インフルエンザ治療薬(タミフル)について(2020年11月30日のtwitterより転載)

さて、昨日はインフルエンザワクチンがインフルエンザに対する予防効果がないどころか有害であるという話をしました。本日は治療編として、タミフル(ノイラミニダーゼ阻害剤)の有害性について書いてみたいと思います。

医療従事者であれば、もはや常識のようになっていると思われますが、現在日本の臨床現場では、インフルエンザが疑われる症例には、迅速検査をして陽性であった場合、直ちにタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤が処方されます。実際に、2011年の日本感染症学会の提言によれば、「原則として、(中略)・・・ノイラミニダーゼ阻害薬の投与により、重症化を防ぎ入院や死亡を減らすことが最大の目標となる」「可能な限り全例に対する発病早期からの抗インフルエンザ薬による治療開始が最も重要である」とされています。しかしながら、この提言では「インフルエンザは自然治癒する」という認識が欠けており、「重症化する」ということが前提となっています。さらに、ノイラミニダーゼ阻害薬が「重症化を阻止する」ということを前提に、抗インフルエンザ薬の重要性が強調され、使用が推奨されています。日本感染症学会だけではなく、日本は政府(厚労省)もノイラミニダーゼ阻害剤を推奨しています。インフルエンザにかかった時には「具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう」(厚労省「インフルエンザQ&A」)としているように、症状があれば、すぐ医療機関受診することを国として勧めています。つまり、政府や学会をあげて抗インフルエンザ薬であるノイラミニダーゼ阻害薬を推奨しているというのが今の日本の実情なのです。その結果、日本では1000人当たり、フランスの50倍、スウェーデンの300倍、イタリアの1000倍、イギリスの1200倍ものノイラミニダーゼ阻害剤を使用しています。日本は世界一のノイラミニダーゼ阻害薬(タミフル)消費国です。この日本の医療の現状に対して、「少し異常なんじゃないか」と思わないとすれば、よほど感覚が麻痺していると言わざるを得ないでしょう(残念ながら現場の医師は麻痺しまくっています)。

さて、実際に”タミフル”などのノイラミニダーゼ阻害剤は私たちの体の中で何をしているのでしょうか。インフルエンザウイルスが感染したヒトの細胞の中で増殖し、その後出芽して放出される際に、”ノイラミン酸”という糖鎖と、それを切断するノイラミニダーゼという酵素が働くことがわかっています。”ノイラミン酸”という分子は、出芽してきたインフルエンザウイルスと感染細胞を、鎖のように繋ぎ止めておく働きを持っています。ノイラミニダーゼはこの”ノイラミン酸”という鎖を切断することにより、出芽してきたインフルエンザウイルスをヒトの感染細胞膜表面から切り離す働きを持っています。すなわち、”ノイラミニダーゼ”という酵素がないと、インフルエンザウイルスはヒトの細胞膜表面にずっと繋がれたままの状態になるため、感染を広げていくことができなくなります。タミフルは、このノイラミニダーゼの働きを阻害することによって、ウイルスを感染細胞から離れなくさせることができます。この機序により、タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤は、「感染したヒトの体内でのインフルエンザウイルスの増殖を抑えることができ、重症化を防ぐことができる」と考えられているのです。

しかしながら、「タミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤が、ウイルスの増殖を抑えて症状を軽くする」という一般的な認識はそもそも間違っており、むしろ症状の軽減はウイルスの増殖抑制とは無関係であるという証拠があります。例えば、RSウイルスは乳児に致死率の高い肺炎を引き起こすことで有名なウイルスです。このウイルスはノイラミニダーゼを持っていないのですが、RSウイルスを感染させたマウスにタミフルを投与してみると、ウイルスは増えたのに感染症状(肺炎)は軽くなったという報告があります(2007.Martin et al.)

それではどうしてノイラミニダーゼを遺伝子として持っていないウイルスであるRSウイルス感染症をノイラミニダーゼ阻害剤であるタミフル(オセルタミビル)で軽減することができたのでしょうか?実はノイラミニダーゼはインフルエンザウイルスだけではなく、人間を含めた哺乳類の体内にも存在しており、例えばヒトとマウスではneu-1、neu-2、neu-3という種類のノイラミニダーゼが内在性に発現していることが知られています。そしてこれらのノイラミニダーゼのうち、例えばneu-1やneu3は、T細胞が活性化される際にT細胞内で産生され、そのT細胞のサイトカイン産生に関与していることがわかっています。すなわち、ノイラミニダーゼは我々の免疫システムの制御に関わっている重要な分子であるということなのです。ですから、動物やヒトの体内にも存在しているノイラミニダーゼの働きをタミフル(=ノイラミニダーゼ阻害剤)が阻害してしまうと、我々の免疫力が抑えられてしまうことでウイルスと戦えなくなり、症状が軽くなったように見えるというわけです。

我々がインフルエンザウイルスに感染した場合も同様に、タミフルを服用すると症状が軽減したように見えるのは、ウイルスの増殖が抑えられたからではなく、ヒトの体内に発現しているノイラミニダーゼの働きが阻害された結果、免疫力が低下したからだと考えられます。このタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害薬の作用機序は、免疫の働きを抑えてしまうという点においては、ステロイドの作用と似ているように思います。その結果、腎障害が起こる危険性もあり、高齢者のようなインフルエンザのハイリスク者もかえって症状が悪化する危険性があると考えています。また、ノイラミニダーゼ阻害剤の中でもタミフルは、特に異常行動を起こしやすく、呼吸を止めて突然死のリスクがある危険極まりない化合物です。異常行動や突然死が起こる発症機序は明確にされており、その因果関係はもはや確実なものとなっています(Acta Neurol Scand.2017:135:148-160)。さらに、タミフルなどノイラミニダーゼ阻害剤の症状軽減の見かけの効果と遅発性の有害作用が起こる機序も詳細に検討されていますし、ノイラミニダーゼ阻害剤について詳細に検討されたコクランのシステマティック・レビュー(最もエビデンスレベルが高い)でも推奨されていません。

以上のように、ノイラミニダーゼ阻害剤であるタミフルは、有効性はないどころか、危険極まりない薬剤であると考えられます。当院ではたとえインフルエンザと(迅速検査で)診断されたとしても、患者には絶対に使用しませんし、他院で処方されても内服しないように指導しています。抗インフルエンザ薬はタミフル以外にもイナビルやリレンザといった吸入剤も販売されており、毎シーズン売り上げを伸ばしています。これらもタミフルと同様に有効とする論文がある一方で、製薬企業側の意向が反映された結果を採用している可能性が高いために、その信憑性には疑問を抱かざるを得ません。当院ではタミフルと同様、確実な根拠のないノイラミニダーゼ阻害剤の吸入剤や、ラピアクタのような点滴剤も一切使用いたしませんし、推奨致しません。当院の患者におかれましては、以上のことをご理解いただき、今後の参考にしていただければと思っております。

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