「必須脂肪酸を切る」シリーズ パート2(facebookより転載 2019-12-17)

さて、今回は前回に引き続き、「必須脂肪酸を切る」シリーズの第二弾として、不飽和脂肪酸いついてのおさらいをしておこうと思います。基礎的な話に終始しますが、何事も応用するためには基礎的な知識は絶対に必要となりますので、しっかり読んでこの程度の知識は最低限身につけておいていただきたいと思います。

不飽和脂肪酸のおさらい

● 不飽和脂肪酸の種類

 前章で詳しく述べたように、「飽和脂肪酸(Saturated Fatty Acid:SFA)」とは、直鎖状に連なった炭素原子が、水素で“飽和”している脂肪酸のことで、一般的に融点が高いため、常温で固体のものが多く、我々人間を含めた動物性脂肪に多く含まれている脂肪酸でした。
 一方で、「不飽和脂肪酸(Unsaturated Fatty Acid:UFA)」とは、化学構造上鎖状に連なった炭素のどこかが水素で飽和しておらず、炭素-炭素間に二重結合(=不飽和結合)をもっている脂肪酸のことを指します。自然界に存在する不飽和脂肪酸は、ほとんどが折れ曲がった構造のシス(cis)型をしています。トランス(trans)型の不飽和脂肪酸は、マーガリンやショートニングに多く含まれている脂肪酸で、方々で健康を害すると言われていますが、これは直鎖状の構造をしているため、実はcis型よりも化学構造的には安定しています。逆に、シス型の不飽和脂肪酸は、折れ曲がった構造をしていて、構造的に非常に不安定です。一般的に、(多価)不飽和脂肪酸は融点が低いため、常温では液体であり、植物性脂肪や魚油に多く含まれています。ちなみに炭素数でいうと、飽和脂肪酸は、短鎖・中鎖・長鎖の3つに分類されましたが、不飽和脂肪酸は炭素数が16以上の長鎖のものしかありません。また、二重結合の数(不飽和度)でいうと、二重結合が1つしかない一価不飽和脂肪酸(Monounsaturated Fatty Acid:MUFA)と、二重結合が複数ある多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated Fatty Acid:PUFA)に分けられます。

● オメガ3、オメガ6、オメガ9系脂肪酸

 さらに不飽和脂肪酸は、二重結合の部分が炭化水素鎖のメチル基末端(C末端)から何番目にあるかによっても分類され、3番目にあるものをn-3=ω-3(オメガ3)系脂肪酸、6番目にあるものをn-6=ω-6(オメガ6)系脂肪酸、9番目にあるものをn-9=ω-9(オメガ9)系脂肪酸といいます。このうち、オメガ9系脂肪酸の代表として、オレイン酸(18:1, ω-9)があり、これは一価不飽和脂肪酸(MUFA:ムーファ)です。オレイン酸は、オリーブオイルやアボカドオイルに豊富に含まれていることで有名な脂肪酸です。ヒトを含めた動物の体内でも、飽和脂肪酸であるステアリン酸(18:0)から合成できるため、動物性脂肪にも豊富に含まれており、例えば母乳は全脂肪中の約1/3がオレイン酸で占められています(JPGN.2015;61:8-17)。
 一方、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、どちらも多価不飽和脂肪酸(PUFA:プーファ)です。オメガ3系脂肪酸は、近年サプリメント業界や健康食品業界を賑わしている、エゴマ油や亜麻仁油に多く含まれているα-リノレン酸(18:3, ω-3)や、魚油に多く含まれているエイコサペンタエン酸=Eicosapentaenoic acid:EPA(20:5, ω-3)、ドコサヘキサエン酸=Docosahexaenoic acid:DHA(22:6, ω-3)などが有名です。オメガ6系脂肪酸は、植物油脂(菜種油・ごま油・コーン油・大豆油など)に多く含まれているリノール酸(18:2, ω-6)や、生理活性物質であるプロスタグランジンなどの材料となるアラキドン酸(20:4, ω-6)などが有名です。オメガ3やオメガ6系脂肪酸は、ヒトを含めた動物の体内では直接的には合成することができず、食事から摂取する必要があるため、“必須”脂肪酸と呼ばれています。ただし、当院ではこれらの脂肪酸はとても危険な物質であるため、“必須”であるとは考えておりません。

それでは次回は、なぜこれらの脂肪酸が“必須”脂肪酸とされるようになったか、ということを述べていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

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