どのような油(脂)を摂っていけば良いのか(facebookより転載 2019-11-25)

さて、前回まで精力的に(!?)「コレステロール仮説」の成立過程まで振り返りながら、その本質的な誤りを徹底的に指摘し、バッサリ切り捨てて参りました。

これらの投稿を読まれた方々におかれましては、もし医療現場で脂質異常症や高コレステロール血症と診断されても、間違ってもスタチン系薬を内服したり、「コレステロール仮説」や「飽和脂肪酸悪玉説」に従った食事栄養指導をされても、決してその通りの食事内容にしてはいけません。

そのような治療や栄養指導では、むしろ健康が害されてしまうことが科学的に示されているわけですから。

さて、本日は危険で有害なオメガ3やオメガ6系の”多価不飽和脂肪酸”(PUFA:プーファ)ではなく、安全で有益な”飽和脂肪酸”を食事中から摂るべきであるということを、より一層強く意識していただくために、以前お示ししたココナッツオイル以外に、どのような油(脂)を摂っていけば良いのか、いくつかオススメしたい食材について具体的に書いてみたいと思います。

ぜひ日々の食生活に取り入れていってもらいたいと思います。
なお、ココナッツオイルについては、以前の記事を参考にしていただければ、と思います。

当院でオススメしている油脂(ココナッツオイル以外で)

● グラスフェッド・バター、グラスフェッド・ギー

 「グラスフェッド(Grass-fed)」とは、「牧草で育てられた」という意味であり、人工的な家畜飼料(穀物)を与えられていない、ということを示します。狭義には、「放牧された」という意味として解釈されているようです。逆に、「グレインフェッド(Grain-fed)」というと、「穀物飼料で育てられた」という意味です。つまり、「グラスフェッド・バター(Grass-fed Butter)」とは、「牧草地で放牧された家畜(=牧草牛)由来のバター」ということです。また、「ギー(Ghee)」とは、簡単に言えば「バターオイル」のことであり、牛乳や無塩バターなどを煮詰め、水分やタンパク質を取り除き、純粋な乳脂肪となったもののことです。主に食用油としてインドや南アジアで古来から使われてきたものです。
 当院では、質の高い乳製品(牛や羊など反芻動物由来)を日常的に摂取することを推奨しています。特に、グラスフェッド(牧草牛)の牛乳、チーズ、バター、ギーなどの乳製品は、糖質源・タンパク質源・脂質源としても非常に価値が高い食材と考えていますから、日常的に摂っていただいて構わないと思っています。ちなみに、グラスフェッドの食材とグレインフェッドの食材の違いは、いくつかありますが、まずは構成される脂質の違いがあります。グラスフェッドの方が、総脂質量としてはグレインフェッドより少なく、ステアリン酸(C18:0)のように、血清コレステロールを高めない脂肪酸が多く含まれています。また、グラスフェッドは、ココナッツオイルにも多く含まれている中鎖脂肪酸や、酪酸という小腸粘膜修復作用や免疫の調節機能がある脂肪酸も多く含まれています。しかし、脂質構成よりも何よりも、グラスフェッドをお勧めする最大のポイントは、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK2などの重要な脂溶性ビタミンや、グルタチオン・SODなどの有用な抗酸化物質が豊富に含まれていることです(Nutr.J.2010;9:10, Livestock.Sci.2013;154:93-102)。さらに、マンガン・亜鉛・クロム・銅・セレンといった必須の微量元素も豊富に含まれています(Adv.Food.Nutr.Res.1992;36:209-52)。以上のことから、当院ではグラスフェッドバターやグラスフェッドギーを勧めます。ただし、グラスフェッドのものは一種独特の香りと味があるため、好みが分かれるところかと思います。グラスフェッドの食材は、この日本でも放牧によって家畜を育てているところは限られていますので、希少価値が高く、比較的高額な食材になりますが、できうる限りグレインフェッドよりもグラスフェッドの食材を手にいれるようにしたいものです。

● カカオ

 カカオ(Cacao)とは、アオイ科の常緑樹のことで、チョコレートやココアの原料として熱帯地域で栽培されています。果実の中に20〜60個ほどのタネがあり、これがカカオ豆(Cacao beans)になります。そしてその果実(胚乳)を発酵させ、乾燥・焙煎・磨砕したものを冷却し、固体化したものがカカオマス(Cacao mass)と呼ばれるもので、ココア(パウダー)やチョコレートの原料として使用されます。カカオ豆に含まれる栄養素のうち40-50%が脂質であり、脂肪酸組成としては、長鎖飽和脂肪酸であるステアリン酸(C18:0)やパルミチン酸(C16:0)が豊富に含まれています。ちなみに、カカオの脂肪酸組成にはオレイン酸(C18:1)も豊富に含まれていて、上記二つの脂肪酸を合わせると、なんと脂肪酸全体の95%を占めることになります。この脂肪分を圧縮して製造されたものがカカオバターであり、これも主にチョコレートや化粧品(石鹸・ローションなど)の原料として使用されます。
 「カカオ」と聞くと、我々はチョコレートやココアを思い浮かべがちだと思いますが、残念ながら、日本で手軽にゲットできるチョコレートやココア(パウダー)などのカカオ製品は、ほとんどのものがその製造過程で、甘味料や添加物や植物油脂(多価不飽和脂肪酸)が混入されており、本物とは到底言えません。ですから、当院では、コンビニやスーパーなどで簡単に手に入るチョコレートやココアの類は勧めませんので、注意してください。とはいえ、流石にカカオオンリーのチョコレートは苦すぎて食べられないと思いますので、オーガニックなサトウキビ糖など、天然の甘味料(糖質)を甘味成分として使用したビターチョコレートやダークチョコレート(50〜70%カカオ)を選んでやると良いでしょう。ただし、その場合でも、原料となる糖やカカオの質が重要です。ココナッツオイルと同様、できるだけオーガニックな製品を選んでやると良いでしょう。

● 一価不飽和脂肪酸がリッチな油=オリーブオイル・アボカドオイル

 オリーブオイルは、オリーブの樹になる果実から得られる植物油です。地中海に面した地域(イタリア・スペイン・ギリシアなど)では、昔から「油といえばオリーブオイル」というほど、オリーブオイルが好んで日常的に使用されています。果汁から遠心分離などの機械的処理のみで得られた油をヴァージンオリーブオイルと呼び、その中でも風味や味の厳しい検査をクリアし、酸度も0.8%以下のものを特に、エクストラ・ヴァージンオリーブオイルと呼びます。一方、アボカドオイルは、メキシコと中央アメリカ原産の樹木になる果実から得られる植物油です。主に、低温圧縮法で油を採取した後に精製されており、多くは食用としてよりも、化粧品として使用されているようです。オリーブもアボカドも、比較的暖かい地域で栽培・収穫されているため、その油に含まれる脂肪酸は、オメガ9系脂肪酸であるオレイン酸(18:1, ω-9)がメインの脂肪酸です(60-70%程度)。ですから、後述するように、オメガ3系やオメガ6系の多価不飽和脂肪酸(=プーファ)が多く含まれている魚油や他の植物油よりも圧倒的に酸化されにくいとは言えます。しかしながら、酸化されにくいとはいえ、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸も、不飽和結合が存在していますから、加熱調理したり、直射日光が当たれば、酸化しやすい油であることは間違いありません。なので、当院では、オリーブオイルやアボカドオイルなど、一価不飽和脂肪酸がリッチな油を日常的に調理油として使用することは控えるべきだと考えています。もし、日常的に摂る油としてオリーブオイルやアボカドオイルを使用したいのであれば、その質には徹底的にこだわるべきです。黒っぽい瓶の容器の中に密封されており、厳密に管理されたオリーブオイルやアボカドオイルを入手しましょう。そして、実際に使用する場合は、サラダ用のドレッシング油として使用するなどして、揚げ物・炒め物などの加熱調理用油としては使用しないように心がけましょう。なおかつ、自宅での保存方法としては、アルミホイルを巻くなどして、直射日光が当たらないようにし、涼しい暗所で保管しておくことが望ましいでしょう。

もちろんこれ以外にも動物性脂肪(特に牛や羊などの反芻動物の)は飽和脂肪酸がリッチなのでオススメしております。牛乳や卵(卵黄)などもオススメです。ただし、赤身の(筋肉の)多い肉の部位は、アミノ酸組成が悪いため、オススメしておりません。
このことはまたタンパク質についてのまとめ記事でご紹介したいと思います。

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