動脈硬化の予防と「コレステロール仮説」について8(facebookより転載 2019-11-21)

さて、「コレステロール仮説を切る」シリーズも終わりが近づいてまいりました。前回はMRFITやヘルシンキビジネスマンスタディ、そして2つのメタ解析の結果から、「コレステロール仮説」や「飽和脂肪酸悪玉説」が科学的にも完全に否定されており、既に神話化していることをお示ししました。

この神話化した仮説を無批判に信じて生きている方々(医師であろうが栄養士であろうが患者であろうが)は、皆ファンタジーの世界で生きているのだと言うことを肝に銘じておかなければなりません。そして、「一時が万事」と言うように、そのような方々は、おそらく他のことに関しても無批判に信じこみ、騙されながら生きている可能性が高い。

以前に、伊丹万作の「戦争責任」に関するエッセイを取り上げましたが、その中にも述べられていたように、「だまされたといって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう」ということです。「だまされた側にも罪はある」のです。

当院の患者におかれましては、「だまされることも罪である」という意識を持っていただき、だまされないためにも、あらゆることを批判的に疑い、自分で調べてみるということがいかに大切かを知ってほしいと思います。

それでは本日は番外編としまして、「飽和脂肪酸悪玉説」が崩壊し、神話化しているにも関わらず、いまだに固執する業界の意向と、「コレステロール仮説」や「飽和脂肪酸悪玉説」のような誤った仮説がなぜ生まれてしまうのか?ということについて書いてみたいと思います。

● 飽和脂肪酸はとにかく悪玉でなければならない!?

 心疾患や脳梗塞とコレステロールや飽和脂肪酸との間に関係がないことが明らかになるにつれて、今度は「飽和脂肪酸悪玉説」が、生活習慣病(糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなど)や他の慢性疾患に関連づけて論じられるようになってきました。つまり、飽和脂肪酸がリッチな動物性脂肪を多く摂っていると、生活習慣病や慢性疾患を引き起こす、あるいは悪化させてしまう、というわけです。このような確固たるエビデンスの所在が不明である言説には、どこか執念めいたものを感じざるを得ません。実際に、飽和脂肪酸摂取量や血中のコレステロール値が心血管疾患以外の生活習慣病や他の様々な疾患と関連しているかどうかについては、まだ臨床研究でははっきりしたことはほとんどわかっていないからです(BMJ.2018;361:k2139)。
 それにも関わらず、コレステロールの専門家たちは、これまで「飽和脂肪酸悪玉説」を臆面もなく大々的にアナウンスし、植物油脂業界や魚油業界も自分たちにとって都合の良いその仮説を支持してきました。しかも、後述するように、飽和脂肪酸と心疾患を含めた様々な疾患との間には、そもそも相関関係すらなく、むしろ安全であり、我々の健康にとって有益である可能性が高いのです。このようなことがわかってきている状況でも、まるで飽和脂肪酸が真の悪者だと言わんばかりの食事指針を国家が国民に対して強いるというのは本当に許しがたいことです。なぜなら、先述した通り、それは国民の税金を使って国民を騙して洗脳するようなものだからです。なんとしてでも飽和脂肪酸を悪玉にしておきたい、という産業界の意向が透けて見えます。これまでのサイエンスの歴史をみても、産業界の意向に従ってエビデンスが作られ、サイエンスが捻じ曲げられ続けてきました(今でもそうです)。「飽和脂肪酸悪玉説」がここまで浸透してきた現状は、医薬業界や食品業界(植物油脂産業)から何らかの圧力があったのではないか、という疑いがますます強くなることはあっても、決して晴れることはないでしょう。

● 疫学研究では因果関係は証明できない!! 〜前後即因果の誤謬〜

 我々は、臨床研究や疫学研究では解が得られていないことには常に慎重になるべきです。それ以上に、臨床研究では明確な結論を得ることは極めて困難であることを知っておくべきです。なぜなら、疫学的研究だけでは、相関関係(Aという事象がBという事象と関連しているという関係)は明らかにできても、因果関係(Aという事象が原因となってBという事象が引き起こされるという関係)は決して証明できないからです。そして、これはまさに「飽和脂肪酸悪玉説」にも言えることです。たとえ疫学的研究で飽和脂肪酸(=動物性脂肪)摂取量と心筋梗塞との間に相関関係があることが証明されたとしても、「飽和脂肪酸摂取が梗塞を起こす」とは決して言えないのです。そして、実際には疫学的研究でも、飽和脂肪酸摂取量と心筋梗塞など心血管疾患との間には、因果関係どころか相関関係すらないことが明らかになってきているということを肝に銘じておくべきでしょう。
 私たちには、ある事象が起こる理由を論理的、かつ具体的に言葉で説明しようとする思考パターンが備わっています。そして、そのような論理的思考を自分たちで意識しようがしまいが、我々は必ず因果関係を見出す作業を大脳で行なっているのです。この思考パターンは、日常的に起こる様々な出来事を理解するために必要であり、最も合理的な思考方法です。しかし、このような思考は安直な線形思考(Linear Thinking)に陥りやすく、危険な思考パターンとも言えます。例えば、”A“という事象が発生し、その後に”B“という望ましくない事象が起こったとしましょう。我々は上記のような論理的思考によって、物事に因果関係を与えようとするために、「”A“が発生し、その後”B“が起こった。従って、”A“が原因となって”B“が起きた」と考えてしまいがちです。しかし、実際には”C“という事象が起こったことで”A“も”B“も引き起こされたという可能性だってあるわけです。この場合、”A“と”B“はどちらも”C“の結果として引き起こされた独立した事象であり、”A“と”B“の間には因果関係は全く存在しない、ということになります。それなのに、”A“と”B“の間に因果関係があると錯覚してしまうと、ともすれば「”B“が起こることを防ぐためには”A“を防げば良い」というような極端な線形思考に陥ってしまいます。このような極端な線形思考によって、独立した2つの事象を因果関係で結びつけてしまうことを「前後即因果の誤謬(ごびゅう)」と言います。これがまさに「コレステロール仮説」や「飽和脂肪酸悪玉説」という”神話“の成立過程でも起こった、ということです。専門家や研究者と言われる人たちでさえこのような線形思考に陥ってしまうのですから、「他は推して知るべし」、でしょう。

上記に示した「前後即因果の誤謬」は、これまでの医学の世界でも度々起こっています。

脂質異常症における「コレステロール仮説」や「飽和脂肪酸悪玉説」然り、糖尿病における「糖質悪玉説」(これが”糖質制限”というこれまた誤った食事へ患者を導いています)然り、アレルギー・自己免疫疾患における「免疫暴走説」然り(これがベースで免疫抑制治療が標準治療として行われている)、精神科における「モノアミン仮説」や「セロトニン仮説」然り、果てはがんにおける「SMT(Somatic Mutation Theory:体細胞突然変異仮説)」然り(この理論がベースになり、がんの標準治療が行われている)。

しかも、これらは全て人間の「線形思考」が導き出した完全に誤った理論・仮説であるにも関わらず、現代医療では標準的な考え方・治療方法として、もはや医療界に深く根付いてしまっており、さらに悪いことに医薬業界のビジネスのタネにもなってしまっています。特にアレルギー・自己免疫疾患における抗体医薬などの治療方法は、「暴走した免疫を抑える」ための治療手段として、超高価な医薬であるにも関わらず、既に一般的に全世界中で使用されており、年間の売り上げが何兆円にも上ります。

すなわち、一度根付いてしまい、世界中で巨大なマーケットを形成してしまっている以上、この様な理論・仮説は、いくら誤っていることが後々わかったとしても、もはや「止められない」ということです(Too big to fail)。

さらに残念なことに、この様なことをきちんと理解している医師やその他の医療従事者がほとんどいません(皆無と言っても良い)。
いわば彼ら自身も、毎年膨大な利益を上げている医薬業界の”鵜飼の鵜(うかいのう)”に過ぎず、日々洗脳され自身のやっていることが誤っていることだという認識がないのです。

もはや患者自身がこの様なことをきちんと理解し、「自分の健康は自分で守る」という意識を持つ以外、どうしようもありません。

それでは次回は、「コレステロール仮説を切る」シリーズの最終回として、「飽和脂肪酸の安全性と有用性」について述べていきたいと思います。

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