「“生命の本質”から根本治療を考える」シリーズ第三弾:「免疫」とは何か? Part9 免疫の制御拠点=ミトコンドリア ~エネルギー代謝異常が免疫を狂わせる~
ミトコンドリアは、免疫機能に必要なエネルギーを供給するとともに、他の免疫制御機構と協働しながら、防御と炎症の収束の両方を支えており、免疫応答の要として働いている
令和元年からの院長交代に伴い、今まで通院していただいていた患者さんや、これから通院していただく患者さんに、現院長の考えや当院での治療方針をもっと知ってもらいたいということで、院長自身がテーマを決めて記事にしています。特に漢方医学にまつわるミニ知識や、「衣・食・住」にまつわるライフスタイルの改善に役立つ知識などをこのブログでは公開していきます。
ミトコンドリアは、免疫機能に必要なエネルギーを供給するとともに、他の免疫制御機構と協働しながら、防御と炎症の収束の両方を支えており、免疫応答の要として働いている
ミトコンドリア機能異常・代謝異常は、慢性炎症から起こる多くの疾患に共通する重要な病態基板を形成しています。もちろん、すべての慢性疾患の出発点がミトコンドリアにあるとまで断言することはできませんが、病気を理解するには、免疫反応とエネルギー代謝、組織損傷と修復プロセスを、一体の仕組みとして捉えることが大切です。
慢性炎症を理解する上で、身体全体の免疫機能を支える、ミトコンドリアの糖のエネルギー代謝(糖の完全燃焼=酸化的リン酸化)にこそ注目すべきだと考えています。すなわち、適切な免疫応答を維持し、感染防御、PAMPs・DAMPsなどのゴミ処理、傷ついた組織の再生・修復、などの「形態形成維持」のためには、ミトコンドリアが十分なエネルギーを供給できる状態が重要だ
炎症を起こす刺激が残り続けたり、死細胞の処理や炎症を収束させる仕組みが十分に働かなかったりすると、免疫応答が長引き、炎症が慢性化していきます。このように、本来治癒へのプロセスである炎症が持続し、組織障害などを引き起こす破壊のプロセスへと舵を切り始めるようになっていきます。これがまさに「慢性炎症」です。
免疫を「形態形成維持システム」であると唱えたカンリフ氏は、変性した細胞の残骸などが微生物に豊富な栄養源を提供することに着目し、細胞の残骸などのゴミを迅速に除去できれば、細菌が利用できる栄養基質を減らし、感染を抑えられるのではないかと論じています[325]。また、カンリフ氏は組織の恒常性維持を免疫系の中心的機能として捉えることも提唱しています[326]。これらの考えは、冒頭で述べた“免疫“=“ゴミ掃除”という比喩表現とも極めて整合的です。つまりカンリフ氏は、体内に侵入した微生物(あるいはその残骸)や体内で発生したゴミが、免疫の働きによって適切に処理(=ゴミ掃除)されることで、体内環境を健康で安定した状態に保つことができると考えたわけです。
国際免疫学会会長を務め、世界的な免疫学者として知られていた多田富雄東京大学名誉教授は、『免疫の意味論』(青土社;1993年)...
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故・多田富雄東大名誉教授が「免疫の意味論」を著したのが1993年。それから30年余りが経ちますが、免疫学者の中でも免疫の本質を...
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