書籍紹介『社会のなかの医学』(2021年4月29日のtwitterより転載)
先日近年ではほとんど見かけなくなった“真の”名著に巡り合うことができましたので、ここで紹介させていただきたいと思います。故人である高橋晄正(たかはしこうせい)先生が著された『社会のなかの医学』という本です。
http://www.arsvi.com/b1900/6902tk.htm
実家に置いてあったのを偶然見つけ、手にとって中の数行を読んだ途端に「これは名著だ」と確信しました。私の目に偶然飛び込んできた箇所には、こう書かれていました。 「現代社会においては、科学は、それが平和のためであれ、戦争のためであれ、すべて資本家の財産、私有物として存在している」。残念ながら、これは産業革命以降に発達してきた“医学”というものも、例外ではありません。所詮は“医学(現代医学)”も、高次の学問体系などではなく、単に資本家階級(=支配者層・権力者層)の金儲けや人民支配のための道具に成り下がっているということなのです。
例えば、死亡原因として“がん”は断トツでトップの疾患ですが、まだその発症機序が明らかにされていないにも関わらず、手術(切る)・抗がん剤(叩く)・放射線(焼く)という三大治療がメインストリームの治療法となり、日々それらの治療を患者に提供することにより、製薬業界はボロ儲けしています。もちろん医療で儲けること自体が「悪」である、と言っているわけではありません。しかし、“がん”などは経済・産業の発達とともに急増してきた疾患の代表であり、その治療体系(医療)さえも、一つの巨大な産業となっている。医薬業界の意向に沿った形で医療ビジネスが発達してきたのです。
これは「治療」に限った話ではありません。本来治療とは関係のない「基礎医学」の分野でも医薬業界に都合の良い形で研究が進められてきました。例えば“がん”に関して言えば、「SMT(Somatic Mutation Theory:体細胞突然変異仮説)」が正しいという前提の下で、遺伝子研究が進んできました。しかし、この「遺伝子が変異したことでがんが発生する」という仮説が正しいということは、ウイルスの存在が確かめられたことがないということと同様、まだきちんと証明されたことがないのです。それにも関わらず、医薬業界や政府からの膨大な資金援助の下、強力に研究が推し進められてきたのです。すなわち、基礎医学の分野でも、表面上は科学的な議論がなされているように見えるかもしれませんが、実際には大きくは医薬業界(あるいは支配者・権力者層)の意向が反映された形で研究が進行しており、特に遺伝子分野では本質とかけ離れた枝葉末節の議論に終始しているのが実状なのです。
しかし、残念ながらこのようなことを理解できている人は、一般大衆においては当然のことながら、医療現場の医師でも、基礎医学研究をしている研究者でも、ほとんどいないと思われます。なぜなら彼らも医薬業界においては「鵜飼の鵜」に過ぎず、そのシステムの下で「飼いならされている」からです。今回の新型コロナ騒動でも、一般大衆の間だけではなく医学界においても、真に科学的な議論など全く出てこず、「変異種感染が拡大」・「若くても重症化」などと、本当にそれらが危険な新型コロナウイルスによるものなのかの科学的な検証すらないままに偏った情報を垂れ流し続けることに終始しています。さらには、政府はマスメディアを利用して、専門家(という名の御用学者)をCMに起用するなどして、まだ安全性もよくわからない未承認(仮承認)の新型コロナワクチンを、国民全員が打つ必要があるかのような印象操作まで行っています(もちろん国民の血税を使って)。
このように、日本(だけではありませんが)の医療倫理の崩壊はすでに止まるところを知らないレベルであり、国民のヘルスリテラシー、メディカルリテラシーの顕著な低下もそれに拍車をかけています。医師に薬を飲めと言われたら飲む、みんながワクチン打つから打つ、という人のなんと多いことか!!
すなわち、一般市民の“命”と“健康”を金に変える「医療ビジネス」が蔓延っており、一般市民を収奪する医療資本主義システムが完全に出来上がってしまっているということです。そのような状況下で、医療従事者の立場として医学の科学性や医療倫理を守るということは極めて困難だと言わざるを得ません。ですから、高橋晄正先生の仰る通り、我々医療従事者(特に医師)が、国民から収奪することのない真の意味で誠実な医療者であろうとするとき、すでに支配者・権力者の道具として汚され、貶められている医学と医療制度の下では、自らが医療従事者であることを一旦は全否定しければならないのです。
つまり、私が高橋先生の言葉を引用して最も言いたいことは何かというと、「医学界における古い権威と、支配者層の道具に成り下がっている医学・医療システムを徹底的に否定することによってしか、我々は真の医学を自分たちのものにすることは不可能」なのだということです。そして、それは残念ながら現在の「医療ビジネス」に組み込まれた(「鵜飼の鵜」に過ぎない)医師では実践することは極めて難しい。なぜなら、実践しようとした途端に、医学界から猛反発を喰らい、孤立無援になってしまわざるを得ないからです。これは「原発ムラ」に支配された原発産業と同じ構図です。
今回この高橋晄正先生の著された『社会のなかの医学』からたくさんの学びを得られました。1969年発刊のかなり古い本で、表紙もボロボロになっていましたが、内容は今でも色あせない、医療者には全員に読んでもらいたいと心から思える本でした。興味ある方はぜひ図書館などで手にとってみてください!!