ステロイド治療に対する当院の見解(2020年7月22日のtwitterより転載)

当院の患者でも勘違いしている人が多いので、あえて書きますが、「脱ステ」が絶対的正義であり、ステロイドが絶対悪であるというわけでは決してありません。いざという時やどうしようもない時にはステロイドを使用するということも選択肢の一つだと考えています。あくまでも「脱ステ」は本人が望んでやるべきことです。無理にやる必要はないのです。つまり、当院では「ステロイドは絶対だめ!!」とは考えていません。患者の選択によると考えています.

もちろん当院ではあくまでも根本治療を軸に考えているために、当院がステロイドを処方したり患者に使用することは決してありませんが、それは「私なら使わないから」という理由のみです。私は自分が病気になった時に受けたいと思うような治療を患者にも勧めます。患者が当院の治療を受けたくないと考えるならば、他の病院に行けば良い。それだけのことです。「脱ステ」したい、そのような気概があり、当院の治療を続けられる人のみウチに来てくれたら良いのです。ステロイドを使いたい方は標準治療をしている病院へ行ってくれれば良い。患者は治療選択の自由が認められているわけですから、自分で考えて自分が受けたい医療を受ければ良い。それだけなのです。私がもしアトピーになったら、ステロイドや免疫抑制剤(プロトピック)や抗体医薬などは絶対使用しません。なぜならそれらに頼らなくても治せることを知っているからです。しかし、それを患者に押し付けるつもりも毛頭ありません。脱ステをしたくもないのに脱ステを勧めるようなことは当院では一切致しません。常に当院では「来るものは拒まず、去るものは追わず」というスタンスで診療しています。

ただし、当院で「脱ステ」をすると決めたのなら、それ相応の覚悟を持ってやってもらわなければなりません。生半可な気持ちで「脱ステ」をしようとすると痛い目にあう可能性があります。「脱ステ」とはある意味では「茨の道」なのです。例えば、現在標準的な病院(皮膚科)では、アトピー性皮膚炎に対する「脱ステ」治療を行うことはほとんど認められていません。患者がそのような治療を望むと、完全に否定してくる医師(皮膚科医)が多く、標準治療(=ステロイド治療)を行うように強く勧められます。これこそが現代医療の限界だと言えるでしょう。すなわち、「患者の自己決定権(=治療選択の自由)」を認めているようで、結局は標準治療以外の治療を許さない。そもそも標準治療を受けたくない患者には、ほとんど居場所がないというのが今の現代医療の現状です。結局のところ、一般的な皮膚科医は、「ステロイドを使いたくない」というアトピー患者はほとんど診ません。ですから、彼らは脱ステをしたアトピー患者の長期経過をまともに診たことがなく、脱ステをして良くなったという患者の経過を診たことがないのです。逆に「脱ステ」をして悪くなり、耐えきれなくなった患者が再度ステロイド治療に戻ることも良くあるので、その場合に一般的な皮膚科医たちの多くは「それ見たことか!!ステロイドをやめたからとんでもないことになったんだ!!」と考え、「今後はきちんとステロイド治療をしましょう」ということを再度患者に指導することでしょう。つまり、一般的な皮膚科医はステロイドでひどい目に遭った患者を診るよりも、脱ステでひどい目に遭った患者を診る機会の方が多いために、学会で定められたステロイド塗布などの標準治療こそがアトピー患者にとって最良の医療であると信じて疑わず、患者の治療選択の自由や自己決定を重んじるというよりも、まず標準治療を勧める、それを拒否したり脱ステを希望したりする患者には厳しい態度で臨むということをやってしまいがちなのです。ですから、一般的な皮膚科では「脱ステをして良くなる」という考えすら持ち合わせていない。標準治療であるステロイドを処方することが彼らの至上命題なのです。

 

逆に当院では、何よりもまず「患者の自己決定」を重要視します。本当に当院の漢方治療を受けたいのか、本当に脱ステをやる覚悟はあるのか。これをきっちり確認した上で治療をスタートします。当院ではステロイドをはじめとする免疫抑制剤を一切使用しない病院として前院長の時から30年間診療を続けて参りました。これは結局のところステロイドなどの標準治療を受けたくないという方がそれだけ全国にいらっしゃったからこそ続けてこられたことなのです。何度も言うように当院ではむやみに当院の治療を勧めたり、押し付けたりはしません。しかし、脱ステを求めているような患者には、ぜひ当院にお越しいただきたいと考えています。

ちなみに脱ステをすると最初はリバウンド症状が出現するので、症状が増悪するのは当たり前です。しかし、それを乗り越えれば徐々に皮膚の再生・修復が上手く働き出し、ゆっくりとではありますが、全身症状が改善してくる患者が多いのです。当院では30年間の長きにわたり、そのような患者の中長期の経緯を見続けてきたのです。

残念ながら標準治療を変えることはできません。先述した通り、一般的な病院に行っても脱ステを指導してくれる医師に会える確率はほぼゼロです。ですから、脱ステしたいと思う方は、現状では自分で脱ステができる病院を探すしかありません。その選択肢の一つとして当院がある、という風にお考えください。

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