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「“生命の本質”から根本治療を考える」シリーズ第三弾:免疫とは何か? Part7 免疫システムの破綻と「慢性炎症」 ~免疫抑制が慢性炎症を産む~

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2026年9月26日
/ 最終更新日 : 2026年9月26日 / 松本医院ホームページ管理人

炎症が長引き、症状が出てくると「免疫が強く働きすぎている」と考えがちです。実際の臨床現場でも、アレルギーや自己免疫疾患などの慢性疾患の発症メカニズムとして「患者さん自身の免疫が異常になって暴走している」と説明され、標準治療としてステロイドなどの免疫抑制剤が投与されます[346,357-359]。

しかし、前節で述べたように、免疫には身体のゴミ処理・ゴミ掃除を行い、炎症を収束させる役割もあります。したがって、慢性炎症の背景には、免疫の過剰反応ではなく、むしろ本来必要な免疫のゴミ処理機能の低下があると当院では考えています。

例えば、免疫抑制によって微生物の増殖を抑える力が弱まれば、感染が持続・再燃し、炎症の原因が残り続ける可能性があります。実際、炎症性サイトカインのTNFを抑える薬では、潜在していた結核の再活性化が問題になります[360,361]。また、マクロファージによる死細胞の回収が滞ると、処理されなかった細胞が崩壊し、周囲を刺激する物質を放出します。死細胞の回収に伴う炎症収束の働きも損なわれ、「片付かないために炎症が続き、炎症で新たなゴミが増える」という悪循環が生じます[329,337,362]。動脈硬化の研究でも、この処理機能の障害が、病変内の壊死や炎症収束の不全に関わることが示されています[363]。

以上のことから、アレルギーや自己免疫疾患などの慢性疾患は、免疫が過剰に働いているから起こってくるわけではなく、むしろ免疫が抑制され、全身のゴミ処理能力が低下していることから起こってくるという仮説が成り立ちます。

免疫を「形態形成維持システム」、すなわち「ゴミ掃除・ゴミ処理」であると捉えれば、慢性炎症が起こるメカニズムは以下のようになります⇩

生活習慣の乱れ・ストレスなど ⇨ 免疫↓=ゴミ処理能力↓ ⇨ ゴミの蓄積 ⇨ 炎症遷延化=慢性炎症

つまり、アトピーを含めた慢性疾患を根本治療したいと思うのであれば、その原因となっている「慢性炎症」を起こさないようにすることが大切です。そしてそのためには、ステロイドを筆頭とした薬で免疫を抑制することによって症状を抑え込むのではなく、むしろライフスタイル全般を改善し、身体全体のゴミ処理をスムーズに行えるように、免疫を十分に働かせ、改善していくことこそが重要なのです。

喘息重責発作による呼吸困難や、アナフィラキシーショックなど急性期疾患で、非常に強い免疫反応が起こってしまい、命に係わる重篤な状態になった場合などには、免疫抑制作用の強い薬(ステロイドなど)を投与する必要はあると思いますが、慢性期疾患において継続的な免疫抑制はかえって慢性炎症をより一層重症化・深刻化させてしまう可能性が高まります。

だからこそ当院では、アトピーを含めた慢性疾患の患者さんには、極力ステロイドなどの免疫抑制剤を使用しない治療を勧めているのです。

参考文献▽
[357] M.D. Rosenblum, K.A. Remedios, A.K. Abbas, Mechanisms of human autoimmunity, The Journal of Clinical Investigation 125 (2015) 2228–2233. 10.1172/JCI78088.

[358] P.J. Barnes, How corticosteroids control inflammation: Quintiles Prize Lecture 2005, Br J Pharmacol 148 (2006) 245–254. 10.1038/sj.bjp.0706736.

[359] R. Sidbury, A. Alikhan, L. Bercovitch, D.E. Cohen, J.M. Darr, A.M. Drucker, L.F. Eichenfield, L. Frazer-Green, A.S. Paller, K. Schwarzenberger, J.I. Silverberg, A.M. Singh, P.A. Wu, D.M.R. Davis, Guidelines of care for the management of atopic dermatitis in adults with topical therapies, J Am Acad Dermatol 89 (2023) e1–e20. 10.1016/j.jaad.2022.12.029.

[360] J. Keane, S. Gershon, R.P. Wise, E. Mirabile-Levens, J. Kasznica, W.D. Schwieterman, J.N. Siegel, M.M. Braun, Tuberculosis Associated with Infliximab, a Tumor Necrosis Factor α–Neutralizing Agent, New England Journal of Medicine 345 (2001) 1098–1104. doi:10.1056/NEJMoa011110.

[361] P.L. Lin, A. Myers, L. Smith, C. Bigbee, M. Bigbee, C. Fuhrman, H. Grieser, I. Chiosea, N.N. Voitenek, S.V. Capuano, E. Klein, J.L. Flynn, Tumor necrosis factor neutralization results in disseminated disease in acute and latent Mycobacterium tuberculosis infection with normal granuloma structure in a cynomolgus macaque model, Arthritis Rheum 62 (2010) 340–350. 10.1002/art.27271.

[362] A.C. Doran, A. Yurdagul, Jr., I. Tabas, Efferocytosis in health and disease, Nat Rev Immunol 20 (2020) 254–267. 10.1038/s41577-019-0240-6.

[363] D.M. Schrijvers, G.R. De Meyer, M.M. Kockx, A.G. Herman, W. Martinet, Phagocytosis of apoptotic cells by macrophages is impaired in atherosclerosis, Arterioscler Thromb Vasc Biol 25 (2005) 1256–1261. 10.1161/01.ATV.0000166517.18801.a7.

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