当院の治療方針について(2020年12月9日のtwitterより転載)

さて、今日は当院の患者以外のフォロワーさんに対して、当院が一体どのようなクリニックなのかについて、少しご説明させていただければと思います。まず当院は先代の院長の頃から約30年の長きにわたって漢方煎じ薬を主軸に治療を続けてまいりました。この治療方針は現在でも変わることなく、今後もよほどのこと(中国から生薬が入ってこなくなるなど)がない限りは漢方治療を継続していくつもりです。ただし、先代院長もそうでしたが、私自身は専門医療機関での後期研修を行っておらず、漢方専門医の資格などは持ち合わせておりません。しかし、独学で漢方医学を勉強して漢方薬の扱いなどを学んでおり、今後はさらに勉学に励み、中医師免許だけは近いうちに取得したいと考えています。

ところで、漢方医学は奥が深く、方剤化された漢方薬自体がいくつもの生薬成分が配合されてできたものです。なので、それ自体が複雑系で、一体患者の体内でどのような反応が起こっているのかがわからず、メカニズムを解明する基礎医学的な研究の仕様がないというのが実状です。ですから、ある意味漢方治療はそのメカニズムに関してはブラックボックスの要素が大きく、また効果には体質などによって個人差がかなりあるようなので、なかなか治療効果の有無を評価しにくいというところもあります。さらに、漢方治療のエビデンス自体がない(ランダム化比較試験で効果ありとするデータがほとんどない)ということを理由に、漢方を全否定する医師も多く存在しています。実際に私が当院の院長になってからも、他の医師から批判を受けることも多々ありました(直接電話で否定されたこともありました)。

しかしながら、当院では漢方薬で改善が見られたと考えられる患者が多く存在しており、特に現在のところ著効する患者が多い「気管支喘息」と「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)」に関しては、実際にそのデータを解析して論文化する作業を行っているところです。特に気管支喘息に関しては、ステロイド吸入が効かず、常時呼吸困難で苦しんでいる患者でも、証にあう漢方薬で劇的に効果が発揮され、飲んだ次の日から呼吸が楽になる方も中にはいて、「これは流石にプラシーボ効果では説明がつかない」という症例も多く経験しています。また、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支喘息・関節リウマチに次いで、当院で多い疾患である「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)」でも、証に合う漢方薬で劇的に症状が改善される方がおり、印象としては8割方の患者には何らかの改善効果があると感じております。

一方で、当院でも非常に治療難航している印象なのが、当院での患者が最も多い「アトピー性皮膚炎」です。この疾患に関しては個人差がとても大きく、漢方治療では治療効果を得にくい疾患であると感じています。特に当院の患者は、ステロイド治療を何年(あるいは何十年)も継続してきたけれども、徐々に効果がなくなり、「デルモベート」などストロンゲストのステロイド剤を使用しても症状を抑えきれないという人が、どうしようもなくなってから来院されることも日常茶飯事です。そのような患者で、漢方治療やいわゆる「脱ステ」を希望して来院された患者がいざ当院で漢方治療をしつつ脱ステを開始すると、当然のごとく激烈な皮膚の炎症に見舞われ、一気に症状が増悪します。これを漢方治療だけで改善まで持っていくのは至難のワザです。

とはいえ、当院は過去30年間の長きにわたり、いわばアトピー性皮膚炎の「脱ステ」を当院の最も大きな課題として取り組んで参りましたし、のべ何十万人という全国におられるアトピー患者の「脱ステ」のお手伝いをしてまいりました。その中で、信じられないほど酷い脱ステによるリバウンドを経験した患者でも、見違えるほど改善して、今ではアトピー性皮膚炎患者かもわからないほど良くなっている方もおられます。来院時は、アトピー性皮膚炎の指標になる総IgE値が10万 IU /mL (当院の最高値で22万)を超え、TARC値が5万 pg/mL (当院の最高値で8万8千)を超えているほどの超重症患者でも、経過を見る中で徐々に改善され、最終的にはIgE値が1万を切り、TARCが1000を切ることができる人もたくさんいます。「脱ステ」は本当に辛いものですが、ステロイドはただ症状を抑えるものであって、実際の疾患を改善させているわけではなく、アトピーの根本治療をしているわけではありませんから、根本治療を目指したいのであれば「脱ステ」は必須です。

ステロイドを用いて皮膚の見かけの状態だけでなくアトピー自体も良くなって、結果的にステロイドをやめてもリバウンドをほとんど起こさずに治ることのできる方も実際にいらっしゃいますが、それは元々の体の状態が良かった人と当院では考えています。当院に来院されるような重症のアトピー性皮膚炎の患者は、ライフスタイルが悪いためにすでに体全体のバランスが崩れており、医師の言う通りにステロイドを使っていても徐々に増悪する方ばかりです。ステロイドのメカニズムに関してはここでは詳細は割愛しますが、ステロイドは遺伝子レベルで働く薬剤であり、使い方によっては非常に効果が高いながらも恐ろしい薬である、ということをぜひ皆さんには知っておいてもらいたいと思います。要するに、当院は過去30年間「脱ステ」専門でアトピー性皮膚炎の漢方治療に心血を捧げてきた病院だということであり、その中で得た知識やノウハウを今でも生かして診療に臨んでおります。また、アトピー性皮膚炎以外の疾患の減薬・断薬相談も随時受け付けています。

ただ、「脱ステ」専門でやってきたとはいえ、当院のスタンスとして現代医療を全否定していたり、現代医療を実践している医師個人や医療機関を批判したりしているわけではないことはご理解いただきたいと思います。もちろん脱ステをする中で、とんでもないステロイドのリバウンドに見舞われた患者を見るたびにステロイドの恐ろしさを噛み締めてきましたが、だからと言って全国にいるアトピー患者全てに「ステロイドをやめろ」というつもりもありません。標準治療を受けたいという患者もたくさんいるはずなので。また、ステロイドをいまだに標準治療としている現代医療に対して一抹の疑問を抱いてはいるものの、それをやめろというつもりもありません。私ごとき外道医師がそのように言う資格はありませんし、標準治療に取り組まれている先生達にしてみたら、専門医資格もとっていない私にそんなこと言われるなど失礼な話でしょう。

しかし、以前にも述べたようにステロイドを含めたアトピーの標準治療を行う医師の言う通りにステロイドを塗ってきたけれども良くならず(むしろ増悪し)、脱ステを決意した患者はたくさんおられます。そして、そのような患者はもはやステロイド治療が中心の標準治療しかしない医師のところへは行きません。ですから、アトピー性皮膚炎で脱ステしている患者の経緯・経過をつぶさに観察したことのある医師など、標準治療を実践している皮膚科医の中には全くと言っていいほどいないでしょう。逆に当院では脱ステ後に壮絶なリバウンドを経験されるアトピー患者の経緯・経過を30年間も生の目で見てきたのです。この経験値は全国でも有数だと自負していますし、当院にとってもとても大きな財産になっていると思います。だからと言って当院が何か特別な治療をしているかと言うとそうではなく、どの病院でもやろうと思えばできることです(ただ感染症や全身状態の悪化など気をつけることはたくさんありますが)。

ただ残念なことに、当院で脱ステを決意して始めても、自分の思う通りに治療が進まなかったり、何度も症状が再燃したりする方(そういう方もたくさんいらっしゃいます)の中には、脱ステを諦めて標準治療に戻る患者も少なからずおられます。もちろん脱ステした患者が標準治療に戻った場合は当院の力及ばず、というところも往々にしてあるので弁解するつもりは全くないのですが、そのような場合に少し厄介だと思うのは、脱ステしていた患者をどやしたり、脱ステを全否定したりする医師がいることです。脱ステに失敗した患者がひどくなった状態で一般的な医療機関に標準治療を求めて受診した場合には、それを否定するのではなく、せめて「よく頑張っていたね。無理していたと思うけれども今後は標準治療で症状を緩和させていこう」というような声がけをしてもらえたらと思います。そして、標準治療でいったん症状を緩和させた上で再び根本治療をするというのも一つの手段だと私は考えています。

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