ヘルペスについて

 私は常々、病気つまり自覚症状は、免疫と異物との戦いにおいてのみ生ずると考えていることは何回も述べています。頭痛にしろ、吐き気にしろ、身体のしんどさにしろ、全て神経に関わる自覚症状です。ということは、神経で免疫が敵と戦っている症状であると考えられるわけです。しかもこのような症状は、免疫が抑制されている交感神経優位の時に生じるのではなくて、副交感神経優位である免疫の復活時において見られる症状であると考えられます。つまり元気になった免疫が、神経に潜んでいる敵を見出し、それを殺すために炎症、つまり病気が生じたと考えています。それでは神経にいつまでも巣食っている敵は何でしょうか?それはヘルペスウイルスとしか考えられないのです。

 

 皆さん、めまい、耳鳴り、難聴を主な症状とするメニエール氏病をご存知でしょう。これはまさにストレスなど免疫を抑制した後に免疫が回復し、内耳神経の支脈である前庭神経や蝸牛神経に潜んでいるヘルペスが免疫に攻撃されて炎症が起こることによって生じると考えています。また突発性難聴はどうして起こるのでしょうか?これもストレスがかかった後や、ハードワークを強いられた後や、睡眠不足があった後に起こるものです。これも内耳神経の支脈である蝸牛神経に潜んでいるヘルペスを元気に回復した免疫が見つけ出し、殺そうとするために生じた炎症症状なのです。

 

 ちなみに現代の耳鼻科の治療はどのようなものでしょうか?まず基本的にメニエール氏病や突発性難聴の原因は不明であるとされています。原因は分からないが、疲れたりストレスがかかったり睡眠不足のときに生じるといわれています。つまり免疫が落ちたときに生じるとされているにもかかわらず、その治療は免疫抑制剤であるステロイドの点滴であったりします。免疫が落ちたために起こった病気の治療に対して、さらに免疫の働きを落とし込むという、論理的には非常におかしな治療になっていると考えています。私の考えを述べましょう。正しくは、免疫が落ちたからメニエールや突発性難聴の症状が出たのではなくて、免疫が回復したからこそ免疫とヘルペスの戦いが始まったので症状が出たのです。

 

 それではなぜステロイドを入れるのでしょうか?免疫の働きを抑えて症状をとるためです。ところがステロイド点滴などで免疫を完璧に押さえられている間に、ますますヘルペスウイルスを増殖させていることになると私は考えています。まさに病気を作っているといっても過言ではないでしょう。ところが患者にとっては、困っている症状がコロリとなくなってしまうので、ヘルペスがさらに増えているとはなかなか気づかないのです。そして免疫が回復したときには、また同じような症状が現れてしまい、慢性的な神経症状に悩まされてしまうと考えられます。

 

 もし私の考えが正しければ、ヘルペスと免疫の戦いにおいて見られる症状は、原因不明とされる症状のほとんどを占めていると考えられます。たとえば、頭痛、偏頭痛、顔面神経麻痺、三叉神経痛、耳鳴り、難聴、突発性難聴、熱性痙攣、めまい、立ちくらみ、吐き気、車酔い、船酔い、慢性疲労症候群、五十肩、四十肩、肩こり、首こり、倦怠感、口内炎、口唇炎、口角炎、しわがれ声、いつまでも続く喉の痛み、慢性的な喉の詰まり・違和感、寝汗、異常な汗かき、こむら返り、顎関節症、歯肉炎、歯周炎、筋肉の痙攣、目の結膜の痛み・違和感、目の奥の痛み、ブドウ膜炎、目の強膜炎、目の脈絡膜炎、虹彩炎、リウマチ性多発筋痛症の筋肉の痛み、線維筋痛症の筋肉の痛み、漢方で梅核気といわれる喉の詰まる症状、いわゆる自律神経失調症、熱の出ないあらゆる種類の腹痛、などなどであります。結局のところ人体のあらゆる神経に潜む力があるヘルペスウイルスと免疫が戦うときに見られる症状であります。

 

 あげればキリがないほど、原因不明といわれる神経症状の全ては、ヘルペスと免疫との戦いにおける症状に過ぎないと考えられます。それでは、私がこのような症状の原因がなぜヘルペスであると考えるようになったかの理由を説明しましょう。私は20年以上、アレルギーの患者さんのステロイド離脱によるリバウンド症状を見てきました。その途上で無数の患者さんが“皮膚がピリピリする”“皮膚がヒリヒリして痛くて寝られない”“皮膚からリンパ液が出て寝られない”と訴えました。私はこれらの症状の原因が、もしかしたらヘルペスなのではないかと考えたのがキッカケでした。

 

 それではこのような症状はどうして起こるのでしょうか?私は、やはり免疫を抑える薬を使用するからだと考えています。痛み止め、解熱剤、ステロイド、プロトピック、高価な生物製剤などの薬は、実はヘルペスにとっては最高の食事ではないかと考えられます。また現代という資本主義においてストレスが多くなったためです。ストレスに耐え、頑張り続け、戦い続け、また鬱にならないために、自分の副腎皮質でどんどん副腎皮質ホルモン、つまりステロイドホルモンを大量に出し続けざるをえないからです。自分で作ったステロイドで免疫を抑えている間、ヘルペスはあらゆる感覚神経に増殖しはびこっていくと考えられます。

 

 もちろんヘルペスウイルスは神経で増えるだけでは症状は出ないと考えています。症状が出るのは、ストレスが去り、その後に回復した免疫がヘルペスを見つけ出して戦いを始めだしたときに初めて症状が出現するのです。ヘルペスウイルスの最大の特徴は、免疫が強くなればなるほど、神経の奥深くに退却をして、ひっそりとあらゆる神経の神経節に身を潜める性質を持っていることです。これを「潜伏感染」といいます。これによって免疫はヘルペスウイルスを殺しきることができないので、ヘルペスウイルスとの戦いは永遠に終わることはないのです。神経節に潜んだヘルペスウイルスに対しては、免疫は手も足も出せなくなるのです。ヘルペスはなんとずる賢いウイルスなのでしょうか。相手の弱みに付け込んで増殖は堂々と続けるのですが、相手の免疫が強くなればさっさと隠れ家に逃げてしまうというウイルスですから、エイズのウイルスとは違った意味でウイルスの王様といえます。従って上に述べたような原因不明といわれる神経症状が出現しても、慌てず怖がらず免疫を落とさないようにするべきなのです。このような時にも、東洋医学である漢方煎じ薬は有効的であると考えています。免疫を落とすことなく徐々にヘルペスウイルスを再び神経の奥深くにおいやり、戦いが終われば症状も消えていくと考えています。