「免疫(Immunity)」について パート2(2020年7月28日のtwitterより転載)

前回「免疫とは、体内に蓄積した『ゴミ処理』をするためのシステム」であるという話をしました。細胞レベルで”ゴミ”だと判断されたものは、主に白血球(その中でも中心的な働きをするのがマクロファージ)が持つ食作用(ファゴサイトーシス)によって処理されるという話もしました。例えば、我々人体内では毎日何億個もの細胞が死滅して、“ゴミ”になります。食作用(ファゴサイトーシス)の能力のある細胞は、これらのゴミになった細胞を日々処理し続けています。まさにこれこそが免疫の真髄と言っても良いと思います。すなわち、我々の体内では日々主に白血球が持つ”食作用(ファゴサイトーシス)”というクリーンアップ(掃除)のお陰で死滅した細胞をはじめ、体内に蓄積した”ゴミ”を処理されて生命場(=体内環境、ホメオスタシス)が一定の状態に保たれているのです。これが最も大きな免疫の役割なのです。免疫の働きの中心は”食作用”であることは理解いただけたと思います。

さて、そうであるならば、やはり今までの免疫というものの一般概念(パラダイム)を見直す必要があると思います。今までの通説では、免疫とは、「感染症から身を守るシステム」だとか、「自己・非自己を見分けるシステム」だとかいう風に考えられてきました。しかし、何度も言う様に、免疫とはそんなもののために存在しているシステムではないということです。ここで免疫を定義し直しますが、免疫システムとは「環境に適応して、生命体の形態形成維持(morphostasis)やその機能を維持するために存在している、食作用(ファゴサイトーシス=ゴミ掃除)を中心としたシステム」だということです。

このように、免疫システム全体を広く俯瞰して見直すことでしか免疫の本質を理解することはできません。免疫に関わる遺伝子レベルでの研究をどれだけ行ったとしても、このような免疫の本質を解明することはできないのです。こんなことを言うと多くの免疫学者たちに怒られそうですが、現在の免疫学の研究は、どこまでいっても枝葉末節の議論しか生み出さず、はっきり言って当院の究極の目標としている「病気を根本的に治す」という観点からみた場合には、何の意味も価値も存在しません。それどころか、このような「遺伝子研究」は、現代医療ではステロイドや免疫抑制剤を代表とした対症療法医薬を含めて、今後さらに加速度的に発展していくと考えられているオーダーメイドの「遺伝子治療」にとっての理論的な支柱となる研究であり、これらは全て「免疫システムを(人為的に)制御する」ことを目的として編み出されてきた治療です。

従って、このような現在の、あるいはこれからの医薬業界全体にとっての利益になる研究が今後ももてはやされることはあっても、真の意味で病気を(根本的に)治すという目的のための研究が主流となることは決してありません。さらに言えば、これらの現代医学における治療体系はすべからく、我々が本来「病気にならないために」持って生まれた免疫システムを正常化させるどころか、さらに抑制したり、そのバランスを崩したりことになりかねないという点においては、有害にもなり得る治療だと考えられます。

さらに話を進めると、「免疫」というシステムは生体内で常に働いているものであって、「外部から異物が入ってきた時にしか働かない」、すなわち「異物を排除するためのシステム」だという考え方は明らかな間違いです。結局そのような考えは、免疫の一部分の働きしか見ていない、まさに「木を見て森を見ず」の浅はかな考えです。例えば細菌やウイルスが我々の体内に侵入してきたとしても、必ずしも免疫が働くわけではありません。その証拠に、我々の遺伝子の塩基配列内には過去のウイルス感染の遺残物と思われる配列が無数に存在していますし、腸内フローラに至っては、実に何万種類もの細菌が数百兆個も生息していると言われています。「腸内」を「体内」であると考えるかどうかは議論が分かれるところではあるかもしれませんが、このように、無数のウイルス遺伝子や細菌が我々の体内には実際に存在しているのです。これが免疫に排除されないで我々と共存している、というのは生命の神秘であると言わざるを得ません。すなわち、それらの微生物が生体内の環境を乱す存在でなければ、免疫が働くことはない、ということです。

免疫の話のついでに重要なこととして申しておくと、「感染症」というものは細菌やウイルスが原因となって起こるものではありません。感染症状の出現は、各人の免疫力(=ミトコンドリアのエネルギー代謝)が低下していることの一つの傍証なのです。わかりやすい例をあげると、「(肺)結核」という病気があります。これは結核菌という細菌が原因で肺に炎症が起こる感染症であるとされていますが、実はそうではなく、肺病変が起こる人は体内環境が悪く、結核菌に侵されやすい場(病気の場:sickness field)が形成されているということなのです。その証拠に、生前に結核の既往がないのにも関わらず、死後解剖をすると肺に陳旧性の結核病巣が存在しているという人がおられます。このような方は生前実際に結核菌に感染していたものと考えられますが、結核菌に対する抵抗力=免疫力があったために、結核菌の増殖をブロックし、感染をコントロールできていたものと考えられます。

他に例を挙げると、ヘルペスウイルスもそうです。ヘルペスウイルスによって引き起こされるとされている口唇ヘルペスや帯状疱疹を繰り返すということで当院に来院される方が稀にいらっしゃいますが、そのような方はヘルペスウイルスが増殖するバックグラウンドがある(すなわち免疫力が低下している)のです。そもそも一度感染を起こすと一生涯にわたって神経節の奥に潜み続ける(潜伏感染する)常在ウイルスと言って良いヘルペスウイルスなどが、「病気の原因になっている」ということではありません。何度も言うようですが、全ての感染症で言えることとして、ウイルスや細菌などの微生物自体が感染症の原因となっているというわけではなく、あくまでも各人の免疫力が低下してしまっていることこそが問題なのです。すなわちもっとはっきり言えば、感染症の諸症状というのは、(たとえ風邪の症状であっても)免疫力が低下した状態の“結果”として起こっているものであり、ウイルスや細菌が“原因”で起こっているわけではない、ということです。ここでも現代医学がよく起こす大きな間違いである、“原因”と“結果”の逆転(=前後即因果の誤謬)がみられている、ということですね。

では、“免疫力”を規定している最も重要な要素(ファクター)とは一体何でしょうか。それは、結論を述べてしまえば、「ミトコンドリアの(糖の)エネルギー代謝」です。ミトコンドリアのエネルギー代謝が低下している人ほど感染症にかかりやすいと考えられます。つまり、免疫力を高めるということはすなわち、ミトコンドリアの(糖の)エネルギー代謝を高める、ということに他なりません。これは何も感染症に限った話ではなく、全ての病気について言えることであり、私が最も言いたいことです。すなわち、全ての病気(特に慢性疾患)を根本治療するために最も重要なことは、「ミトコンドリアの(糖の)エネルギー代謝を高める」ということです。感染症においても、それがもっとも重要なことであり、抗生剤や抗ウイルス薬を飲むことは二の次であるということです。ましてやワクチン予防接種などは、むしろアジュバントの作用によりミトコンドリアに障害がもたらされるため、感染症の予防としては逆効果になることすらあります。このことを真に理解している人が一体どれほどいるのでしょうか?

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