「免疫寛容」について パート1(2020年7月29日のtwitterより転載)
今日は免疫寛容(Immune tolerance)について考えてみたいと思います。「免疫寛容」とは、特定の抗原に対する免疫反応が抑制された状態のことです。いわゆる「自己免疫疾患」とは、この「免疫寛容」が破綻して、自己抗原(自分の細胞や核など)に対して免疫反応を示すようになる病気のこととされています。すなわち、現代医学では「特定の免疫反応が抑制されている」状態のことを「免疫寛容」と呼んでいるわけです。
しかし、先日から述べている通り、免疫の本質は「食作用によるゴミ処理」であって、体内に散乱した様々な種類のゴミ(細胞の死骸・ウイルス・細菌など)を掃除するシステムです。ですから、そもそもゴミが散乱していない状態、すなわち免疫が正常に働いている状態では”炎症(inflammation)”が起こることはなく、見かけ上は免疫反応が抑制された状態に見えます。
実は現代医学ではこれを「免疫寛容」と呼んでいるに過ぎません。すなわち、ミトコンドリアのエネルギー代謝が正常に駆動しており、免疫力が維持されている状態(=健康な状態)においては、そもそもゴミが生体内に散乱しない状態が保たれているため、炎症がなく、症状も何も出てこないということです。これは感染症においても言えることです。例えば細菌やウイルスが体内に侵入し感染したとしても、その細菌やウイルスが生体内の環境を乱すことなく、かつ免疫の監視システムが正常に働いていれば、炎症を起こさずに速やかに排除されるか、あるいは免疫によって排除さえされず共存(symbiosis)します。体内に”ゴミ”が散乱されている状態=免疫抑制状態=炎症の状態=病気の状態です。しかし、それは外から見えるものではありません。そして、ゴミが散乱されている状態が長引くと、炎症の状態が長引くため、慢性炎症の結果として慢性疾患発症につながっていくのです。