ココナッツオイルについて(facebookより転載 2019-11-12)

さて、本日はココナッツオイルについての話です。

当院通院中の患者なら、すでに多くの方がご存知のことと思いますが、当院では、ココナッツオイルを慢性疾患の患者に勧めています。ココナッツオイルは、その組成として中鎖(炭素数8〜12)の飽和脂肪酸を豊富に含んでおり、その脂肪酸組成こそが、ココナッツオイルの健康効果をもたらす重要なファクターとなっています。以下にココナッツオイルについてまとめました。ご一読いただき、ココナッツオイルをぜひ日常生活に取り入れていただければと思います。

● 大量のココナッツオイルを摂取する人たちの研究 

 実は、食事にココナッツオイルを多く含む太平洋諸島とアジア地域の人々の間に、循環器疾患(心臓血管疾患)やがん、その他変性疾患や炎症性疾患が極めて少ないということは、昔からよく知られていた事実でした。主にココナッツオイルを日常的に使用している人々に対して行われた調査の一つに、プカプカ島(Pukapuka island)とトケラウ島(Tokelau island)で行われたものがあります(Am.J.Cl.Nutr.1981;34:1552-61)。研究者の報告によると、飽和脂肪酸(ココナッツオイル)リッチな食生活をしているにも関わらず、島民には高コレステロール血症は認められませんでした。また、島民は皆引き締まった体をしていて見るからに健康であったということです(実際にBMIでも体重と身長の比率が理想的だった)。実際に、島民の全体的な健康状態は、西洋の基準と比べて非常に良く、便秘や虫垂炎を含めた消化器疾患・動脈硬化・心血管疾患・がん・腎臓病・甲状腺機能低下症などもほとんど認められませんでした。一方で、ニュージーランドに移住したトケラウ島民たちは、脂肪摂取量が10%以上も減少したにも関わらず、血中総コレステロールの増加、LDLコレステロールとトリグリセリドの増加、HDLコレステロールの減少が認められ、さらにアテローム性動脈硬化症のリスクの増大が認められました。この原因は砂糖、精白パン、米、肉類の摂取量増加などが寄与している面もあるかもしれませんが、総カロリー中の飽和脂肪酸の割合が激減(10%以上)し、植物油脂由来の多価不飽和脂肪酸の摂取量が増加したことが大きな要因と考えられます。実際にこの調査を主導した研究者(プライアー博士)は、「プカプカ・トケラウ両島ともに心血管疾患はほとんどなく、飽和脂肪酸摂取が害となる証拠はない」と述べています。
 プカプカ島とトケラウ島の調査以外にも、ココナッツオイルを日常的に大量に摂っている人の健康状態を観察した調査が存在します。それは通称「キタバ研究(Kitava Study)」としてよく知られた調査で、パプアニューギニアに近いキタバ島の住民の間で行われました。この研究では、スウェーデンのランド大学家庭医学准教授であったスタファン・リンドバーグ博士が、キタバ島で約12000人の住民の食と健康の関係を調査しました(J.Intern.Med.1993;233:269-75)。彼の研究によれば、キタバ島民はもれなく全員がココナッツやココナッツオイルを日常的に摂る食生活をしており、総カロリーの約17%をココナッツから摂っていました。しかしながら、彼らの間には、高血圧・アテローム性動脈硬化症・糖尿病・認知症・その他西洋で一般的な慢性疾患は全く存在していませんでした。キタバ島で100歳まで生きた最高齢者でさえ、心血管疾患や認知症は認められず、身体を活発に動かせるほど健康で認知機能も正常でした。
 このように、ココナッツオイルを常食する人々の疫学的・臨床的研究を俯瞰してみると、ココナッツオイルが血中コレステロール値を異常に高め、心血管疾患を増加させるような証拠は全くありません。それどころか、ココナッツオイルを大量に摂取する人々は、総じて心血管系に問題がないどころか、生まれてから死ぬまで健康上全く問題がないのです。逆に、歴史的にココナッツオイルを常食していた国の人々が、摂取する脂肪(油)を植物油脂に替えたことで心臓病の発生率・死亡率が増加したという事例は、スリランカやインドなどの調査からも明らかになっています。これらのことからも、自身の健康を守るためにも、日頃の精製植物油脂をココナッツオイルに替えるべきだと当院では考えています。

● ココナッツオイルについて

 ココナッツオイルは、ヤシ科の単子葉植物であるココヤシの果実から獲れた油です。その他多くの多価不飽和脂肪酸リッチな食用植物油とは異なり、ココナッツオイルは独特の脂肪酸組成をしています。ココナッツオイルの脂肪酸のうち、なんと90%以上が飽和脂肪酸です。この飽和脂肪酸リッチな脂肪酸組成のため、ココナッツオイルは高温で加熱しても酸化しにくく、高温で酸化しやすい多価不飽和脂肪酸がリッチな植物油や、エゴマ油・亜麻仁油などよりも安全な調理油として用いていただけます(Indian.J.Clin.Biochem.2000;1:1-5)。ココナッツオイルには、中鎖脂肪酸であるラウリン酸(C12:0)・カプリル酸(C8:0)・カプリン酸(C10:0)が、それぞれ脂肪酸全体の40%・7%・5%も含まれています(USDA Food Composition Databases)。他にはミリスチン酸(C14:0)とパルミチン酸(C16:0)がそれぞれ15%と10%ずつ含まれています。これらの飽和脂肪酸のうち、カプリル酸(C8)とカプリン酸(C10)は、てんかんやアルツハイマー病に効果があることが示唆されており、これらが豊富に含まれているMCTオイルを、実際の医療現場での治療に用いている医療機関も存在しています(Neuropharmacology.2013;69:105-114)。また、ココナッツオイルに多く含まれているラウリン酸(C12)に関しては、特定の微生物に対して抗菌作用・抗ウイルス作用・抗真菌作用があること(Antimicro.Age.Che-mo.1972;2:23-28)、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすこと(Lipids.2009;44:593-601, Nutr.Hosp.2015;32:2144-52)などが示されており、これが心血管疾患などの治療にも応用できるのではないかと考えられています。ココナッツオイルに関する研究で、美容効果もあることがわかっています。例えば、肌の保湿作用を高めることや、アトピー性皮膚炎の皮膚の炎症症状を改善することが示されています(Dermatitis.2004;3:109-16, Int.J.Dermatol.2014;1:100-8)。また、ココナッツオイルが太陽光の紫外線をカットすることで紫外線ダメージから肌を守る作用や、髪の毛のキューティクルを補修し髪を保護する作用がある、という報告もあります(Pharmacogn.Rev.2011;10:164-73, J.Cosmet.Sci.2003;2:175-92)。さらに、ココナッツオイルでマウスウォッシュすることで口内バクテリアの増殖が抑制され、虫歯や歯周病予防になり、口臭を改善させることができるとする報告もあります(Niger.Med.J.2015;56:143-147, EJOD.2014;4:700-702, Asian.Pa-c.J.Trop.Med.2011;4:241-247)。それ以外にも、ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸が炎症性腸疾患や腸管の炎症ダメージを抑えてくれるという効果があることが示されています(World.J.Gastro-enterol.2012;18:3814-3822)。さらに、前項に示したように、ココナッツオイルを含む食事を多く摂る人々の間には、心血管系疾患や脳血管系疾患が少ないことなども知られており、様々な慢性疾患に効果があることが様々な研究から示唆されています。
 ちなみに当院は、「cocowell(ココウェル)」(http://www.cocowell.co.jp)というココナッツオイル製品販売会社と提携しています。だからココウェルの製品を勧める、というわけではないのですが、ココナッツオイルの質としては、低音圧縮法(コールドプレス)で採取されたオーガニックなバージンココナッツオイルが良いでしょう。日本の「有機JAS」認定されているだけでなく、アメリカの有機認証団体が認定している「USDAオーガニック」という基準をクリアしたものを選ぶのが良いと思います。ただし、バージンココナッツオイルは、ココナッツ独特の強い香りがします。「コプラ」というココナッツの胚乳を乾燥させたものから得られたオイルは、無味無臭であるため、調理用油として炒め物や揚げ物に使用するのであれば、こちらの方が適していると言えるでしょう。産地はフィリピン産やスリランカ産のものは質が良いと言われているようです。あとは個人の好みで選んでいただければ、と思います。

以上、当院で勧めるココナッツオイルについてでした。ぜひ参考にしていただければ、と思います。

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