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漢方薬の専門診療
Kampo Medicine

漢方薬の専門診療

生薬を混ぜ合わせた煎じ薬を専門に処方
(*エキス剤の処方も可能です)

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西洋医学と東洋医学 — 二つの異なる医学体系

西洋医学と東洋医学(漢方医学)は、人体の捉え方、病気の考え方、治療アプローチにおいて根本的に異なる哲学を持っています。 両者の違いを理解することで、漢方治療の本質が見えてきます。

西洋医学

機械論的アプローチ

人体を「精密な機械」として捉える

西洋医学の根底にある機械論(メカニズム)では、人体を精密な機械のように捉え、各臓器や器官を独立した部品として分析します。病気は「部品の故障」であり、その故障箇所を特定し、薬や手術で修理するという発想です。

分析と標準化の医学

  • 還元主義:全体を部分に分解し、細かく分析する
  • 病名診断:症状から病名を確定し、標準治療を適用
  • 対症療法:症状や病原体に直接アプローチ
  • エビデンス重視:統計的データに基づく標準化治療

得意分野

急性疾患・感染症・外科的処置・救命救急・画像診断

限界

慢性疾患・不定愁訴・体質的な問題・多臓器にまたがる症状

東洋医学(漢方)

生気論的アプローチ

人体を「生命エネルギーが循環する有機体」として捉える

東洋医学の根底にある生気論(ヴァイタリズム)では、人体を「気」が循環する生命体として捉えます。病気は部分的な故障ではなく、全身のバランス(気・血・水)の崩れが表面化したものと考え、体全体の調和を取り戻すことで治癒を目指します。

総合と個別化の医学

  • 全体論:部分ではなく全体のバランスを重視
  • 証(しょう)診断:同じ病名でも体質によって異なる処方
  • 根本治療:病気の原因である体質の偏りを改善
  • オーダーメイド:一人ひとりの状態に合わせた処方

得意分野

慢性疾患・体質改善・不定愁訴・予防医学・根本治療

限界

急性重症感染症・緊急外科処置・外傷・急速進行性疾患

当院のアプローチ — 二つの医学の統合

当院では、西洋医学と東洋医学を「対立するもの」ではなく「補完し合うもの」として捉えています。 西洋医学の血液検査・画像診断などの客観的データを活用しながら、東洋医学の体質診断(舌診・脈診・腹診)を組み合わせることで、 より深いレベルでの病態理解と、一人ひとりに最適な治療を提供しています。

検査・診断

西洋医学の客観的データ

体質診断

東洋医学の証(しょう)診断

統合治療

両者の長所を活かした処方

中医学の「整体概念」 — すべてはつながっている

中医学(中国伝統医学)の最も重要な基本概念が「整体観念(=ホリスティックな生命観)」です。 これは「人体の各部分は独立しておらず、有機的につながった一つの全体である」という考え方です。

整体概念

部分ではなく「全体」を診る

西洋医学が「心臓が悪いから心臓を治療する」「皮膚が悪いから皮膚を治療する」と局所に注目するのに対し、 中医学では「心臓の不調は腎の弱りから」「皮膚の炎症は肺や大腸の乱れから」というように、症状が出ている部位と一見無関係に見える臓器との関連性を重視します。

心と身体は一体 — 「心身一如」

東洋医学では、精神(心)と身体は分離できない一つのものと考えます。ストレスや感情の乱れは「気」の流れを滞らせ、 それが身体症状として現れます。逆に、身体の不調が精神状態に影響を与えることもあります。心と身体を同時に整えることが、漢方治療の基本です。

自然と人間の調和 — 「天人合一」

人間は自然の一部であり、季節の変化・気候・昼夜のリズムなど、自然界の影響を受けながら生きています。 漢方では、季節に応じた養生法や、体質に合わせた生活習慣の指導も重視します。自然のリズムに逆らわず、調和して生きることが健康の基本です。

整体概念の具体例 — 皮膚は「内臓の鏡」

皮膚 ↔ 肺・大腸

中医学では「肺は皮毛を主る」と言われ、肺と大腸の状態が皮膚に反映されると考えます。アトピーや湿疹の治療では、肺や大腸の調整が重要な意味を持ちます。

目 ↔ 肝

「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言われ、目の疲れ・充血・かすみなどの症状は肝の状態と深く関係しています。目の症状があるとき、肝を整える漢方薬が処方されます。

耳 ↔ 腎

「腎は耳に開竅する」と言われ、耳鳴り・難聴・めまいなどの症状は腎の状態と関係しています。加齢による耳の症状には、腎を補う漢方薬が用いられます。

整体概念の本質:「頭が痛いから頭だけを診る」のではなく、「なぜ頭痛が起きているのか」を全身のバランスから探ります。 痛みや症状は体からのSOSサイン。そのサインの背景にある体全体の不調和を見つけ、整えていくことが漢方治療の根幹です。 当院では、この整体概念に基づき、患者さん一人ひとりの全身状態を詳細に診断し、根本からの改善を目指します。

陰陽五行 — 漢方を支える理論的基盤

漢方医学の理論的根幹をなす「陰陽五行説」。これは単なる古代思想ではなく、 現在でも臨床の現場で診断・治療の指針として活用されている実践的な理論体系です。

陰陽 — 万物の二面性と調和

陰陽とは、この世のあらゆる現象を「陰」と「陽」という相反する二つの側面から捉える考え方です。 陰と陽は対立しながらも相互に依存し合い、常にバランスを保とうとする動的な関係にあります。 健康とは、体内の陰陽バランスが保たれている状態。病気とは、そのバランスが崩れた状態です。

漢方治療の目標は「陰陽のバランスを整えること」にあります。 例えば、「陰」が不足している状態(陰虚)なら陰を補う生薬を、「陽」が過剰な状態(陽亢)なら陽を鎮める生薬を用います。 この陰陽バランスの調整こそが、漢方治療の核心です。

太極図 — 陰陽の相互関係

動・熱・光
静・寒・闇
陰中に陽あり
陽中に陰あり

太極図(陰陽魚)は、陰と陽が対立しながらも互いに包含し合い、絶えず循環・転化する様子を表しています。 白(陽)の中に黒(陰)の点があり、黒(陰)の中に白(陽)の点があるのは、 「陰の中に陽が宿り、陽の中に陰が宿る」という相互依存の関係を象徴しています。

陰陽分類の具体例

陽の性質

熱・活動・上昇・外向・興奮・明るい・乾燥・男性・昼・夏・機能亢進

陰の性質

寒・静止・下降・内向・抑制・暗い・湿潤・女性・夜・冬・機能低下

五行 — 自然界の循環と人体の対応

五行説は、自然界のあらゆるものを「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類し、 それらが相互に影響し合いながら循環していると考える理論です。 人体の臓器・感情・感覚器官・体液なども五行に分類され、各要素間のバランスが健康状態を左右します。

五行の相生・相剋 循環図

五行 循環
心・小腸
脾・胃
肺・大腸
腎・膀胱
肝・胆
相生(助け合う)
相剋(抑制し合う)

相生(そうしょう)— 助け合う関係

木は燃えて火を生み、火は灰となって土を生み、土は鉱物(金)を生み、金(金属)は冷えて水を集め、水は木を育てる—— このように各要素が次の要素を生み出し、助け合う循環関係を「相生」と言います。治療では、弱った臓器をその「母」にあたる臓器から補う方法(補母法)などに応用されます。

相剋(そうこく)— 抑制し合う関係

木は土の養分を吸い、土は水を堰き止め、水は火を消し、火は金を溶かし、金(斧)は木を切る—— このように各要素が一つ飛ばしで抑制し合う関係を「相剋」と言います。特定の臓器が過剰に働いている場合、それを抑制する関係の臓器を調整することでバランスを取ります。

五行
五臓
五腑 小腸 大腸 膀胱
五主 血脈 肌肉 皮毛
五官
五情 悲・憂 恐・驚
季節 土用

陰陽五行は実際の診療でどう活かされるのか

体質診断の枠組み

患者さんの症状や体質を陰陽・五行の枠組みで分類し、「陰虚」「陽虚」「肝気鬱結」「脾虚」などの証(しょう)を判断します。これが漢方処方の出発点です。

生薬選択の指針

生薬にも五行の帰経(特定の臓器に作用する性質)があり、例えば「肝に帰経する当帰」「脾に帰経する茯苓」など、五行の枠組みに基づいて生薬を選択・組み合わせます。

生活指導の基礎

季節に応じた養生法(春は肝を養う、夏は心を養うなど)や、感情のコントロール(怒り過ぎは肝を傷めるなど)も五行の考え方に基づいています。

当院の漢方治療の特徴

松本医院では、エキス剤ではなく本格的な生薬煎じ薬を専門に処方しています。 原則健康保険の範囲内で受けられる、全国でも希少な漢方専門クリニックです。

漢方薬の調合

保険適用

煎じ薬処方

なぜ「煎じ薬」なのか?

市販のエキス剤(顆粒)と異なり、煎じ薬は生薬を組み合わせて煮出すことで、 有効成分が最大限に引き出されます。患者さんの体質・症状・季節に合わせて 配合を細かく調整できるため、より高い治療効果が期待できます。

当院では、数千年の歴史を持つ漢方医学の知恵と、現代医学の診断技術を組み合わせ、 一人ひとりに最適な処方を提供しています。

当院の漢方薬は原則として健康保険が適用されます。 初診・再診ともに保険証をお持ちください。

本格的な煎じ薬処方

エキス剤ではなく、生薬を組み合わせた本格的な煎じ薬を処方。患者さん一人ひとりの体質・症状に合わせてオーダーメイドで調合します。

健康保険が使えます

当院の漢方薬は原則として健康保険適用内で処方可能。高品質な漢方治療を、経済的な負担を抑えてお受けいただけます。

西洋医学との統合診療

西洋医学の検査・診断を活用しながら、漢方の視点で「なぜ病気になったか」を探り、根本原因にアプローチします。

丁寧な問診・体質診断

舌診・脈診・腹診など東洋医学的な診察を行い、体質(証)を見極めた上で最適な処方を組み立てます。

漢方治療の流れ

1

体質診断(証の決定)

問診・舌診・脈診・腹診など東洋医学的診察を行い、陰陽・虚実・寒熱・気血水の観点から体質(証)を総合的に判断します。

2

オーダーメイド処方

証に基づき、基本方剤(古典処方)を選定し、患者さんの症状や体質に合わせて生薬の加減(追加・削除・分量調整)を行います。

3

経過観察と処方調整

2〜4週間ごとに経過を確認し、症状や体質の変化に応じて処方を微調整。体質が整うまで継続的にフォローします。

よく使用される主な生薬

漢方薬は複数の生薬を組み合わせた「方剤」として処方されます。 ここでは当院で頻繁に使用される代表的な生薬をご紹介します。

当帰(トウキ)

血行促進・婦人科系

≒ 血を補う 肝・心

黄耆(オウギ)

免疫強化・補気

≒ 気を補う 脾・肺

柴胡(サイコ)

炎症抑制・肝機能

≒ 気の巡り 肝・胆

地黄(ジオウ)

滋養強壮・皮膚潤い

≒ 陰を補う 腎・肝

茯苓(ブクリョウ)

利水・精神安定

≒ 水の調整 脾・心

甘草(カンゾウ)

調和・抗炎症

≒ 全体調和 十二経

※上記は代表的な生薬の一例です。実際の処方は、証(体質)に基づいて数十種類の生薬の中から選択・組み合わせます。

生薬の力:漢方の生薬は単なる「薬」ではなく、自然界の植物・鉱物・動物由来の素材が持つエネルギーそのものです。 当院では、品質の確かな生薬を厳選し、伝統的な調剤方法を守りながら、一人ひとりに最適な煎じ薬をお作りしています。

よくある質問

漢方治療についてよくいただくご質問にお答えします。

Q

漢方薬と一般的な西洋薬の違いは何ですか?

西洋薬は特定の症状や病原体に対して直接作用する「対症療法」が中心です。一方、漢方薬は体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで根本的な改善を目指します。また、漢方では同じ病名でも体質(証)によって処方が異なり、一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療が可能です。
Q

漢方薬は保険適用ですか?

はい、当院で処方する漢方薬は原則として健康保険適用です。煎じ薬も顆粒(エキス剤)も保険の範囲内で処方可能です。漢方薬は医師の処方に基づく医療用医薬品として健康保険の対象となっています。
Q

煎じ薬とエキス剤(顆粒)の違いは?

エキス剤は生薬の有効成分を抽出して乾燥させた顆粒状の製剤で、お湯に溶かして手軽に服用できます。煎じ薬は、生薬をそのまま組み合わせて煮出すことで、有効成分を最大限に引き出した液剤です。患者さんの体質や症状に合わせて生薬の組み合わせや分量を細かく調整できるため、より高い治療効果が期待できます。
Q

漢方薬に副作用はありますか?

漢方薬にも稀に副作用(胃腸障害、肝機能障害、発疹など)が起こることがありますが、適切な証(体質)診断のもとで処方することで、リスクを最小限に抑えることができます。気になる症状があれば、すぐにご相談ください。処方を調整して対応します。
Q

どのくらいの期間で効果が出ますか?

症状や体質によって個人差がありますが、多くの方が2〜4週間程度で何らかの変化を感じ始めます。慢性疾患や体質改善を目的とする場合は、数ヶ月〜半年以上の継続をお勧めしています。漢方治療は「じっくりと根本から」が基本です。
Q

西洋薬と漢方薬を併用できますか?

はい、可能です。現在使用中の西洋薬との相互作用を確認しながら、漢方を併用していきます。西洋薬をやめたい方も、無理のない減薬プランを提案します。治療の主体は患者さんの意向を尊重しながら決定します。
Q

どのような病気が漢方治療の対象ですか?

アレルギー疾患、自己免疫疾患、消化器疾患、婦人科系疾患、皮膚疾患、生活習慣病、精神・神経系疾患、がん治療のサポートなど、幅広い慢性疾患に対応しています。また、西洋医学では診断がつかない不定愁訴の方も漢方治療の良い適応です。
Q

初診時にはどのようなことをしますか?

初診時には、現在の症状や既往歴、生活習慣などを詳しくお伺いする問診に加えて、舌診(舌の状態を観察)、脈診(脈の状態を診る)、腹診(お腹の状態を診る)などの東洋医学的診察を行い、体質(証)を総合的に判断します。その上で、最適な漢方処方を組み立てます。

まずはお気軽にご相談ください

漢方治療にご興味のある方、現在の治療に不安を感じている方。 一人で悩まず、まずは当院にご相談ください。お一人おひとりの体質に合わせた治療方針をご提案します。