根本治療のためには、ライフスタイルの改善が必須!(2020年11月17日のtwitterより転載)

以前から当院へ通院されていた患者さんは、皆、前院長の理論や他の患者の手記などを以前の当院HPでお読みになられて来院されていたことと思います。前の院長の理論や以前からの当院の患者さんの手記などに書かれていることが間違いだと主張するわけではもちろんないのですが、私が考える「根本治療」について、みなさんと共有したいと思います。基本的に当院の治療コンセプトについては当院HP上でまとめておりますので、それをまずはお読みください。

当院HP上でも述べておりますように、漢方薬は体のホメオスタシスを整えながら、病気の症状を緩和してくれる、いわば対症療法的な役割も一部担っています。すなわち、漢方薬はあくまでも根本治療をするための補助役(薬)であるという位置付けです。健康な方であれば漢方薬を飲む必要は全くありませんし、病気の方であっても漢方薬を飲むこと以上に大切なことがあります。それは、「ライフスタイルを改善する」ということです。「ライフスタイルを改善する」とはすなわち、「健康的な食事」を摂り、「健康的な運動」を行い、「健康的な睡眠」を取ることです。

これらの具体的な方策・各論については今後さらに詳しくお話ししていくつもりですが、とにかくライフスタイル全般を改善することなしに根本治療を目指すことは困難です。これはあくまでも私個人の感想ですが、当院で治療していただいている患者を診ていても、やはりライフスタイルを崩している方は治りが悪く、ライフスタイルを全般的に改善しようと努力している方は治りが良いし、漢方薬に対する反応も良いように思います。

例えば当院の患者で最も多いアトピー性皮膚炎患者についてみていきましょう。アトピー性皮膚炎は皮膚に痒みを伴う発疹が出現する病気なので、皮膚が病気の大元と思いがちですが、決してそうではありません。もちろん皮膚の消毒や合成洗剤などの影響で皮膚が荒れてくる方も多くいらっしゃいますが、アトピー性皮膚炎の根本は皮膚が問題ではありません。そうではなく、やはり体の中の問題なのです。以前の当院のツイートで、「免疫の本質は体内の“ゴミ掃除”」であるというツイートをしましたが、アトピー性皮膚炎患者はこの体内の“ゴミ掃除”がきちんとできていない状況にあります。

皮膚は外界からの刺激から身を守る「防御器官」であると同時に、「排泄器官」でもあります。皮下組織で炎症ゴミが蓄積した時に、それらを皮下組織のマクロファージ(ランゲルハンス細胞)が貪食して処理しようとしますが、それでも処理しきれないゴミは、皮膚の外へ排泄しようとします。その時に一部の皮膚で炎症が起こり、一時的に痒みや発疹が出現してきます。これがまさに急性アレルギー性皮膚炎、すなわち蕁麻(じんま)疹の発症メカニズムです。この場合には一時的に起こる激しい炎症により、膨疹が出現し全身に症状が及ぼされることもありますが、ゴミを出し切れば自然と治ります。

ところが、慢性的に皮下組織や体の中にゴミが蓄積する状態が続いたり、免疫力(=ゴミ処理能力)が慢性的に低下したりしていると、そのゴミを処理しようとする貪食細胞が常に活性化された状態になり、持続する免疫応答の結果として慢性炎症が引き起こされます。この慢性炎症が皮膚に至った状態こそが、まさにアトピー性皮膚炎ということです。急性のアレルギー性皮膚炎(=蕁麻疹)が、一時的に皮下組織や体内に蓄積したゴミを皮膚から排泄しようとするいわば“デトックス”の結果として起こるのに対し、アトピー性皮膚炎は、慢性炎症の結果起こる慢性疾患なのです。

慢性炎症は一日一夜で起こってくるものではなく、長年体内に蓄積したゴミを排泄すべく、マクロファージなどの貪食細胞たちが頑張って働いているのに排泄しきれないことから起こってくるものですから、なかなかこの状態を解除してやるのは難しいのです。逆に言えば、マクロファージなどの貪食細胞がきちんと働いてゴミ処理(掃除)ができており、体内環境が整っている人は慢性炎症が起こりにくく、アトピー性皮膚炎も起こりにくいということになります。実際にこのような人たちのIgE値は総じて低いものです。

ところが、アトピー性皮膚炎の患者の体内では貪食細胞では処理しきれないゴミが蓄積してしまっているために、慢性炎症が引き起こされています。その結果として、貪食細胞以外にもT細胞やB細胞などのリンパ球も動員され、抗体もたくさん産生されてしまいます。だからIgE抗体値が高くなるのですね。すなわち、アトピー性皮膚炎患者でIgE抗体が高ければ高いほど、体内に処理されるべきゴミが蓄積されており、アトピー性皮膚炎が重症化・慢性化しているということを示しています。特にステロイド治療を続けてきた患者が当院でリバウンドされると、突然急激にIgE抗体が上昇し、一万台に達する方が当院ではざらにおられます(一般的な病院でIgE抗体値が1万を超えると入院レベル)。このような重症化・慢性化したアトピー患者が治りにくいことは想像に難くないと思いますが、実際に当院で脱ステして漢方治療を始めても奏功しない方がたくさんおられます(むしろ大半です)。

もちろん長年のステロイド治療により免疫の働き(=ゴミ掃除)が抑えられていたために、体内にゴミが蓄積してしまっていることは容易に想像できると思いますが、それ以上にアトピー性皮膚炎が重症化しやすい人は、総じて元の生活習慣・生活環境が悪いと考えられます。元のライフスタイルが悪かったことでゴミが蓄積しやすく慢性炎症が起こりやすい体になっていた。そこに現れたアトピー症状を抑えるべくステロイド治療を繰り返した挙句、重症化・慢性化・深刻化していってしまった。このようなストーリーで来院される方がほとんどです。

このようにして重症化していったアトピー性皮膚炎を根本治療までもっていくことは極めて困難です。なぜなら、根本治療のためにはゴミを蓄積させない体づくりをしていかなければならないのですが、それをほとんど一からやり直さなければならないからです。またアトピー性皮膚炎患者に限らずですが、多くの患者にとってライフスタイルを改善することは、実際には極めて困難であることが多いものです。なぜなら、ライフスタイルを改善しようにもできないような生活環境の元で暮らしていることが多いからです。

例えば一人暮らしをしている人の中には、自分でレシピを考えて食事を作れない人も多くいますし、夜勤が多く規則正しい生活がそもそもできない人も多くいます。また、仕事が忙しすぎてとてもではないが生活習慣を整えるどころではないという方も多くいらっしゃいます。そして実際に、このような方々はことあるごとに重症化しやすく、当院初診後に一旦脱ステのリバウンドを乗り越えても、ストレスなどがきっかけで2回も3回もリバウンド症状と似たような酷いアトピー症状に苦しまざるを得ないという人も多くおられます。何も症状がないような状態から何の前触れもなく劇的に症状が増悪する方もおり、当院での漢方治療が続けられなくなる方もいらっしゃいますが、このような方は本当にごく稀です。ほとんどの方はライフスタイルに問題を抱えており、体づくりができていないのです。ですから、アトピー性皮膚炎を含めた慢性疾患の根本治療には、漢方薬だけで十分だとは全く言えません。本当に根本治療をしたいのであれば、同時に生活習慣や生活環境を整えて改善していくことが必要だということ、ぜひ肝に銘じておいて欲しいと思います。

そしてさらに重要なこととして、ライフスタイルを改善するのは患者である自分自身の役目である、ということを自覚してください。当院ではライフスタイル改善のための指針や方策をアドバイスすることはできても、患者のライフスタイルを強制的に変えることはできません。それは患者自身の意識の問題です。そうは言っても、現状ではライフスタイルを改善すること自体が困難である人はたくさんいらっしゃると思います。そのような方々には、毎回意識だけでももっていただくように促しています。例えば、当院が勧めるダイエットも今すぐは無理でも、意識していれば行動が徐々に変化してくるものです。意識するところからスタートして、その次にできる範囲内でできることを一つだけ取捨選択して続けつつ、慣れてきたらまたもう一つだけ選択して続けてみる。この繰り返しで徐々にライフスタイルを改善していくことをお勧めしています。

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