は数多ありますが、その真実の一つは、この世で最も変えられない最大の不公平を発見したことです。それは遺伝子を十分すぎるほど勉強したからです。それでは最大の不公平はなんでしょうか?人間の能力や才能、もちろん金儲けの才能も含めて、生まれたときに遺伝子によって決められているということです。ところがその能力は、明確にすることは非常に難しいのです。なぜならば人生において成功する才能というのは、一つの遺伝子によって決まっていないからです。もちろん才能だけではなく、チャンスも必要です。例えば、共産主義に生まれたら、どんな才能があっても金持ちにはなれませんね。いずれにしろ生まれ持った才能の違いというのは、おのずから成長とともに明らかになっていきますが、厳然とした頭の良し悪しはあるということです。したがって、生まれ持った才能の違いを無視して、様々な競争して金の取り合いをするのですが、ハンデをつけずに競争させれば、必ず金によって豊かさが決まる現実の生活に不公平・差別・不平等ができるのは当然なのです。

 私は、社会主義や共産主義が生まれたのは、金を稼ぐ能力が少ないしかし真面目な大衆のために生まれたと思います。ところが、共産主義においては、Amazon.comの創始者であるジェフ・ベゾスやMicrosoftのビル・ゲイツやソフトバンクの孫正義のように、世界一才能のある人は、世界優秀の富豪にもなれますが、うまれつき僕たちのように才能のない人は努力してもたいした金は稼げないというのは、実は極めて不平等限りないのです。つまり競争の出発点がそもそも違うからです。ですから、共産主義国家は才能有る無しにかかわらず給料は同じですから、最も稼げる人が全く稼げないわけですから、その結果共産主義国家の国民が稼いだトータル額は、資本主義を続け、頭のいい人はどんどん金を稼ぎ、並の人はこき使われて大して金を儲けることができないにもかかわらず、アメリカと比較して圧倒的にアメリカが勝つのは当たり前なのです。

 それに気づいた鄧小平をはじめとする中国人は、共産主義一本槍をやめて、才能有る無しにかかわらず全ての人のためになる一国資本主義を始めたのです。一国というのは共産主義であり、つまりは共産主義的資本主義であります。このシステムの出発点は、富の源泉である土地を全て国のもの、つまり国民のものにし、かつ頭のいい人間にはある程度までどんどん稼がせることなのです。もちろん土地は富の大源泉ですから、この土地だけは稼いだ人間に分けることはしなかったのです。このような世界史上初めてのシステムを採用することによって、40年も経たない間にアメリカが中国に恐怖や嫉妬やコンプレックスを感じるほどに大きくなりつつあるし、なったのです。

 世界の長者番付で中国人のトップは総資産額が4兆8000億円のテンセントの馬化騰(世界17位)であり、2番手がジャック・マー(20位)、3番手が許家印(24位)、4番手が王健林(26位)であります。ところが彼らの富は中国を支配している共産党が彼らの富も支配しているので、あまりある富は中国共産党によってかすめ取られ、貧乏人に援助という形で再分配されているのであります。だからこそ中国の中産階級は爆発的に増大し、毎年中国人の1億4000万人以上が世界中を旅行し、あらゆる渡航先の国で爆買いをしているのです。日本もその恩恵を被っているのです。

 もっと具体的に言えば、1949年に共産主義の中華人民共和国が成立したのでありますが、1979年に鄧小平が深圳市など4つの経済特別区の設置によって一国資本主義を開始するまでの30年間は、金持ちは中国人には誰一人いないどころか、全ての中国人が貧乏人だったのです。が、その後30年間でアメリカの覇権を脅かすまでに成長し、さらに世界の覇権をアメリカから取り返すことができるようになったのは一国資本主義という世界で初めての、いわば鄧小平主義が歴史上能力のない人間も能力のある人間も幸せになれる国家を作ることができたのです。このシステムがアメリカを怖がらせ、嫉妬を感じさせているのであります。アメリカも同じシステムを取りたいと思うのでありますが、残念ながら中国の現在のシステムを採用するには、まずアメリカの国土全体を国民の共有財産にする必要があります。これはアメリカが一番嫌いな共産革命をする必要があるのですが絶対に不可能です。なぜならば、現在の中国と同じように生まれた時の遺伝子によって決められた能力の有無にかかわらず、全ての人が満足のいく国にアメリカを再生させるためには、アメリカの土地をアメリカ国民の土地にするためには、共産主義革命をまずアメリカで起こす必要があるので、できるはずはないのでアメリカの愚かでアホな国民と共にトランプも中国の一挙手一投足が嫌いでたまらず、いらだっているのであります。アッハッハ!もちろん習近平は「人間は生まれた時の知能才能の違いがあるので一国資本主義のシステムを採用し、生まれた時の金儲けの才能の有無にかかわらず国民全てが豊かになるために採用した」とは明言していませんがね。アッハッハ!

 長い話になりましたが、さらにアメリカが作らせたノーベル経済学賞は、本来は生まれた時に才能にかかわらず、他人のエゴを傷つけずに真面目に汗水を流して生きた人が普通に幸せになれるための経済学賞であるべきなので、本来は人類を幸せにするための経済学賞であるはずなので、そのモデルである中国のシステムに与えるべきなのに、間違った資本主義を維持するための屁理屈の経済理論に長年ノーベル経済学賞を与えてきたことは大間違いであることを言いたかったのです。ついでにいえば、資本主義を賞賛する最高の著作は1776年にイギリスのアダム・スミスによって書かれた国富論でありますが、よく引用される言葉があります。「資本主義は見えざる神の手によって支配されている」と。こんなつまらない文章は次のように書き換えるべきです。「資本主義は隠された人間の貪欲によって支配され、貧富の差をもたらし、混乱を巻き起こし、結局は才能のない真面目な大多数が不幸になるだけである」と、言うべきです。

 同じように、ノーベル生理学・医学賞も最近はとんでもない病気作りの名人たちに与えられてきたという思いがしています。例えば、山中伸弥のiPS細胞も必ず失敗すると予言しておきましょう。今年のノーベル生理学・医学賞はオプジーボに関わった本庶佑に与えられたのでありますが、彼は記者会見で「オプジーボは1945年にノーベル生理学・医学賞をもらったフレミングが初めて見つけた抗生物質のペニシリン」となぞらえていますが、まるで外れています。なぜならば、遺伝子の成分であるRNAやDNAやアミノ酸は生命(単細胞)が作られる前に存在したのです。宇宙は138億年前に生まれ、46億年前に地球が生まれ、38億年前に初めて単細胞が生まれたのです。その単細胞が地球でできる前にRNAが最初にでき、その後で遺伝子が永続するために遺伝子が生命を作り出したのであります。したがって、RNAやDNAは自分の乗り物として、自分の住む家として生命を利用しただけだと考えられます。

 ところが常に人間は自分を中心に考えたがりますから、つまりエゴなる存在は人間そのものでありますから、DNAが変異してガンになるということは、人間が死ぬことではなくてDNAが設計図として役に立たなくなったことに気が付いていません。DNA自身も遺伝子の傷を治そうというシステムはありますが、ガンといわれる遺伝子の変異は傷ではないので、DNA自身の修復機能では治すことができない、いわば細胞自殺ではなくて遺伝子の狂い死にといっても良い現象だと考えられます。そういう現象を遺伝子は見越して自分の正常な遺伝子を半永久的に継がせるために、新たなる乗り物(子供)を人間が若い間に誕生させるために生殖細胞を作っておいたのです。したがって、人体を乗り物として充分利用し尽くしてしまえば、つまり乗り物が老化すれば最後は自分の遺伝子をガン化させることによって、最後は老化した人体もろともこの世から安心して遺伝子は消え去ることができるのです。なぜならば自分の遺伝子のコピーは既に新しい人体に残してあるからです。なんという遺伝子は賢くて貪欲でない乗客なのでしょうか?

 さらにもし自分の遺伝子で人体を乗り物としてもっと使うつもりだったら、何千年も遺伝子がガン化するという変異を起こすことはないはずです。したがってガンで死ぬということは、要するに寿命の一つの在り方なのであります。さらに本庶先生も気づかずにおっしゃっていますが、オプジーボは免疫療法になるという言い方をされていますが、逆にいうと、免疫を抑えるような治療や、自分の免疫を抑えるような生き方をした人は早くガンになるということですから、ストレスホルモンを出すような生き方はやめましょう。

 最後に付け加えれば、iPSもオプジーボも病気が治るどころか、最後は新たなる副作用である病気が増えるばかりですから、結局儲かるのは製薬メーカーと医者と研究者ですから、ノーベル生理学・医学賞は、正しくは「ノーベル生理学・医学・経済学賞」と名前を変えるべきでしょう!ワッハッハ!

 なぜこんな皮肉を言うのでしょうか?それはオプジーボの副作用が公表されているだけで17種類もあるからです。下に書き連ねましょう。間質性肺疾患、重症筋無力症、心筋炎、筋炎、横紋筋融解症、大腸炎、重度の下痢(クローン病や潰瘍性大腸炎)、1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)、免疫性血小板減少性紫斑病、肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎、甲状腺機能障害、副腎障害、腎障害、神経障害、脳炎、重度の皮膚障害、静脈血栓塞栓症、以上17種類ありますが、これに対する治療は全てステロイド治療ということになります。しかも一生治らない副作用が大部分であります。最後にみなさんに、この17種類の副作用はどうして生じたのかご存知ですか?という質問を出しておきます。次回答えを出してあげますから、それまで十分に考えてください。17種類とも全て同じ原因によるものであるとヒントは与えておきましょう。

 私は自分の病気を誰も診断できなかったので、自分で病名を知り自分で治すために3つ目の大学である京都府立医大に入り直しました。そこでも誰も私の病名を診断することができなかったのです。長い間悩んでいた右の強度な偏頭痛をはじめ、朝の起床時に倦怠感が強い上に頭が朦朧として起床不能、毎日12時間以上は就寝しなければ朝が起きられない、勉強し始めると耐え難い眠気に襲われて勉学に集中不能、常に表現不可能な不愉快さ、右腕右手の痺れ感、さらに常に死を願望しながら生きるうつ病状態などの精神障害や意識障害に20年以上悩み続けました。37歳で結婚したのですが、妻の父親が中国漢方の大家であり、その無料で大量に飲まされた漢方煎じ薬で、半年ほどで上に述べたような症状がどんどん消えていき、勉学に励むことができるほどに良くなりました。その後、本格的に初めて漢方医学と免疫学を独学で勉強し、機会あって開業し、免疫を抑えるステロイドをはじめ、痛み止め、解熱剤などの全ての免疫抑制剤を使わない治療を30年以上やることによって、あらゆる病気を治せる世界で唯一の医学である松本医学を確立したのであります。現代の病気の原因は、免疫寛容で共存できる化学物質であり、予防投与で共存できるヘルペスウイルスしかないということを発見したのです。

 私の病気も実はヘルペス性脳炎であり、ヘルペス性網膜炎であり、ヘルペス性自律神経障害であり、ヘルペス性知覚神経炎だったのです。今もなお、大量(4〜5倍量)の漢方煎じ薬と抗ヘルペス剤を毎日飲み、日本で一番元気な73歳の医者として病気を治すために現役で働いています。今私は、聖路加病院の名誉院長であった最近103歳で亡くなられた日野原重明先生に勝る104歳まで現役で自分の免疫でしか病気は治せないという治療で世界中の全ての病気を治すために頑張ります、アッハッハ!

 なぜ自分の病気のことを改めて書いたと思いますか?それはオプジーボの副作用が全てヘルペスによるものだということを示すイントロダクションにしたかったからです。先ほどのオプジーボの副作用の原因の答えを書いてしまいました。すみません。

 なぜ炎症性腸疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎が治りやすいのかという本論に戻りましょう。




 今日は、commensal bacteria(共生細菌)が、腸腔内から腸管のLamina propria(粘膜固有層)に紛れ込んだりした時に、どのように対応するのかについて話しましょう。左の絵を見ながら説明していきましょう。 元来、共生細菌が腸管の粘液を突破して上皮細胞に引っ付いたとしても、上皮細胞を突破して、その下にある粘膜固有層に到達することは難しいのです。なぜかと言うと、左の絵を見ればわかるように、上皮細胞に共生細菌が近づいてくると、DCという樹枝状細胞が上皮細胞の中を突き抜けて枝を伸ばし、上皮細胞の近辺にいるバクテリアを捕まえていることがお分かりになるでしょう。このようにDCは、あちこちの上皮細胞を突き抜けて共生細菌を取り込もうとしているのです。さらにM cellを見てください。M cellについてはこちらを読んでください。M cellはパイエル板にある細胞ですね。このパイエル板は小腸の末端である回盲部にたくさんあることはご存知ですね。

 クローン病の人は、この回盲部のパイエル板のM細胞から取り入れられた異物である化学物質とキャリアタンパクが結びついた抗原がLamina propria(粘膜固有層)に取り込まれ、ここで前回述べたように“resident macrophage” (M2型マクロファージ)に貪食され、ここで炎症が起こり始めます。“resident macrophage”(M2型マクロファージ)で処理ができなくなると、血管にいる単球を呼び出し、この単球は活性化されM1型マクロファージになってさらに戦いが激しくなり、炎症が何回も繰り返されると、その部分のLamina propria(粘膜固有層)が破壊され、繊維化が起こり、最後は狭窄が生じ、食べたものが通らなくなったりして回盲部の腸管の一部を摘出するという手術を余儀なくされてしまうのです。

 もちろんこのパイエル板は回盲部だけにあるのではなくて、小腸には200箇所もあるといわれています。従って、それぞれのパイエル板のM細胞から取り込まれた化学物質とキャリアタンパクが結びついた抗原がLamina propria(粘膜固有層)に取り込まれ、そこでLamina propria(粘膜固有層)において同じように炎症が起こり、その時に痛みが出たり、熱が出たり、最後は狭窄が起こって、その部分の切除をしなければならなくなるのです。ところがさらに処理できないバクテリアは、DC(樹枝状細胞)によってリンパ管を流れて、絵の下に書かれている腸間膜にある非常に大事なリンパ節の一つであるMesenteric lymph node(腸間膜リンパ節)に運ばれていきます。そこで抗原提示細胞(APC)である樹枝状細胞は、運んできた抗原複合体や細菌やウイルスをナイーブT細胞(ヘルパー1T細胞やキラーT細胞)に提示して、活性化します。活性化した2種類のT細胞は血管を通って再び戦場であるLamina propria(粘膜固有層)に戻り、そこで敵と戦い始めます。と同時に、戦場にいる大食細胞はインターロイキン1(IL-1)やTNFαをどんどん産生します。すると、Lamina propria(粘膜固有層)に分布している毛細血管の血管内皮細胞がIL-1やTNFαを嗅ぎ付けます。すると毛細血管を超スピードで流れている好中球の細胞膜にひっついているセレクティン・リガンドと血管内皮細胞についているセレクティンが結びつくと、好中球の流れの速さがスローになります。さらにLamina propria(粘膜固有層)の組織にいる補体(complement)も、敵である抗原(免疫複合体や細菌)に結びつくと、補体はC5aになります。CというのはComplementの略です。C5aは、ケモアトラクタントともいい、英語で“chemoattractant”といい、化学誘引物質と訳します。(補体についてはこちらを読んでください。)かつ組織にいる細菌は細胞膜の一つの成分であるLPSという分子を放出します。LPSはリポポリサッカライドといいます。日本語で脂質多糖類体と訳します。LPSやC5aが炎症性シグナルといいます。組織にこの炎症性シグナルであるLPSやC5aが増えると、このシグナルを毛細血管にある好中球が気づいて、好中球は蓄えておいたインテグリン(INT)という化学物質を好中球の細胞膜に運びます。このインテグリン(INT)は毛細血管の内細胞に常に表出されているICAMと結びつきます。ICAMというのは、“Inter cellular adhesion molecule”の略であり、日本語では「細胞間接着分子」と訳します。INTとICAMが結び付くと、毛細血管の好中球は結合した場所で走ることを止めてしまいます。ひとたび好中球が走ることをやめます。その間に組織には細菌のタンパクの破片であるN-ホルミルメチオニン(N-Formylmethionine)というペプチドです。N-Formylmethionineは略してfMetといいます。先ほど述べたC5aと同じくfMETはケモアトラクタントであり、血管から血管外へ好中球を運び出してくれるのです。好中球は血管外に出ると大食細胞が出すTNFαによって活性化され、敵である細菌などを貪食する力が増えるのです。

 なぜ血管からLamina propria(粘膜固有層)という組織に、どのようにして好中球が出ていくのかを詳しくしたのは、実は私自身のためなのです。勉強というのは人のためにするのではなくて、深い真実を完全に自分が理解するためですね。真実を知りたい人は難しいですがついてきてください。このようにして好中球も腸管のLamina propria(粘膜固有層)に出て戦いをした結果、腸管に炎症が起こり化膿したりして、化膿巣を除去するために手術する必要がある時があります。虫垂炎も同じ機序で起こるのです。虫垂炎もリンパ節であることはご存知ですね。

 腸管というのは、常に悪玉菌も常在細菌として常に存在している上に、飲食物に含まれる様々な細菌が毎日毎日入ってくるわけですから、上に述べたような炎症が起こっていればたまりませんね。そこで腸管の免疫は特別なシステムが進化したのです。炎症を起こす最初の細胞はマクロファージ(大食細胞)ですね。先週書いたように、マクロファージにはM1型とM2型の2つあることは書きましたね。そこで述べたように、腸管のマクロファージはM2型に属することは覚えてますか?元来、炎症を起こすのは、炎症細胞の代名詞にもなっている大食細胞であります。上の絵で示したように、大食細胞は血管から自分と同じ仲間の退職細胞や好中球を血管から戦場に集めますね。ところが既に述べたように腸管のLamina propria(粘膜固有層)のマクロファージは、炎症を起こさない“non-inflammatory maclophage”に進化したのです。様々な実験でもこの事実は証明されています。言い換えると、Lamina propria(粘膜固有層)のマクロファージは、敵を貪食する力は強いのでありますが、貪食した後、全面的な戦いをやったり、その結果炎症を起こすようなシグナルとなるサイトカインを放出しないということがわかっております。その結果、腸管の共生細菌がたまたまLamina propria(粘膜固有層)に漏れ出ても、継続して激しい戦いはしないということがわかっているのです。あるいは、Lamina propria(粘膜固有層)以外の他の組織では、激しい戦いをする病原性の強い細菌やウイルスとの戦いも炎症を起こさない温和な戦いであるということもわかっています。

 それでは強力な病原体がきたときは、腸管の免疫はどのような戦いをするのでしょうか?例えば共生細菌にしろ病原性の強い細菌が大量に侵入した時に、危険な侵入者に対してどのように対処するのでしょうか?上で説明したように、腸管に強力な敵が侵入します。 すると樹枝状細胞は手を伸ばして捕まえたり、M細胞が捕まえたりしてLamina propria(粘膜固有層)にまで運び込みます。強力な的ですから、Lamina propria(粘膜固有層)にいる大食細胞や好中球だけでは処理できなければ、その敵を樹状細胞がLamina propria(粘膜固有層)の下にある腸間膜リンパ節に運ばれます。腸間膜リンパ節はリンパ節の中で一番大きくて立派だといわれます。抗原提示細胞(APC)である樹状細胞は、その細菌の敵の抗原を認識するヘルパー1T細胞(Th1)に提示します。そうすると、Th1細胞は活性化されます。活性化されたTh1細胞は、IFNγというサイトカインを分泌します。IFNγはLamina propria(粘膜固有層)にいるマクロファージの殺菌力を高めます。Th1は既に述べたように、インターロイキンを産生します。しかも腸管の上皮細胞は恒常的にTGFβというサイトカインを作っています。このIL-6とTGFβが、ナイーブT細胞をTh17細胞に変えます。このTh17という細胞は、腸管の免疫において極めて重要な仕事をしてくれます。このTh17細胞炎症を起こす力が極めて強いのです。というのはこのTh17細胞IL-17とIL-21とう2つのサイトカインを産生します。とりわけIL-17は、Lamina propria(粘膜固有層)の毛細血管から大量の好中球を血管外へ呼び寄せるのです。ちょうど上の説明でfMETとC5aというケモアトラクタント(化学誘引物資)が血管外へ好中球を呼び寄せるのと似ています。ところがIL-17は、fMETやC5aよりもはるかに血管外へ好中球を呼び寄せる力が強いのです。さらにIL-17とIL-21というサイトカインは、腸管の上皮細胞どうしを結びつけているタイトジャンクション(密集結合)という働きを強めます。つまり密集結合とは、分子が通過できないようにする細胞間結合であります。Th17の出すサイトカインであるIL-17とIL-21の3つめの働きは、粘液の産生を高めます。4つめは、腸管の特徴的な抗体であるIgAがLamina propria(粘膜固有層)から腸管腔内へ上皮細胞を通って輸送されるのを促進します。これをトランスサイトーシス(transcytosis)といいます。この腸管腔内に輸送されたIgAは腸管腔内にいる細菌と結びついて、細菌と一緒に便として出されてしまいます。
 次回はIgA抗体について詳しく書きます。

今日はここまでです2018/10/25



 まず、何のために免疫は抗体を5種類も作ったと思いますか?抗体は細菌やウイルスを殺す特異的なIgGだけで十分ではないかと思いませんか?残念ながら生命が生き続けるためには敵を殺すだけでは生き延びることはできないのです。敵と共存するためにも免疫の働きが必要であるということを私は証明したいのです。化学物質のみならず腸管の無限大の常在菌と共存できることをさらに詳しく証明したいのです。

 血液の中で圧倒的に一番多いのは敵を殺すためのIgGであります。IgGとはなんでしょうか?IgGというのは、“immuno globulin G”の略であります。“immuno”は日本語で「免疫」と訳します。これはみなさんご存知でしょう。それでは“globulin”とは何かについて話を始めましょう。

 グロブリンは極めて簡単にいうと、単純タンパク質の一群のことであります。それではまず単純タンパク質とはなんでしょうか?タンパク質の分類の一つで、アミノ酸のみから成り、他の化合物を生成しないタンパク質のことであります。例えばIgGやIgAやIgEなどの免疫抗体や、ケラチン、コラーゲンなどがあります。単純タンパク質に対して、色々な化合物を生成するタンパク質のことを複合タンパク質といいます。免疫抗体のことを“immuno globulin”ともいいます。

 もうひとつのタンパク質の分類の仕方に、三次元的な形によるタンパク質の分類があり、大きく繊維状タンパク質と球状タンパク質の2つに分けられます。最も有名な球状タンパク質はヘモグロビンでありますが、他には免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM)やα、β、γグロブリンなども球状タンパク質に分類されています。

 免疫抗体のことを免疫グロブリンともいい、英語で“immuno globulin”といいます。また、ほぼ全ての代謝にかかわる酵素やシグナル伝達タンパク質も球状タンパク質に分類されています。球状というのは英語で“globe”といい、球状に見える免疫抗体を“globulin”といいます。「免疫」というのは英語で“immuno”というので、まとめて免疫抗体のことを英語で“immuno globulin”と名付け、「Ig(アイジー)」と略されます。免疫抗体は、文字通り英語に訳せば“immune antibody”になるのですが、どういうものか“immuno globlin”というのです。従って「免疫抗体G」のことを、英語では“immuno globulin G”といい、略して「IgG」と呼ぶのです。同じように「免疫抗体A」のことを「IgA」と呼ぶのも同じです。

 みなさん、抗体はY字型になっているといつも言っているので、抗体が球状であるというイメージは違和感があるでしょう。タンパク質というのは2次元で説明することはできません。3次元の世界ですから、実は抗体は球状になっているということを理解してください。

 次に“immuno globulin”のことを、ときに“gamma globulin(γglobulin)”ともいうのですが、それはなぜでしょうか?球状タンパク質は電気泳動法を使った分類により、3種類に分けます。下の図を見ながら読んでください。下の図にはグロブリンの中にはαとβとγがありますね。その役割は、αとβは血中の化学物質を輸送する仕事をし、他の物質が作られる基質としての役割もαやβなどの球状タンパク質が果たします。基質とは酵素の作用を受けて化学反応を起こす物質のことです。それ以外にも様々な役割を果たします。ガンマグロブリン(gamma globulin 略してγgといいます)は、大部分がまさにIgGのことであり、感染に対する抗体として役割を果たしています。このガンマグロブリンの中には腸管免疫の王者であるIgAも含まれていますが、血中には極めて少ないのです。言い換えると、γgの中にはほとんどIgAが含まれていないことも知っておいてください。その理由は後でわかります。

 上で述べたように球状タンパク質であるα、β、γは電気泳動法によって分けられます。電気泳動法によって分けられたグラフを左に掲げましょう。電気泳動法は簡単に言うと、タンパク質やDNAは電圧をかけたときに移動する性質があるため、この移動距離の違いによって分離を試みる方法です。左の図は血液の血清中にあるタンパク質を分けたグラフであります。大きくAlubumin(アルブミン)とGlobulin(グロブリン)に分けられます。グロブリンはさらに4つに分かれていますね。電気泳動法によってグロブリンはα1、α2、β、γの4つに分けられているのはわかりますね。

 皆さんはギリシャ文字のアルファベットの読み方はご存知ですか?まず最初はアルファ(α)から始まり、最後はオメガ(ω)で終わる24文字であります。はじめから日本語の読み方でいうと、アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ゼータ(ζ)、イータ(η)、テータ(θ)、イオタ(ι)、カッパ(κ)、ラムダ(λ)、ミュー(μ)、クサイ(ξ)、オミクロン(ο)、パイ(π)、ロー(ρ)、シグマ(σ)、タウ(τ)、ウプシロン(υ)、ファイ(φ)、カイ(χ)、プサイ(ψ)、オメガ(ω)の24文字であります。従って、ガンマ(γ)はギリシャ文字のアルファベット順にはじめから数えると、α、βの後に来る3番目に来る文字であるので、電気泳動法で分類した、3番目の球状タンパク質ということになりますね。

 ところが、図の一番左にアルブミンがありますね。アルブミンは別格のタンパク質なのです。アルブミンも実は球状タンパク質でありますが、血清タンパク質の60%を占める最も量の多いタンパク質ですから、グロブリンの中にはいれないのです。しかも臨床医学においても極めて大切なタンパク質ですから、別枠になっているのです。それではアルブミンについて勉強しておきましょう。

 ご存知のように、採血後の血液を放置したり遠心分離機にかけますと、上澄み成分である血清と血球成分に分かれてしまいます。この血清中に全てのタンパク質が含まれており、タンパク質の総量を総タンパクといいます。総タンパクには様々なタンパク質が含まれていますが、はじめに説明したように、その血清総タンパクは大きく分けてAlubumin(アルブミン)とGlobulin(グロブリン)の2つに分けられます。アルブミンは肝臓で合成されますが、
グロブリンはリンパ節や脾臓などのBリンパ球が産生します。アルブミンが減少した場合には、肝障害や腎障害の可能性があります。また、グロブリンの数が異常になった時には、リンパ組織が関わる事から、悪性腫瘍や自己免疫疾患の可能性があります。 (自己免疫疾患などはないことはご存知でしょうが)

 

 アルブミンとグロブリンの数値は病気に直接かかわっているので、このアルブミンとグロブリンの比率を求める検査を「A/G比(アルブミン(A)/グロブリン(G)比)」といい、肝臓や腎臓の疾患の有無と種類、重症度を診断する際に必ず使われるのはご存知でしょう。ます。アルブミンは、血清総蛋白の約60%を占めるタンパク質成分で、減少すると、疲れやすくなったり、だるくなったり、浮腫を起こしやすくなり、重度の肝疾患が疑われます。それは、タンパク合成の低下は低栄養や肝機能障害が隠れているからです。無理なダイエットでも同じ症状が現れることがあります。

 さぁ、本論に戻りましょう。免疫グロブリンの中に含まれているIgAが腸管免疫の中でどのように腸管にいる200兆個の細菌と共存しているかという話をするのに、例のごとく寄り道をしすぎたことを謝ります。アッハッハ!

 まずIgGとIgAはどこが違うのでしょうか?いつもいつも言っていますように、IgGは生きた敵を殺すための武器であります。従って殺し合いになるので炎症が起こります。炎症とは何かについてはこちらを読んでください。医者も患者も炎症という言葉を気軽に使っていますが、残念ですが実は深い意味があることを十分に理解していない節があります。まず、IgAの性質や一般的な役割についてまず説明しましょう。

 人体の中で一番多いのは実はIgGではなくてIgAなのです。確かにIgGは血液中では最も多い抗体でありますが、IgAは残りの4つの抗体であるIgD、IgG、IgM、IgEを合わせた抗体の量よりもたくさん作られているのです。なぜそんなにたくさんIgAを作る必要があるのでしょうか?それは人体の腸管の粘膜を守るための抗体であるからです。もちろん他の粘膜を守ってくれるのは言うまでもないことです。既に書きましたが、人間は腸管の粘膜表面を400㎡も持っているので、その全てを守る武器はまさにIgAであるからです。粘膜というのは消化器官、呼吸器官、泌尿生殖器官が含まれます。従って、IgAは血管に流れているのではなくて、粘膜を持っている器官の下に配置されているのです。何回も言いますが、粘膜の表面で作られるのではなくて、粘膜の下のリンパ節で作られていることを忘れないでください。実際に粘膜下に、例えばlamina propria(粘膜固有層)にいるB細胞の80%がIgAだけを産生しているのです。もちろん残りの20%のB細胞は、IgGやIgMやIgEを作っているのです。B細胞というよりもB細胞が分化した形質細胞が作っているのです。

 それではなぜIgA抗体は粘膜の防壁を超えて粘膜下に侵入した敵に対して腸管を守るのに、IgGよりも上手に仕事ができるのでしょうか?IgA抗体について図を見ながら説明しましょう。粘膜下組織(例えばlamina propria)で作られたIgA抗体は、2つが結びつけられています。それは図のように“clip”で結びつけられて二量体になっています。この“clip”は“J chain”といいます。“J chain”は“Joint chain”という意味で使われています。IgA抗体はもちろん血中にもあるのですが、血中にあるときには“J chain”で結びつけられてはいなくて、単体で行動します。“J chain”で結びつけられた二量体は、粘膜の上皮細胞によって取り込まれ上皮細胞の中を通り抜けて、粘膜の表面に出ることができるのです。これをトランスサイトーシスといい、英語で“transcytosisと書き、日本語ではまだ訳されていません。例えばこのトランスサイトーシスで腸管の上皮細胞をくぐり抜けて腸管腔まで出てしまうと、腸管腔にいる敵である莫大な細菌と結びついてしまうと、その細菌どもは腸管の上皮細胞にひっつくことができないのです。ひっつかない限りは上皮細胞に入り込んで、粘膜下まで侵入することはできないのです。しかもIgGよりも両手が2倍ありますから、数多くの細菌と結びつくことができるので効率がいいのです。4つの手で結びついた細菌を粘液や便と一緒に人体から排除することできるのです。

 さらに“J chain”で結びついた二量体のIgA抗体は腸管腔にある様々な酵素や酸に対して極めて強いので溶かされることがないのです。皆さん、お母さんの母乳にたくさんIgA抗体が含まれているのを知っていますか?この二量体のIgA抗体はミルクとともに、赤ちゃんの腸の粘膜に引っついて、赤ちゃんが取り込む様々な細菌に対して防御の仕事もしてくれるのです。なぜならば赤ちゃんの体に入る細菌のほとんどが口から侵入するからです。ところがIgGの方がIgAよりも抗体として勝っている点があります。それは“J chain”は上の図を見ればおわかりのように、2つのIgAのしっぽ(Fc部分)に引っ付いているので、補体が引っ付くことができない点であります。補体について思い出してもらいたいのですが、補体の活性化経路で古典的経路のことを覚えておられますか?C1(C1qC1rC1s)は、IgMとIgGでしか活性化されないのです。IgAは補体の活性化とは全く関係ないのです。補体についてはこちらを読んでください。

 もちろんIgAは腸管で補体と結びつくと炎症が起こるので、目的的に補体と結びつかないようになっているので、粘膜以外で作られることがないのです。つまり補体と結びつかないということが二量体のIgAの長所であり、二量体でなければならない理由であります。というのは、炎症を起こす好中球や大食細胞やNK細菌は、IgAのしっぽの引っ付くことがないので炎症が起きないからです。もしIgAのしっぽに補体がついたり、炎症細胞である好中球や大食細胞やNK細菌が引っ付いてしまえば、それこそ毎日腸管は炎症を起こし続け、食べたものが吸収されないどころか、慢性炎症性腸疾患を起こして人類は滅びてしまうでしょう。もちろん、炎症性腸疾患といわれる自己免疫疾患は、細菌と戦っている病気ではないのですよ。戦わないようにIgA抗体がいつも腸管の粘膜のみならずあらゆる人体の粘膜を守っているからですよ。従ってクローン病や潰瘍性大腸炎は細菌との戦いで生ずる病気ではないのです。いつも言っているように、化学物質とIgGで戦っているだけです。IgGをIgEにクラススイッチしてアレルギーに変え、最後は免疫寛容で化学物質と共存できるようになっているのです。

 にもかかわらず、消化器の専門家の先生方は、一切IgAの話もクラススイッチの話も免疫寛容の話もしませんね。私のようなアホでもわかっていることが、どうして最優秀の先生方が気づいていないのか、私は不思議でなりません。この世にIgGをIgAにクラススイッチする意味は、まさに腸管腔に死ぬまで1000種類の200兆といわれる腸内細菌と炎症を起こさないために生命発生以来38億年の免疫の進化の賜物であるのです。要するに細菌を腸管の粘膜組織であるlamina propria(粘膜固有層)に入り込まさないためにIgGやIgMをIgAに変えてしまうという離れ業を高等免疫が演じる舞台が、まさに腸管の粘膜であるのです。

 ちなみに、抗体の働きを現代医学は液性免疫という言い方をしますが、これは実は間違っているのです。IgGやIgMは確かに血液やリンパ液という液体を通じて運ばれ、炎症を起こしている組織の戦場で活動しています。ところがIgAはほとんど血液やリンパ液を通じて仕事をすることはありません。ただし腸間膜リンパ節で作られた抗体やT細胞は血管やリンパ管を少しだけ利用することはありますが。さらにパイエル板のM細胞で運ばれた抗原が腸間膜リンパ節に運ばれるときに、リンパ管を少しだけ利用することがありますが。いずれにしろ、あくまでもIgA抗体は粘膜下で作られ、粘膜の表面に分泌される抗体でありますから、IgAのことを分泌抗体ということがあります。しかもこの分泌抗体であるIgAの方がはるかにIgGやIgMよりも大量に作られているわけですから、抗体の働きは本当は量からいくと分泌免疫というべきではないでしょうか?アッハッハ!この事実も私が世界で初めて見つけたのですが(??)、ノーベル賞はもらえるでしょうか?アッハッハ!

 以上をまとめながら、さらに腸管免疫におけるIgAの働きをもっと具体的に補足しながらお話しを続けましょう。lamina propria(粘膜固有層)にいるB細胞(形質細胞)によって生み出された抗体がIgA抗体であります。IgAは特別にあらゆる粘膜の表面を守るために、粘膜の下の結合組織で作られた抗体であります。二量体になったIgA抗体は、トランスサイトーシス(transcytosis)という働きによって上皮細胞を通りぬけ、腸管腔に放り返されます。放り返された二量体のIgAは腸管腔にいる敵と戦って炎症を起こすのではなくて、便に排除するという平和的な受身的な仕事をするのです。これはちょうど殺しきれない化学物質をIgE抗体で排除するのと非常に似ていると思いませんか?もっと似ているのは、私が世界で初めて見つけた真実でありますが、アレルギーも最後はアレルゲンと免疫寛容をTGFβによって起こすことによってアレルゲンと共存できるという最終段階は、分泌抗体であるIgAもTGFβによって免疫寛容を起こすことによって腸管の常在菌と共存しているのです。この意味でも、IgAとIgEは同じ仲間といえます。

 IgA分子が単に腸管腔のみならず、あらゆる人体の腔にいる細菌が腔を覆っている粘膜上皮細胞を超えて、実質細胞でできている粘膜下に入ることを防御するのみならず、わざわざ粘膜下から上皮細胞を通り抜けて、腔にまで出て、その腔の中にいる細菌を粘膜下に入れまいとするのみならず、さらに粘膜下(lamina propria)に入ってくる敵をも、二量体のIgAと結びつけて、細菌という荷物を再び粘膜上皮細胞を通り抜けて腸管腔まで追い返して、最後は便として排除するという涙ぐましい平和的な防御作戦をとっているのです。あくまでもIgA抗体は炎症を絶対に起こさないという涙ぐましい戦いを一生やってくれるのです。繰り返しになりますが、最も重要な分泌IgAの働きは、絶対に炎症を起こさないということです。このIgA抗体のFc部分は、いわゆる免疫系の細胞が持っているどんな受容体とも結びつくことができないようになっており、従って炎症反応は絶対に起きないようになっているのです。反対にIgGが炎症を起こすことによって人体を本当の細菌から守るために生まれてきたのとは、まさに対照的ですね。

 皆さんレチノイン酸をご存知ですか?レチノイン酸とはビタミンAの代謝産物ですね。このレチノイン酸が腸管の樹状細胞から作り出され、Bリンパ球からIgAの産生を促進するということがわかりました。さらにレチノイン酸がIgAを分泌する形質B細胞に「お前の家は腸管である」ということを刻印させ、たとえ腸管のリンパ節から血管やリンパ管を通って人体をあちこち動き回っても、必ず最後は腸管の周辺の組織に戻るということがわかっております。さらにIgGやIgMからIgAにクラススイッチするためには、CD4+のヘルパーT細胞に発現しているCD40LがB細胞の細胞膜に発現しているCD40に引っ付く必要があるごとはご存知ですね。このT細胞のCD40Lの働きが共刺激(Co-stimulation)であることは既に述べたことがあります。共刺激についてはこちらを読んでください。

 腸の免疫システムではB細胞はこのT細胞の共刺激の働きがなくてもIgAを作るクラススイッチが可能であるのです。それがCD40Lの働きに変わる他のタンパク質が腸管の環境の中にあるのも分かっております。その他のタンパク質が腸管のB細胞に発現しているCD40 というタンパク質に結びついて共刺激の役割を果たしているということも分かっております。これについては次回さらに詳しく書きます。

 とにかく先ほども述べたように、現代の免疫学は腸管の免疫がいかに特殊であり免疫寛容を起こしやすいかということを全く理解していないのです。残念です。私はアホですが、勉強すればするほど、自己免疫疾患はあり得ないどころか、永遠に治らないと宣告されているクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患も、患者の免疫で炎症性腸疾患の原因である化学物質に対して、最後はTGFβを作って免疫寛容を起こして必ず治るということを理論的に証明するために勉強し続けています。いくらでも難しい免疫の真実と理論を書き続けることができますが、次回乞うご期待!単に理論を勉強しているわけではないのです。毎日の臨床で患者の免疫で治させる仕事をしております。何が一番楽しいかと言いますと、世界中の医者が絶対に直せないと断言する病気を治すことほど楽しいことはありません。世界中の医者が私の真似をしてくれることを念じながら今日の仕事はここで終わります。

今日はここまでです。2018/11/01


 先週お約束した通りに、結論をいくつか殴り書きして終わってしまった話について詳しく書きましょう。まずレチノイン酸についての話です。

 レチノイン酸はビタミンAの代謝産物であり、このレチノイン酸が腸管の樹状細胞から作り出され、Bリンパ球からIgAの産生を促進します。さらにレチノイン酸が腸管にいる形質B細胞にIgAを分泌させたあと、他の組織に出て行ったとしても、必ず最後は腸管の周辺の組織に戻るということを書きました。さらにレチノイン酸について追加しておきます。レチノイン酸は腸間膜リンパ節にある“stromal cell”で、日本語では支持細胞とか間質細胞といわれる細胞から産生されます。“stromal cell”という言葉はよく出てきますが、実態がよくわからない細胞です。一応、支持細胞の定義を言いますと、生体組織の支持構造を構成し、実質細胞を支える細胞であります。支持細胞には、線維芽細胞、免疫細胞、血管内皮細胞および炎症性細胞があります。ついでに言えば、このような支持細胞(間質細胞)と腫瘍細胞との相互作用が知られており、癌の増殖と進行に大きな役割が認められています。難しいですがついてきてください。

 このような支持細胞(間質細胞)から出されたレチノイン酸は、さらに多くの樹状細胞の働きであるIgAの産生を高めます。レチノイン酸を産生する樹状細胞は、小腸に200個あるといわれるパイエル板においても認められ、パイエル板自身のみならず腸間膜リンパ節においても抑制Tリンパ球を生み出し、腸管で免疫寛容を起こしやすくしてくれます。このような抑制Tリンパ球を“inducible regulatory helper T cell”といいます。略して“iTreg”といいます。日本語で「樹状細胞に誘導された制御性Tリンパ球」となります。既に述べたように、この腸管にいる樹状細胞はtransforming-growth factorβ(TGFβ)を産生して、T細胞をiTregに変えて、共生細菌に対して免疫寛容を起こしやすくしているのです。このようなiTregは、小腸のみならず大腸や肺の粘膜においても見られ、これらの粘膜に常在している無害な共生バクテリアに対して免疫寛容を起こしやすくしているのです。

 ビタミンAからレチノイン酸が作られるのですが、このビタミンAはどこから入ってくるのでしょうか?まず一つは、ビタミンA(レチノール)が動物性食品に多く含まれているので、動物性食品から入ってきます。ところがもう一つのルートは、緑黄色野菜や海草に多く含まれる色素の一種であるβ-カロテンが、小腸の吸収上皮細胞や肝臓や腎臓において分解されてビタミン A になります。つまりβ-カロテンは体内でビタミンAに変化する前駆体のプロビタミンAであります。ついでに言えば、レチノイドの名前が網膜 (retina) に由来するように、網膜細胞の保護にも用いられ、欠乏すると夜盲症などの症状が生じることはご存知でしょう。また、DNAの遺伝子情報の制御にも用いられることも知っておいてください。例えばビタミンAは過剰に摂取すると、分化している細胞の遺伝子情報の制御に影響し、胎児奇形の発生のリスクが高まるといわれています。ビタミンAの1日の上限許容量は5000IUとされています。妊娠12週までにビタミンAを連日15000 IU以上摂取すると、水頭症や口蓋裂等(口唇裂、兎唇)、胎児奇形発生などの危険度が、ビタミンA摂取量5000 IU未満の妊婦に比して、3.5倍高くなると報告されています。一方欠乏した場合は、未分化性の胎児奇形(単眼症など)のリスクが生じます。β-カロテンは体内に入ってビタミンAが十分ならビタミンAに変化しない為、緑黄色野菜や海草をいくらとっても気にすることはありません。

 寄り道はやめて本論に戻ります。肝臓の細胞で蓄えられているレチノール(ビタミンA)は、胆汁酸によって小腸に運ばれ、小腸の壁(粘膜固有層)の中にいる樹状細胞(樹枝状細胞)がレチノイン酸を作るのに必要な原料となるのです。もう一度復習しておきますが、なぜ樹状細胞が作るレチノイン酸が必要なのでしょうか?2つ必要な理由があります。iTreg細胞を作るためと、iTregになったT細胞が再び腸管に戻るための分子を発現させるためです。この分子とは何かを説明する必要があります。

 この分子こそ、前回書いた文章の『さらにレチノイン酸がIgAを分泌する形質B細胞に「お前のふるさとは腸管である」ということを刻印させ、たとえ腸管のリンパ節から血管やリンパ管を通って人体をあちこち動き回っても、必ず最後は腸管の周辺の組織に戻らせる』のはなぜなのかを詳しく説明することになるのです。この説明をする前に、医学術語であるケモカインとケモカインレセプターをまず知っておいてもらいたいのです。難しいでしょうがついてきてください。

 ケモカインは、英語で“chemoattractant cytokine”といいます。時には“chemoattractive cytokine”といいます。日本語で「化学誘引物質」と訳すことは既に述べました。“chemo”は化学、“attractant”は誘引、“cytokine”はサイトカインですね。具体的には、化学誘引物質とは、化学的に何かを引きつけるという意味です。ここが今日のポイントなんです。まさにケモカインは、腸管にBリンパ球やTリンパ球や好中球や大食細胞や樹状細胞や単球やNK細胞や好酸球や好塩基球や肥満細胞などの血管やリンパ管に流れているあらゆる免疫細胞を、血管やリンパ管から必要な組織に流出するように誘引する物質なのであります。かつ、誘引されるためにはこれらの全ての免疫細胞に誘引されて特異的に結合するレセプターという独自のタンパク質が発現されなければならないのです。

 このタンパクを発現させることが「お前のふるさとは腸管である」ということを刻印させるということなのです。つまりワクチンと同じように、自分で働く場所や役割を覚えさせることですから、記憶させることを刻印させると言っているのです。

 みなさんは、免疫細胞は勝手気ままにアトランダムに血管やリンパ管を動き回って、かつ組織に出てしまうと考えられておられるでしょうが、半分は正しいのです。全ての免疫細胞は骨髄で作られ、作られた免疫細胞は全て末梢血に出て行きます。これらの生まれたての免疫細胞は例えばナイーブなT細胞とかバージンT細胞とかといわれるものです。このような未経験なあらゆる免疫細胞は、自分が働く必要がある敵に出会うまでは、それぞれ気ままに血管やリンパ管やリンパ節を動き回っています。ここまでは免疫細胞は自由気ままなのであります。ところが持って生まれた特異的な自分の役割を果たすべき敵と出会うと、初めて自由気ままな生活をやめるのです。自分が対処できる特異的な敵とひとたび出会えば、その敵とどこでどのようにして処理したか、その経験を全て覚えさせられるのです。つまり生まれ持った自分の仕事の役割を果たすべく、遺伝子の中に必要なタンパクを発現させる準備がそれぞれ出来上がっているのです。

 ワクチンを投与するときも、もちろん弱い敵でありますが、そのワクチンという弱い敵に対して最終的にはメモリーT細胞に、どんなタイプの敵であり、かつどこでどのように戦ったのかをしっかり覚えさせるシステムを発現させます。そしてそれを覚えておき、本当の敵が入った時にすぐに対応できるように用意させられるのです。例えば、百日咳のワクチンであれば、そのワクチンによって免疫をつけられたメモリーT細胞は、常に呼吸器の粘膜周辺にとどまり、他の部位の粘膜に行ったり他の組織にとどまることがないようになっているのです。しかも百日咳という細菌しか認識できないようになっているのです。そして本当の百日咳菌が侵入した時にのみ、「敵が百日咳の細菌であり、呼吸器の病気である」ということを記憶の中に刻印されているので、すぐに呼吸器の粘膜で敵を殺す仕事ができるのです。

 前々回にケモアトラクタントの話はしたことを覚えておられますか?それは毛細血管から好中球がどのようにして組織に流れ出すかという話で説明しました。今後の話がしやすいので再掲載しておきましょう。

 「毛細血管を超スピードで流れている好中球の細胞膜にひっついているセレクティン・リガンドと血管内皮細胞についているセレクティンが結びつくと、好中球の流れの速さがスローになります。さらにLamina propria(粘膜固有層)の組織にいる補体(complement)も、敵である抗原(免疫複合体や細菌)に結びつくと、補体はC5aになります。CというのはComplementの略です。C5aは、ケモアトラクタントともいい、英語で“chemoattractant”といい、化学誘引物質と訳します。かつ組織にいる細菌は細胞膜の一つの成分であるLPSという分子を放出します。LPSはリポポリサッカライドといいます。日本語で脂質多糖類体と訳します。LPSやC5aを炎症性シグナルといいます。組織にこの炎症性シグナルであるLPSやC5aが増えると、このシグナルを毛細血管にある好中球が気づいて、好中球は蓄えておいたインテグリン(INT)という化学物質を好中球の細胞膜に運びます。このインテグリン(INT)は毛細血管の内皮細胞に常に表出されているICAMと結びつきます。ICAMというのは、“Inter cellular adhesion molecule”の略であり、日本語では「細胞間接着分子」と訳します。INTとICAMが結び付くと、毛細血管の好中球は結合した場所で走ることを止めてしまいます。ひとたび好中球が走ることをやめます。その間に組織には細菌のタンパクの破片であるN-ホルミルメチオニン(N-Formylmethionine)というペプチドです。N-Formylmethionineは略してfMetといいます。先ほど述べたC5aと同じくfMETはケモアトラクタントであり、血管から血管外へ好中球を運び出してくれるのです。好中球は血管外に出ると大食細胞が出すTNFαによって活性化され、敵である細菌などを貪食する力が増えるのです。」

 まさにこの文章はケモアトラクタントとケモアトラクタントに対するレセプターの話であると同時に、血管やリンパ管から免疫細胞を炎症巣に運びだそうとする様子をビビッドに描いています。上の文章に書いてあるように、セレクティン・リガンド、セレクティン、C5a、LPS、インテグリン、ICAM(Inter cellular adhesion molecule 細胞接着分子)、N-ホルミルメチオニン(N-Formylmethionine)の全ての医学術語は、今日のトピックスの説明の道具になり、かつ答えそのものなのです。
 つまり好中球が血管から炎症巣に出ていくためには、いくつかの装置が必要なのです。しかもあらゆる免疫細胞は血管とリンパ管と様々な種類のリンパ節を動き回っているだけでは何の意味もないのです。あくまでも人体の組織に入ってきた敵をやっつけるためには、必ず脈管外へ出ていかねばならないのです。

 そのためには、3つの装置が必要です。好中球の場合は、好中球が炎症巣に出ていくためには、まず1つめは、好中球の細胞膜に表出しているセレクティン・リガンドと結合する血管の内皮細胞に表出しているセレクティンの組み合わせどうしが結びつく必要があります。2つめは、好中球の細胞膜に表出しているインテグリンと結合する血管の内皮細胞に表出しているICAMの組み合わせどうしが結合する必要があります。3つめは、組織にケモアトラクタントとして発現しているfMETとC5aと結びつくケモアトラクタントに対するレセプターの組み合わせどうしが結びつく必要があります。

 この3つの組み合わせが結合しあって初めて、好中球は血中から血管外の炎症組織に馳せ参じることができるのです。この3種類の組み合わせの分子があって、しかも結びついて初めて血管から好中球が組織に出ることができるのです。つまり好中球が勇敢な戦士になることができるのです。

 血中から組織に出ていかなければならないのは、何も好中球だけではないのです。免疫細胞である好酸球、肥満細胞、単球、Bリンパ球、Tリンパ球などなどは全て血中から組織に出ていかなければ仕事はできません。人体の血管の内皮細胞は、1000億個あります。免疫細胞は数十兆もありますから、この1000億個の内皮細胞のどこかから正しく間違いなく、しかも選ばれた正しい免疫細胞が炎症巣へ出る必要があります。
 上で説明した好中球と同じように必要な種類の免疫細胞だけを必要な場所に、必要な時に正確に出ていくためには、上にあげた1つめと2つめの細胞接着分子(cellular adhesion molecule)どうしの接着と働きが絶対に必要なのです。

 この接着分子の組み合わせは2種類あります。まず1つめの接着分子の組み合わせの仲間(family)をセレクティン・ファミリーといいます。2つめの接着分子の組み合わせの仲間(family)をインテグリン・ファミリーといいます。3つめの組み合わせは、ケモアトラクタントとケモアトラクタント・レセプターとの組み合わせといいます。この3つ目の組み合わせは、現在わかっているだけで70種類以上あります。

 今日の話も非常に難しかったのですが、次回は腸管免疫における3つの組み合わせについて詳しく説明したいと思います。乞うご期待!

2018/11/08


 前回は、自然免疫の血球の代表である好中球がどのようにして血管から炎症巣まで運ばれるかということを詳しくしました。高等免疫の血球の代表であるリンパ球(Bリンパ球とTリンパ球)は、リンパ管から二次リンパ節、さらにパイエル板などを自由に動き回った後に血管やリンパ管や二次リンパ節に戻り、それを繰り返している間に、Bリンパ球もTリンパ球もリンパ球は自分にぴったりの敵を二次リンパ節で見つけ出して初めて仕事ができるのです。

 毎日5000億個のリンパ球は1000個以上もあると言われているリンパ節をも循環しているのですが、本当に二次リンパ節やリンパ管や他のリンパ組織や血管を何の目的もなしに自由気ままに動き回っていると思いますか?違うのです。5000億個のリンパ球は、動き回っている間に、自分に合うたった1種類しかない敵と出会うチャンスを最大限にするために、いわばリンパの移動を管理する交通規則といってもいいようなパターンに従って移動しているのです。

 まずTリンパ球がどのような規則に従って移動しているかについて話をしましょう。骨髄で作られた未完成のTリンパ球は、直ちに血管を通って胸腺に移動し、そこで初めて全てのTリンパ球は成熟します。ちなみに胸腺は自己と非自己をリンパ球に認識させるために存在しているのではないのです。何故ならば自己免疫疾患などというのはそもそもないからです。これについては自己免疫疾患はないというコーナーを読んでください。成熟して初めてTリンパ球は様々な仕事ができるのです。ところが胸腺から出たばかりのこのTリンパ球は、敵(抗原)に出会ったことがないので、いわば乙女のようなTリンパ球ですから、バージン(virgin)Tリンパ球とかナイーブ(naive)Tリンパ球と呼びます。一方、敵(抗原)に出会った経験のあるTリンパ球は、さらに分化したTリンパ球でありますから、エクペリエンスド(experienced)Tリンパ球といい、日本語では「経験済みのTリンパ球」といいます。ちなみにエクペリエンスド(experienced)Tリンパ球は、メモリーTリンパ球やエフェクターTリンパ球とは違います。メモリーTリンパ球やエフェクターTリンパ球については後で詳しく書きます。バージン(virgin)Tリンパ球とエクペリエンスド(experienced)Tリンパ球では、血管やリンパ管やリンパ節への移動の仕方が全然違うので、まずバージン(virgin)Tリンパ球の移動の仕方から説明しましょう。

 先ほど言ったように、Tリンパ球は骨髄で作られ胸腺で成熟し、胸腺からバージン(virgin)Tリンパ球としてまず血管へと出て行きます。このバージン(virgin)Tリンパ球は膜の表面に細胞接着分子(adhesion molecules)を全て表現しています。細胞接着分子(adhesion molecules)については好中球が血管から組織に出る話の中で既に触れました。これらの接着分子は血管やリンパ管の出口などにいる税関の係員に見せるパスポートだと考えてください。このパスポートはあらゆる人体の二次リンパ節に入り込める許可証だと考えてください。

 なぜ接着分子が全ての国である全ての血管やリンパ管や二次リンパ節に入れるパスポートを表現しているかを説明しましょう。例えば、血管からリンパ節に入るためには、HEV(high endothelial venule)という血管の内皮細胞が必要です。日本語では「高内皮細静脈」と訳します。もっと詳しくいうと、リンパ節の中にあるこの血管は背の高い内皮細胞を有し、特殊な接着分子である“GlyCAM-1”という税関を発現し、バージンTリンパ球が持っているパスポートの一つであるL-セレクティンという分子と結びついて、HEVを持っている血管からリンパ節に入り込むことができるのです。ちなみにこのGlyCAM-1は“Glycosylation-dependent cell adhesion molecule-1”の略であります。ついでに言えば、パイエル板のHEVの血管内皮細胞にあるMadCAM-1とバージンTリンパ球が持っているパスポートの一つであるインテグリン分子のα4β7が結び付くと、バージンTリンパ球はパイエル板の血管からリンパ節であるパイエル板に入国が許されるのです。ちなみにMadCAM-1は“mucosal vascular addressin cell adhesion molecule 1”の略字です。“mucosal”は「粘膜の」という意味であり、“vascular”は「血管の」という意味であり、“addressin”は、もともとHEVを持っているパイエル板の中にある血管内皮細胞の表面に発現されている接着分子の意味であるので、MadCAM-1は一語で“Addressin”ということがあります。粘膜のリンパ節には、あの有名な腸間膜リンパ節が150個もあります。この腸間膜リンパ節(mesenteric lymph nodes)にもMadCAM-1というタンパクが発現し、バージンTリンパ球が持っているインテグリングリン分子であるα4β7と結びついて、バージンTリンパ球は、腸間膜リンパ節にも入っていくことができます。つまり、α4β7というインテグリンは、腸管のリンパ節に入っていけるパスポートといえます。

 一方、未経験なTリンパ球、つまりバージンTリンパ球は、あらゆる国である二次リンパ節に入国できるパスポートを持っているので、あらゆる二次リンパ節を訪問することができます。リンパ節に入ったバージンTリンパ球は、既に説明したT細胞領域、別名、傍皮質領域と呼ばれるところで組織から敵(抗原)を運んできた数百の樹状細胞が提示する敵を調べ尽くします。提示された敵(抗原)を認識できなかったバージンTリンパ球は、リンパ節から血液に再び入り込み、リンパ節から血液中に出て、再びリンパ節に入り込むという循環を繰り返します。ついでに言えば、脾臓は、リンパ組織ではあるけれどもリンパ節ではないので、リンパ管とは繋がっていないので、樹状細胞が提示する敵を認識したバージンTリンパ球直接に血管に出て、再びリンパ節に入ったりして同じような循環を繰り返します。このようなリンパ管や血管の中の循環をナイーブTリンパ球(バージンTリンパ球)は1日1回繰り返すのです。この1日1回の循環中にナイーブT細胞は、血管中の循環には30分費やすだけなのです。大部分の時間をリンパ節でAPC(antigen presenting cell、日本語で抗原提示細胞)である樹状細胞に提示された自分に合う敵を探すのに費やされるのです。ところが6週間あまり敵を探す発見の旅が費やされても、バージンTリンパ球に合う敵を見つけることができなかったならば、このバージンTリンパ球は寂しくアポトーシス(programmed death)で死んでしまうのであります。アポトーシスによる死ですから炎症を起こさないので、他の細胞には全く迷惑をかけずに往生するのです。

 ところが、6週間の旅路の中で、二次リンパ節でナイーブT細胞が自分にぴったり合う敵(抗原)をAPC(antigen presenting cell、日本語で抗原提示細胞)である樹状細胞に提示されると、その敵と結びついてやっと活性化されるのです。このTリンパ球を“exeperienced T cell”というのです。二次リンパ節でナイーブT細胞が自分に合う敵(抗原)のことを、cognate antigenといいます。“cognate”は認識できるという意味と考えてください。つまりナイーブTリンパ球のレセプターに合わないantigenは、認識できないという意味ですね。

 さぁ、ここでexperienced T cellの新たなる旅が始まります。それは、experienced T cellが持っているパスポートは、バージンTリンパ球が持っているどこのリンパ節にもいけるパスポートと異なるのです。つまりexperienced T cellのパスポートは入国できる国が限定されるのであります。言い換えると、活性化されている間に、Tリンパ球の表面にある特定の選ばれたadhesion molecules(接着分子)のいくつかが増え、一方、Tリンパ球の表面にある要らなくなったadhesion molecules(接着分子)が減ってしまうのです。これはどういう意味なのでしょうか?

 活性化されたTリンパ球が発現する接着分子はこれらのTリンパ球がどこで活性化されたかに依存するという意味です。言い換えると、Tリンパ球はどこで活性化したかという場所の記憶を刻印されてしまうのです。腸管免疫で説明したように、レチノイン酸のことを覚えていますか?小腸にあるパイエル板(Peyer’s patch)にあるdendritic cell(DC)はレチノイン酸を産生することは覚えていますね。このレチノイン酸は、小腸のパイエル板で活性化されたTリンパ球にインテグリン分子であるα4β7を発現するように誘導することを思い出してください。まさにこのα4β7は腸管に特異的なインテグリンであるのです。その結果、このα4β7を持ったTリンパ球はパイエル板に戻るように記憶させられているのです。同じように、例えば皮膚の領域のリンパ節で初めて活性化されたTリンパ球は、必ず皮膚の領域のリンパ節に戻るように特異的なadhesion molecules(接着分子)が活性化されたTリンパ球に発現され、それを覚えているのです。ちょうど初めて恋した人を忘れられないのと同じですね、アッハッハ!恋した人に会いたくてたまらないでしょう。アッハッハ!

 従って、活性化されたTリンパ球、言い換えると、初めて自分に合う抗原(cognate antigen)を認識したTリンパ球は、血管やリンパ管を再循環するときに、血管から出て行った時も、戻ってくる二次リンパ器官は、最初に抗原に出会ったのと似た領域の二次リンパ器官なのです。このように活性化されたTリンパ球に行く場所が制限されたパスポートだけを手渡し覚えさせることによって、このようなTリンパ球は自分が認識できる抗原(cognate antigen)と再び最も出会いそうな場所に戻ってくることになるのです。

 さぁこれで経験を済ませたexperienced T cellは、やっと邪悪なインベーダーと戦う装備品を持つことになったのです。これらの細胞は血管を循環しながら、感染が起こっている場所で初めて血管から出て行くことができるのです。例えば、出た組織でキラーT細胞(CTL)はウイルスや細菌などの病原体に感染してしまった細胞を殺すことができるし、かつヘルパーTリンパ球(Th細胞)は、免疫反応を強めてくれる様々なサイトカインを提供することができるのみならず、感染巣に血管からより多くの戦士たちを補充することができるのです。血管から組織に出て行くときにexperienced T cellは、以前説明したように、好中球と同じようにインテグリンとセレクティンの組み合わせによって、つまりadhesion molecules(接着分子)とadhesion partnerの組み合わせによって、巧みに血管から感染巣へと出て行くことができるのです。

 腸管の粘膜の話は既に述べたので、他の粘膜で炎症が起こったときの話をしましょう。腸管以外の粘膜において、初めて敵を経験したナイーブTリンパ球は、adhesion partnerとしてαEβ7というインテグリン分子を発現しており、一方、炎症が起こった粘膜血管のadhesion molecules(接着分子)としては、addressin moleculeの一つが発現されているのです。その結果、粘膜にいる敵を処理した経験を持つTリンパ球は、感染が起こった同じ粘膜を求め続けることになるのです。さらに血管からこのような粘膜組織に出るときは、組織の戦場で戦っている大食細胞などによって放出されるケモカインによって、Tリンパ球は初めて活性化したときにTリンパ球の表面に現れていたケモカインレセプターと結びつくことによって戦場へと出ることが可能となるのです。このT細胞が組織にいるcognate antigen(認識できる抗原)を認識してしまうときに、これらのTリンパ球は、血管を巡回することをやめ、戦いを始める命令をするシグナルを受け取って初めて、戦場へと出て行けるのです。好中球もTリンパ球も血管から炎症組織に出て行くときの出方は全く同じであることがご理解できましたか?

 以上の話をまとめてみましょう。ナイーブTリンパ球は、はじめは全ての二次リンパ節を巡回することができ、リンパ節にいる敵を見つけるまで同じ旅を続けます。しかし決して炎症巣には出ることはできません。cognate antigenを見つけて活性化されると、experienced T cellになります。experienced T cellになってしまうと、似た敵がいそうな特定の領域の二次リンパ節だけを監視することができるパスポートを初めて持つことができます。このようなリンパ節だけにいそうな自分が認識した同じcognate antigen(認識できる抗原)を認識できるキラーTリンパ球やBリンパ球を手助けするために、同じルートを再循環し続けるのです。さらに活性化されたTリンパ球は、感染病巣で血管から出るパスポートだけを持っていて、そこから出た後、感染巣にいるCTL(キラーT細胞)が感染細胞を殺す手助けをします。同じ感染巣にいるTh cellにはその戦いを有利に進める様々なサイトカインを出させるのです。

 最後にBリンパ球の話をしましょう。Bリンパ球はどのようにリンパ管や血管や二次リンパ節を旅するのでしょうか?基本的にはBリンパ球もTリンパ球の旅と似ています。まずバージンBリンパ球は、バージンTリンパ球と同じく、はじめは人体の全ての二次リンパ器官を旅するパスポートを持っています。しかしながら二次リンパ節で初めてBリンパ球が認識できるcognate antigenを認識したexperienced B cellは、experience T cellほど血管やリンパ管や二次リンパ節を移動することはないのです。何故ならば、大抵のexperienced B cellは、二次リンパ節かあるいは骨髄に居座って、抗体を産生するだけだからです。自分の代わりに産生した抗体に自由に血中やリンパ管や二次リンパ節に旅をさせるのです。

 次回は、前回に詳しく説明するという約束がありました。その文章を再掲載しておきます。「腸の免疫システムではB細胞はこのT細胞の共刺激の働きがなくてもIgAを作るクラススイッチが可能であるのです。それがCD40Lの働きに変わる他のタンパク質が腸管の環境の中にあるのも分かっております。その他のタンパク質が腸管のB細胞に発現しているCD40 というタンパク質に結びついて共刺激の役割を果たしているということも分かっております。これについては次回さらに詳しく書きます。」
 次回はこのわかっている話に対して詳しく答えを書きましょう。

 今日はここまでです。2018/11/22