脂質異常症の治療薬(スタチン系薬)の危険性について(facebookより転載 2019-11-5)

さて、当院では高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の患者も多くいらっしゃいますが、基本的には投薬治療ではなく、生活習慣を改善することを第一に考え、根本治療することを念頭に置いて診療に臨んでおります。

生活習慣病の中でも、特に当院でも多いのが「脂質異常症」の患者です。

脂質異常症は元々は「高脂血症」と呼ばれていましたが、日本動脈硬化学会が2007年に新しい指針を打ち出し、その時に「脂質異常症」と呼び方も変えられました。
血液中の脂質にはコレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸などがありますが、コレステロールとトリグリセリドの一方、またはその両方が高い状態のことを「脂質異常症」と言います。具体的な診断基準としては、トリグリセリド(TG)値150以上、LDLコレステロール140以上、HDLコレステロール40未満のいずれかに当てはまる場合に「脂質異常症」と診断されます。現在予備軍も含めれば、日本全国に3000万人もの患者がいると推定されており、これが本当なら日本人の4人に一人は「脂質異常症」ということになります。

この脂質異常症が動脈硬化を招き、心血管疾患(動脈硬化・心筋梗塞)や脳血管疾患(脳梗塞・脳出血)の原因になるとなるとされています。実際に、日本人の死因の2位は心臓病、3位は脳卒中であり、合計で約30%になり、1位のがんに匹敵するほどです。そして、脂質の中でも、特にコレステロールが”悪の根源”であるかのような扱いを受け、今でも医療現場ではコレステロール値が高かった場合、スタチン系薬投与がファーストチョイスになっています。しかし、これは果たして正しい治療なのでしょうか?

今回はこのスタチン系薬に関する危険性についてまとめました。ぜひ他院などで投薬を勧められた時に参考にしていただければ、と思います。

● スタチン=平成最大のブロックバスター

 「スタチン」とは、HMG-CoA還元酵素というコレステロールを合成するために必須の酵素を競合的に阻害する働きをもつ薬剤の総称であり、コレステロール(特にLDLコレステロール)の血中濃度を強力に低下させる作用を持っています。そのため、脂質異常症と診断された人のほとんどが、この薬剤の投与を勧められます。このHMG-CoA還元酵素阻害剤を発見したのは遠藤章(東京農工大学特別栄誉教授)という日本人であり、この方は医学の教科書にも顔写真付きで掲載されているほどの医学業界の有名人です。彼が平成初期に発見したスタチンは、その後平成を通じて、日本だけでなく世界中の医療現場で最も使用されてきた薬剤です。スタチン系薬は、現在全世界中で実に5000万人近くの人が毎日飲み続けており、脂質異常症市場の8割以上の売上を占めています。まさに医薬業界にとって、平成最大のブロックバスター(莫大な利益を生み出す新薬)といっても過言ではありません。実際に、スタチン系薬は安全性と有効性に優れ、冠動脈疾患の予防と治療に”革命“を起こした薬剤であるとされており、欧米の医学書でも、「米国で1994-2004年に冠動脈疾患による死亡率が33%も減ったのは、遠藤博士が発見したスタチンのおかげと言って良い」と記載されています(ラインハート・レンネバーグ著『カラー図解EURO版バイオテクノロジーの教科書』講談社)。しかし、本当にスタチン系薬はそれほど素晴らしい薬なのでしょうか?本当に死亡率低下や心臓血管疾患・冠動脈疾患の予防に役立つのでしょうか?

● スタチンの臨床研究は信頼できない

 1987年にスタチンが初めて臨床現場で導入されて以来、スタチンはLDLコレステロール値を下げ、かつ冠動脈疾患イベントを抑えるのに有効であると報告されてきました(多くは1990年代の論文)。しかし、実はこれらの製薬企業中心の研究報告には多くの虚偽があることが指摘され、その後臨床試験に関する罰則付きの新規制が欧州連合(EU)で作られ、2004年に発効されました。この規制が始まる以前の臨床研究報告では、「スタチンはLDLコレステロール値を下げ、その結果心血管疾患予防にも3割ほどが有効であった」とされていました。しかしながら、2004年から2005年以降は、企業と利益相関のない研究者により行われた研究では、全ての論文で「確かにスタチンはLDLコレステロール値を下げたが、心血管疾患予防には無効であった」と報告されています。現在でも、複数の論文の結果を統合し、網羅的に解析するメタ解析(meta-analysis)という手法により作成された研究論文によれば、「スタチンが心疾患予防に有効」と結論づけられていますが、これらのメタ解析には、製薬企業側との利益相反のある2004年以前の論文で示された結果も含まれているため、決して鵜呑みにはできません(Lipid Technology.2014;26:55-9)。それどころか、これらの研究結果の信憑性が疑わしいということもさることながら、以下に示すように、スタチンは基本的に「ミトコンドリア毒」として働くため、心疾患予防に働くどころか、スタチンは動脈硬化や心不全をむしろ促進する可能性が指摘されています。

● スタチンは細胞毒である!

 細胞内小器官であるミトコンドリアには、電子伝達系とATP合成酵素が内膜に局在しています。糖や脂肪酸はここで燃焼され、そのエネルギーがATPとして蓄えられます。糖や脂肪酸が燃焼された際に引き抜かれた水素は、電子(e−)とプロトン(H +)に分かれます。このうち電子はミトコンドリアの電子伝達系に引き渡され、この電子が電子伝達系を伝わる間にATPが産生されるという仕組みになっています(詳細は別章で記述)。ここでは詳しく述べませんが、この電子伝達系にとって必須の成分であるCoQ10(コエンザイムQ10、補酵素Q10)とヘムA(シトクロム複合体の一部)という物質は、コレステロールが体内で合成される際のプレニル中間体(メバロン酸)から作られます。スタチンはHMG-CoA還元酵素を競合的に阻害することによって、CoQ10やヘムAが合成される過程(=メバロン酸経路)を抑制するため、ミトコンドリアでのATP産生を抑制してしまうのです。しかも、スタチン系薬は細胞膜の重要な構成成分であるコレステロールの合成も阻害します。ですから、スタチン系薬を常用していると、細胞の好気呼吸が妨げられてしまうことでエネルギー不足に陥り、細胞膜の質も低下するため、徐々に構造・機能が障害されていきます。すなわち、スタチン系薬はミトコンドリア毒であり、細胞毒であるということなのです。それに加えて、ATP産生の低下とそれに伴う細胞障害が心疾患の発症に寄与していること、スタチンが微量元素であるセレン欠乏と同様のメカニズムで心不全を引き起こすこと、ビタミンK2合成を阻害することで動脈石灰化を促進することなどが明らかにされています(Expert Rev Clin Pharmacol.2015;8:189-99)。

● スタチンはむしろ動脈硬化を促進する!?

 スタチンが動脈硬化性疾患を増やしているということを示唆する臨床試験も日本国内外から報告されています(Circ J.2002;66:1087-95)。これは、日本動脈硬化学会が中心となって行われた、日本国内では初めての大規模なスタチン臨床試験で、総コレステロール値が220mg/dl以上の人が、スタチン系薬(シンバスタチン)で6年間治療された経過を観察したものです。結果としては、コレステロール値が220mg/dlから下がるにつれて、心血管疾患や脳卒中、がんなどによる死亡率だけではなく、総死亡率まで上がったというものでした。この臨床試験では、コレステロール高値群でこれらの死亡率が高いというデータも出ていましたが、これはこの対象者の中に家族性高コレステロール血症の患者が一般集団の12倍も多く含まれていたからと解釈できます。すなわち、この結果によれば、日本人において総コレステロール値を220mg/dl以下に下げることは、むしろ危険であると考えられます(Ann Nutr Metab.2013;62:32-6)。また、スタチンを使用していた群とスタチン治療なしの群とを比較した、米国退役軍人の追跡研究(Int J Cardiol.2011;147:438-43)でも、原著論文では「スタチンによる治療を受けなかった退役軍人は受けた人に比べて、総死亡率が1.6倍高くなる」と結論づけていますが、この臨床研究ではスタチン使用者と非使用者とを比べる統計処理に決定的な問題があることが判明しており、実は冠動脈疾患死亡率がスタチン使用者群でむしろ高くなっていることが第三者から指摘されています。

以上、かなり詳細にスタチンについてみてきました。

 当院では、スタチン系薬を内服している患者が来院された場合、上記のような話をした後に、できる限り中止するよう促しています。しかし、患者の中には「そんな話は聞いたことがない」と言わんばかりの怪訝な顔をされ、「不安なので主治医と相談して決めます」と仰る方もおられます。そのような方には必ず「主治医が止めても良いなど言うわけないでしょう。彼らは鵜飼の鵜なのですから。製薬メーカーの言いなりですよ」と伝えるようにしていますが、そうするとさらに怪訝な顔をされます(^^;)。どうやらこのような方々には、現代医療はビジネスである、ということがどうしても理解できない(したくない)ようです。

少し話が傍に逸れましたが、実際の医療現場で高コレステロール血症が認められた患者には高率に使用されるスタチン系薬は、全く安全な薬でもなければ、動脈硬化を防ぐ薬でもありません(むしろ動脈硬化を促進する)。

この記事が多くの方の参考になれば、幸いです。

脂質異常症の治療薬(スタチン系薬)の危険性について(facebookより転載 2019-11-5)” に対して1件のコメントがあります。

  1. G-RIGHT より:

    先生のような先見の明のある医師が私の近くにおらず、残念です。近年、スタチンが有害であるという説が一部の研究者から出ておりますが、平均的な医師はLDLコレステロールが高い患者には強くスタチンを勧めてきます。実際1週間スタチンを飲んでみましたが、軽い悪心がして、一生飲むことはできないと思いました。今は、その事情を説明し、代用薬としてイコサペント酸エチル(EPA剤)を処方してもらっております。こちらの記事の内容を多くの医師が理解できる日が早く来ることを願っております。

    <スタチンが有害であるとする文献例>
    http://jsln.umin.jp/pdf/guideline/okuyama150926.pdf
    https://majimaclinic22.jp/kanzenyobou/column2/68.html

    1. TU より:

      単純な質問なのですが,スタチンがよい,悪いは一旦置いておいて,スタチンを1st choiceとするようなLDL-Choが高い症例において,LDL-ChoよりTGを下げる作用の強いEPA製剤を処方する処方意図はなんなのでしょうか.EPA製剤が適応となるなら,1st choiceではスタチンではなく,フィブラート系の薬剤を使用するのが通常かと考えます.

      1. G-RIGHT より:

        実は、自分、一年ほど前にほぼ無症候性の脳梗塞が見つかりまして、アスピリンとスタチンを処方されたのですが、アスピリンも胃痛などの副作用があり飲めないのです。タケキャブを加えても胃痛があります。(スタチンは悪心の副作用ありで飲めません。)無症候性脳梗塞に対するアスピリンの有効性も確立していないと思います。従いまして、「高LDL-Cの改善」「血液サラサラ効果」が必要な自分には、抗血小板作用のあるEPA製剤が最善の選択になります。実際に、脂質制限などの生活改善とEPA製剤でLDL-Cがほぼ正常値まで落ちました。脳梗塞予防にもなり、副作用のないEPA製剤はまさに救いの神です。

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