ステロイドの副作用

 ステロイドは、使用するとあらゆる炎症を抑えることができます。従って症状を一時的に消し去ることができるので、現代医療では必要に応じて使用されています。

 ところが私は、ステロイドを一度使ってしまえば、やめるときに必ずステロイドの離脱症状が出現し、もともとの病気ははじめよりもひどくなると考えています。従って、その意味でステロイドは麻薬といっても過言ではないかもしれません。私は麻薬について勉強したことがありますが、麻薬が遺伝子にどのように影響を与えるかについて研究された文献を見たことがありません。麻薬が一時的に快楽をもたらし離脱症状が出現するのは、全て遺伝子に影響を及ぼし、快楽を増やす物質を作らせ、かつ、離脱症状も遺伝子の異常によってもたらされるものであることは想像できます。

 一方、ステロイドの研究ははるかに進んでいます。ステロイドが全ての細胞の核にある遺伝子の発現を調節する領域のDNAに入り込んで、様々なタンパクから作られている転写因子に影響を与え、遺伝子の発現を自由自在にONにしたりOFFにしたりすることができることがわかってきました。全ての遺伝子の発現の20%をも左右することもわかってきました。そのために正常な人体の全ての細胞の活動が正常でなくなり、あるレベル以上のステロイドを使い続けると、全ての細胞が異常になり、訳のわからないあらゆる病気が生ずることも知られるようになりました。

 

 なぜ訳のわからないあらゆる病気が生ずるのでしょうか?ステロイドはホルモンでありますが、あらゆるホルモンは微量で遺伝子の発現を簡単に変えてしまうと考えられます。だからこそホルモンの量は人間の臓器で一番大切な脳の視床下部によってコントロールされており、多くても少なくても人体の生命活動に大きな影響を及ぼすものです。またステロイドが200以上もある様々な分化した細胞の幹細胞を殺してしまうのではないかと考えています。従って、ステロイドの使用に際しては、慎重に使用すべきであることはもちろん、患者さんに副作用などの情報提供をより徹底すべきであります。私個人としては、生死を分かつような緊急事態において以外は使用しない方がよいと考えているのです。

 そのステロイドの副作用について以下にまとめてみました。

◆副腎皮質ステロイド療法の副作用とその発症機序◆

                                       
系統 副作用の内容 推定される発症機序
緑内障
白内障
(cataracta subcapsuralis posterior)
眼圧の上昇
水晶体繊維の凝固・壊死
皮膚 創傷・術症の治癒遅延、皮下出血
皮下組織萎縮、皮膚菲薄化
皮膚線条
ニキビ、多毛
繊維芽細胞の増殖抑制
膠原繊維の合成阻害
肉芽の退縮
軽度のアントロゲン様作用
ミオパチー
筋萎縮
白筋における糖新生の障害
蛋白異化、低K
骨格 骨粗鬆症
脊椎圧迫骨折
無菌性(虚血性)骨壊死
:特に大腿骨頭壊死
蛋白異化、骨Caの吸収促進
負のCa平衡
骨端部血管内の脂肪塞栓
血行途絶
消化器系 消化性潰瘍
:特に胃潰瘍、消化管粘膜出血、腸穿孔
脂肪肝、急性膵炎
塩酸分泌促進、粘液分泌低下
血行障害、抗肉芽
プロスタグラシン合成抑制
脂肪沈着、脂肪塞栓、血行障害
中枢神経系 精神障害
(鬱状態→自殺企図、躁状態、分裂病様)
多幸感、異常食欲亢進(→肥満)不眠、
脳圧亢進、偽脳腫瘍症状
けいれん、てんかん様症状
神経伝達物質への影響
シナプスの神経伝達潜伏時間の延長
脳圧の亢進
脳内の水・電解質代謝異常
循環系 高血圧、Na・水貯留(→浮腫)
低カリウム血症
軽度の鉱質ステロイド様作用
代謝系 ステロイド糖尿、潜在性糖尿病の顕在化
真性糖尿病の増悪
ケトアシドーシスの誘発
非ケトーシス・高浸透圧性昏睡の誘発
高脂血症(コレステロール、TG増加)
肝における糖新生の促進
抗インスリン作用
食欲増進効果
四肢皮下脂肪の脂肪分解
躯幹・内臓への動員
内分泌系 成長抑制(小児)、月経異常・続発性無月経
間脳・下垂体・副腎系の抑制
(→医原性腎不全、副腎クリーゼ、
ステロイド離脱症候群の発症)
間脳・下垂体抑制作用
(ACTH、GH、TSH、
ゴナドトロピンなどの分泌抑制)
副腎への直接の抑制作用
血管系 血栓促成、血栓性静脈炎
塞栓、梗塞
凝固因子の増加、抗プラスミン作用
血管壁の変化
血液系 白血球(特に好中球)増加
好酸球・リンパ球の減少
好中球の生成、・骨髄からの動員の促進
リンパ球生成抑制
免疫系 免疫反応の抑制
遅延型アレルギー反応の減退
各種感染症の誘発・憎悪
(化膿菌、結核菌、真菌、ウィルス、原虫など)
リンパ球・単球の減少、抗体産生の抑制
抗原抗体反応の抑制
白血球・マクロファージの遊走抑制
その他

◆ステロイド外用剤による副作用症状◆

A)細胞の増殖能の抑制による副作用

 (1)皮膚萎縮 (2)乾皮症ないし魚鱗様変化 (3)皮膚萎縮線状
(4)cortisone ski injury (5)創傷修復遅延 (6)星状偽瘢痕 (7)多形皮膚萎縮症様変化  

B)細胞機能の変調に基づく副作用

 (1)毛細血管拡張 (2)erythrosis interfolliculariscolli(頸部毛孔間紅皮症) 
(3)ステロイド潮紅 (4)ステロイド紫斑 (5)酒焼様赤鼻 (6)口囲皮膚炎
(7)cutis punctara linenealis colli (8)ステロイドニキビ (9)ステロイド弾力繊維症
(10)ステロイド稗粒腫 (11)ステロイド膠様稗粒腫 (12)色素異常  

C)免疫能抑制に基づく副作用

 (1)感染症の誘発と増悪(細菌、真菌)  

D)その他

 (1)接触皮膚炎 (2)光線過敏症 (3)ステロイド膿疱
(4)ステロイド経皮吸収による全身性服作用 (5)ステロイド緑内障 (6)ステロイド白内障
(7)ステロイド黒内障 (8)扁平黄色腫