潰瘍性大腸炎の患者さんの手記を読む クローン病の患者さんの手記を読む

潰瘍性大腸炎とはなんでしょうか?

 (クローン病は潰瘍性大腸炎が、より進展した病気ですから根本的には同じ膠原病であるので同じ内容となります。クローン病の方は『潰瘍性大腸炎』を『クローン病』と読み替えてください。また同じ膠原病であるリウマチのコーナーとも合わせて読んでください。)

 潰瘍性大腸炎は厚労省から難病指定を受けている疾患であります。私は、この病気の原因は異物が人体に入り込むために生ると考えています。原始以来、人類を苦しめてきたのは生きた異物であるウイルスや細菌であり、この戦いは感染症と呼ばれてきました。ところが、現在ではこのような生きた異物は、ワクチンと抗生物質で征服されつつあります。二つ目の病気の原因となる異物は死んだ異物、つまり文明が作り出した化学物質であります。これがいわゆる環境汚染物質といわれるものであり、これらの化学汚染物質が人体に侵入したときにアレルギーや膠原病を引き起こすと考えられます。つまり私は、今現在一番多い病気はこの化学物質との戦いに見られる病気だと考えており、アレルギーと膠原病は同じ化学物質を敵として戦っているのです。アレルギーの場合はIgEを武器とし、膠原病の場合はIgGを武器としていると考えられることは、もう既にあちこちで何回も繰り返し述べております。感染症の場合と違って、これらの死んだ無生物である化学物質との戦いは永遠に続くのではなくて、「免疫寛容」によって共存できるようになることも述べております。

 まず、膠原病に用いられるIgG抗体を自然にクラススイッチして、アレルギーのIgE抗体に変え、最後に自然に後天的免疫寛容を起こせば治ると考えられることも既にリウマチの理論で述べています。この考え方を適用すれば、潰瘍性大腸炎は、いわば『リウマチの大腸版』といえます。逆にリウマチは『潰瘍性大腸炎の関節版』とも言えます。つまり私の考え方は、潰瘍性大腸炎とリウマチの治療法については、かなり似ているということが分かるでしょう。つまり、両者ともIgGを武器として、化学物質を排除しようとするのですが、その戦いの場所が違うだけなのではないかと考えているのです。それはちょうどアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎と喘息とが同じアレルギーであり、戦う場所が違うのと同じ考え方なのです。つまり潰瘍性大腸炎のIgGを用いる場所は大腸の粘膜の結合組織であり、リウマチの戦いの場所は関節の結合組織であるという考え方です。従って、私の経験では、血液検査を行えば、潰瘍性大腸炎もリウマチも同じようなデータが出てきます。従って潰瘍性大腸炎を難病指定するならば、リウマチも難病指定すべきだと考えています。ただ、残念ながら、潰瘍性大腸炎は全国で5万人ぐらいの少数ですが、リウマチは70万~100万人と言われていますから、リウマチを難病指定にすると、国庫が持たなくなってしまいます。

 私の潰瘍性大腸炎の治療方針と、リウマチの治療方針は基本的には同じ方向性であります。ただ潰瘍性大腸炎がリウマチと異なる点は、潰瘍性大腸炎の炎症の為に腸管が破れて大出血を起こし、死を招くことがあり得るので、注意を払わなければなりません。

 一方、現代の潰瘍性大腸炎の治療とリウマチの治療は、いずれも免疫を抑える治療が主流です。このような治療を受け続ける限り、クラススイッチをもたらすヘルパーT2リンパ球の働きや、自然後天的免疫寛容を起こすサプレッサーT細胞の働きも同時に抑制されてしまうので、永遠に治らない病気になってしまうのではないかと考えています。

 当院に来られたある患者さんは、中学生以来、潰瘍性大腸炎の治療で15年間もステロイドを投与され、そのトータルはプレドニンで30000mgを優に超えていました。それに加えて腸管からリンデロンの注腸を何十回もやってきた患者さんでした。その患者さんは私がステロイドを極力使わない医者であり、潰瘍性大腸炎を治療していることを聞きつけてやってこられました。そして、徐々にステロイドを減らすことによって、最終的にステロイドを止めることに成功した例もあります。その間、気が気ではなかったのですが、特に何の問題も起こさず止めることができました。そして膠原病はクラススイッチをして、免疫寛容を起こすことによって、生命を脅かす腸管破裂がない限り潰瘍性大腸炎も治療することができます。

 私の経験では、具体的には、潰瘍性大腸炎も症状が取れていくときに必ず多かれ少なかれアレルギー、つまりアトピーが出てきます。これもリウマチの治療経過と同じであります。血沈もCRPも改善していきます。さらにマトリックスメタドプロテナーゼ3(MMP3)や抗核抗体などの値も改善していきます。

 ところで、どうして潰瘍性大腸炎になるのでしょうか?本来アレルギーのIgEで除去すべき異物をIgGで処理しようとするのは、やはり免疫を抑えるから生じると考えています。リウマチの場合にもよく見られますが、潰瘍性大腸炎の場合は特に強いストレスを受けた若い人達によく見られる気がしています。職場の人間関係や学業の不振や自己の才能に対する不信などの葛藤などが原因としては多い傾向にあります。

 このような葛藤が多いと、人体はうつ状態にならないために、視床下部はすばやくストレスを察知してCRH(コルティコトロピン・リリーシング・ホルモン)を放出し、下垂体にACTH(アドレノ・コルティコ・トロピン・ホルモン)を出させて、最後はACTHが副腎皮質ホルモンに命令をして、コルチゾールというステロイドホルモンを大量に作らせるのです。このような神経やホルモンのシステムをHPC系といいます。ストレスが続けば続くほど、このHPC系が活動し、ステロイドホルモンを作り続けます。そして心の葛藤がある間は、免疫を一時的に抑制し、全てのエネルギーを心に向けてしまいます。ところが四六時中、人間のHPC系は働き続けることが出来ず、睡眠時やホッとしたときに、抑制されていた免疫系の働きが急激に高まるのです。これを免疫のリバウンド現象といい、激しい症状が出現してしまいます。

 アレルギーのIgEを作るには、膠原病の抗体であるIgMやIgGを大量に作り出さざるを得ないので、作り出されたIgMやIgGが腸管で用いられると潰瘍性大腸炎となってしまうというのが私の考えです。つまり、同じ死んだ異物をアレルギーですぐに出すべきものを、免疫を抑制されたためにIgMやIgGの膠原病の抗体を作ってしまうわけです。ところがIgMやIgGは殺すべきウイルスや細菌に対して作られるものですが、化学物質に対しては免疫を抑えない限り、必ずクラススイッチをしてIgEを作るようになっています。ですから免疫を抑えずにクラススイッチを待てばよいというのが私の考え方です。その間粘血便や下痢や腹痛を軽減する治療をしてあげれば、自然とアトピーが出てくるのです。

 こういった症状に対しても現代の医療は症状を取るために免疫抑制剤を用いているのが現状です。さすがに腸管の粘膜の問題ですから、ステロイドを使うことはないようですが、非ステロイド系の抗炎症剤が使用されます。私はこれも根本治療にはなりえないと考えています。いつまでも免疫を抑制し続けると、やはり根本的にはいつまでも治らない病気となってしまい、最終的に厚労省の認める難病と指定されてしまう人も少なくありません。

 近頃、若者にとってはますますストレスの多い生きにくい時代となりました。成熟しきった日本の社会では、特に若者は未来に希望がなくなり、さらに生き抜く為に競争が激しくなり、まともな仕事にも就けない人も多く、生きにくくなってしまいました。その為に強いストレスが若者の間に見られ、毎年5000人ずつ潰瘍性大腸炎が増えているといわれています。古代の中国人はまさに病気という言葉を上手に作り出しました。病気の意味は「気を病む」「気に病む」という意味ですが、この「気」は、ストレスであり、結局病気とは「ストレスに病む」というべきものです。「ストレスに病む」ことによって、免疫を抑制するなどとは古代の中国人は夢にも思わなかったでしょうが、当たっているのです。この意味においても、中国人が如何に優れた民族であるかがお分かりになるでしょう。免疫を刺激する漢方、鍼灸を編み出したのも中国人です。彼らは見えない免疫の働きをまさに直感で知りえたのではないでしょうか?この点には中国人に対して敬服せざるを得ません。

 従ってほとんどの潰瘍性大腸炎は「ストレス性・免疫抑制性・潰瘍性大腸炎」というべきものだと考えています。これを治すためにはストレスを如何に処理するかという問題も非常に重要です。ストレスを回避するための方法のひとつは、例えば自分の生活に関わる様々な事実を素直にあるがままに受け入れることです。一言で言えば、諦めることです。これは私自身にも当てはまることです。

 病気は免疫を抑えることで生まれやすくなります。とすれば病気を治すには免疫を上げることが重要です。私は免疫を上げるには、異物を体内に入れて免疫を刺激する以外にないと考えています。それでは、中国医学がどうして免疫を上げると言われているのでしょうか?その秘密は漢方の苦さにあり、鍼の痛みにあり、お灸の熱さにあると考えています。昔から『良薬口に苦し』というのは、まさにその苦さの中にヒントがあるのです。

 さて、実際的な潰瘍性大腸炎の治療において大切なことがひとつあります。それは腸管からリンパ液、つまりいわゆる体液が漏出し、アルブミン不足になることです。それを補う必要があり、プロテインやアミノ酸を飲んでもらうことがあります。私は、潰瘍性大腸炎は決して治らない病気ではなく、怖い病気でもないと考えています。