標準医療を提供する医師との会話について(facebookより転載 2019-11-28)

先日、大変興味深い出来事があったので、ここでシェアしておきたいと思います。

● 劇的に改善した患者の担当医との会話からわかること

先日新たに潰瘍性大腸炎患者が来院され、西洋医薬を一切中止して当院で漢方治療を開始したところ、2週間で症状の改善が認められ、炎症反応もCRP5台であったのが、0.23まで落ち着くという症例がありました(このようなことは当院ではよくあることです)。
その方は、2015年に潰瘍性大腸炎を発症してから、某赤十字病院でペンタサの内服と注腸をしていたけれども症状改善せず、今年の11月に免疫調整薬(メサラジン)開始した後に症状が悪化したため、入院してステロイド内服を勧められていた方でしたが、ステロイドは飲みたくないということで、ある方から紹介を受け、当院に駆け込んできた方でした。

あまりにもこれまでの経過が悪かったのにも関わらず、仕事が休めないなどの理由から、某赤十字病院での入院加療を拒否してきた方であったため、担当医も手を焼いていたようです。
それで、当院での漢方治療で劇的に病状が改善したことがあまりに不思議だったのか、先日その担当医から電話がかかってきました。

以下、私とその担当医とのやり取りの一部始終を記載します。会話の内容は正確ではないかも知れませんが、大体の趣旨は掴んでいただけると思います。

担当医(H先生:以下H):「担当医のHです。お世話になります。貴院の漢方治療で症状が改善された方が受診されたのですが、どのような治療をされているのでしょうか?」
私:「煎じ薬を飲んでもらっているだけです(他に生活指導もしていますが・・・)」
H:「IBD患者はよくみられているんでしょうか?」
私「ええ。延べ百例以上は診ています。全例漢方治療を受けてもらっていますが」
担当医「フォローなどはきちんと行なっているのですか?」
私:「フォローと言うと、内視鏡検査のことですか?希望される方には他院でやってもらっていますが。採血は当院でも施行しています」
H:「そうなんですか?では内視鏡検査でフォローしていない患者はどうされているのですか?」
私:「患者の希望がない場合には、当院の採血のみでフォローしてもらっています」
H:「それはどうなのかと思います。何かあった時に責任が取れないでしょう」
私:「そこは患者の希望がないものですから。当院で強制的にやらせるわけにはいかないですし、実際に検査できる施設も併設していませんし・・・」
H:「少なくとも患者に何かあった時対応できる施設は必要かと思います。そのような状態で治療を続けるというのはどうなのでしょう?先生のやり方はリスクが大きすぎる気がします」
私:「仰りたいことはわかります。ですが、当院に来られている患者は、皆そのリスクを承知した上で漢方治療されていると思います。」
H:「そうですか・・・。申し訳ないのですが、漢方治療をしたいというような患者を当院では診ていけないと考えています。〇〇さん(患者)が貴院での漢方治療を継続したいと仰っておりまして、当院ではこれ以上みれないと説明していたところなんですが、紹介状を書きますので、今後は貴院で診てもらえませんか?」
私:「それはもちろん構いませんが、なぜ漢方治療している患者はそちらで診ることができないんでしょうか?」
H:「当院では原則として標準治療を提供しているからです。そちらの漢方治療で何かあっても当院の責任ではありませんので」
私:「もちろんそうだとは思いますが、患者の希望に沿った医療を提供するのが大原則ではないですか?もし患者が希望されるのであれば、治療は当院の漢方治療で、検査は貴院でという連携もできるかと思います。そして、何かあれば貴院に受診してもらい、緊急対応してもらうことも可能かと思います」
H:「そんな都合良い話はないでしょう。漢方治療で何かあった場合、当院で責任を取れと仰るのですか?」
私:「(こりゃダメだと思いつつ・・・、)そんなことは一切申し上げておりませんし、そのような場合患者が先生に責任を取れと言ってくることもないと思います。しかも、今回の症例に関しては、患者は良くなってきているわけで、今後の診療を拒否する理由はないと思いますが?」
H:「どうしてもというのであれば検査だけでもしますが・・・。何れにしても、紹介状を書きますので、今後の加療よろしくお願いします」
私:「(少し語気を強めつつ・・・、)先生はこれまで自分の治療で良くならなかった症例が良くなっているのを眼の前にして、何も思われないのですか?もちろん当院の漢方治療でIBD患者の全例が改善しているわけではありませんが、今回のように標準治療で良くならなかった方がウチに来て劇的に改善する、ということは過去に何例も経験しております。その貴重な症例を無下にされるおつもりですか?」
H:「(少し困った口ぶりで・・・、)漢方治療で良くなったというのは聞いたことがないもので。とにかく、標準治療を受けない患者を当院で診ていくことはできかねます」
私:「そうですか、わかりました。わざわざお電話いただき、ありがとうございました」
H:「こちらこそ、ご丁寧に対応していただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」

以上です。
いかがだったでしょうか?

なぜ私が皆さんにこのやり取りをここで公開したかというと、私と担当医のH先生のどちらが正しいか、ということを議論したかったわけではもちろんなく、現代医療というのはそもそもこういうものなのですよ、ということをお示ししたかったからです。

私は、ここで登場したH先生は非常に良い先生だと思います。わざわざ個人的に当院に電話までかけてきて、詳細を聞いてくるほどの人です。正義感や責任感も強いのでしょう。

しかし、悲しいかな、結局彼も現代医療のシステムの中で、「枠にとらわれた医療」しか見ていない。いわば、「標準治療が全てだ」と思い込み、思考停止しているのです。
もし、彼に少しでも批判的精神があり、現代医療(=標準治療)だけが全てではない、と考えることができていれば、漢方治療で奏功した症例も受け入れることができていたでしょう。

さらに悪いことに、クローン病や潰瘍性大腸炎などのIBD(炎症性腸疾患)は「治らない難病」だという洗脳もあります。この洗脳があるゆえに、現代医療(=標準治療)の下で一生フォローしていかなければならないんだ、と思い込まされているのです。だからこそ、標準治療を勧める医師として、漢方治療やその他の代替治療などで良くなることなど、本来あってはならないことなのです。

これらが全て、先述のH先生とのやり取りに現れています。

もちろん私のような医師としても人間としても未熟な青二才ごときが、現代医療を批判したり、否定したりする資格はありません(もちろん「コレステロール仮説」のように誤っていることにははっきり誤っていると言うことはあります)。

しかし、今回の潰瘍性大腸炎の症例のように、標準治療ではない方法でも劇的に改善したり、寛解したりする症例をみてきた者として、「現代医療(標準治療)だけが全てではないのですよ」ということをアドバイスすることくらいはできます。

あとは患者次第です。

つまり、標準治療を選択しようが、代替医療を選択しようが、それはあなたの自由なんですよ、ということです。

最終的には「全ては自分(に依る)」ということですね!!

今回は以上です。

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