アトピー性皮膚炎と蕁麻疹の関係

アトピー性皮膚炎を治療していく中で、しばしば蕁麻疹が見られることがあります。しかもアトピーが完治に近い後半になって出現することがあります。蕁麻疹はいわゆるミミズ腫れと言われるものでありまして、数時間たてば自然に消えていくものであります。言うまでもなく蕁麻疹もアレルギーの一つでありますが、後に傷を残さないので言わばアトピーの軽症型とも言えます。なぜ蕁麻疹が私のアトピーの治療中の最後に出やすくなるかと言いますと、アトピーは異物を出しやすい皮膚の直下でアレルギー反応を起こし、痒みを感じさせ引っ掻けばすぐに皮膚が破れて異物が体内から体外へ排泄されてしまうのでありますが、後に必ず傷跡が残ります。ところがアトピーをどんどん起こさせ続けていきますと、皮膚の直下のアレルギーに関わる免疫細胞や抗体が使い尽くされてしまいますと、だんだん皮膚の奥深く、しかも血管の周辺にしかこれらの免疫細胞や抗体が見られなくなります。このような皮膚の奥深くで異物を認識し、それを排除するために炎症を起こした後に見られるのが蕁麻疹なのであります。もちろんこの場合もIgE抗体はどんどん使われるにもかかわらず、皮膚の表面まで炎症が波及せずにただ血管の中から水性成分だけを大量に漏出させることができ、見かけはミミズ腫れとして観察されるのです。従って蕁麻疹はアトピーの不発型とも言えます。よく蕁麻疹は肝臓が悪いために起こるとか言われますが、100%アレルギー反応なのであります。時に蕁麻疹が全身に見られ、顔の形相が変わるほどミミズ腫れが見苦しいときに、患者はパニック状態になりよほど隠れた大病があるように考える人もいますが、こんな場合も数時間も経てば自然と跡形も無く元の状態に戻るものです。

蕁麻疹の場合も現代医療の治療はやはりアトピーの場合と同じくステロイドや抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤を用いますが、一時的に良くなっても再びリバウンドが出現し、再び苦しむのはアトピーと同じです。私が治してあげた蕁麻疹の例では10年も20年もこのような間違った治療を受けてきた人が何人もいました。元来蕁麻疹は生死に関わりが無いもので、放置すればいずれは消滅してしまうということを、医者は患者に伝えるべきです。また私のアトピーの治療中に頻繁に蕁麻疹が出だした時にはアトピーの治療も終盤に入ったことを物語るものであり、喜ぶべきものなのです。

ところで、アトピーでない人でも時に鯖のようなせびれの青い魚を食べた時に、蕁麻疹が出るときがあります。これはこのような青魚にヒスタミンに似た物質が含まれているからであります。ヒスタミンは血管を拡張させ、血管の中の水性成分を血管の外へ出させる力があるので、ミミズ腫れだけが見られることがありますが、この場合も放置しておけば数時間で蕁麻疹は消えてしまうので、何も心配することはありません。

ただ理論的には蕁麻疹が全身に生じて全身の血管が拡張してしまうと、いわゆるアナフィラキィショックが起こり血圧が急激に低下し、死ぬこともあると言われていますが、日常の生活で見られることは滅多にありません。私は全身に及ぶ蕁麻疹を何回か治療したことがありますが、このようなアナフィラキィショックを起こして血圧が測れない患者を診たことは一度もありません。もちろん病院などで特別な薬を注射で体内に投与した時にはしばしばアナフィラキィショックは経験するものでありますが、日常の普通の食べ物や飲み物を摂取するぐらいで全身の血管を拡張するほどの大量のアレルギー物質が侵入することは実際上あり得ることではないので、アナフィラキィショックは滅多に起こるものではありません。従って普通の生活の中で見られる蕁麻疹は生死に関わることはないと考えられます。